北海道鉄道網の維持は航空とのコラボに活路――業界の垣根を越えた協力で道内・国外からの乗客を増やせ

北海道の鉄道網の危機が叫ばれる中、昨年11月18日に『JR北海道』が大規模な廃線案を提示し、衝撃が走っている。対象は13線区で合計1237㎞にも上り、JR北海道の営業路線合計距離2568.7㎞(※2016年度初め現在)の48.2%に相当する規模だからだ。理由は、乗客が採算ラインに達していないことに加え、設備の老朽化が進み、安全が維持できない為、「当社単独では維持が困難な線区」として、1日の輸送数200人未満の路線のバスへの置き換えや、200~2000人未満の路線は地元自治体等による助成を呼び掛けている。具体的には、道北の宗谷本線では名寄-稚内、道東の石北本線の新旭川-網走、釧網本線の網走-東釧路、根室本線の釧路-限室、中央部でも、富良野は旭川・滝川・新得の3方面の路線が全て対象になり、北海道の鉄道は東側3分の1で幹線ネットワークを失うことになる。通勤通学の足が奪われるだけでなく、ジャガイモ・玉ねぎ・ニンジン等の農産品や水産品の大量輸送に支障が生じ、産業経済への影響も必至だ。しかし、北海道の自治体はどこも税収減で、JRの期待に簡単に応えられる状況にはなく、殆どの線区は廃線に追い込まれる可能性が高い。背景には、北海道が直面している急速な人口減少問題がある。『国立社会保障・人口問題研究所』の推計(※2012年)では、2010年の人口を100とすると、2040年の日本の平均が83.7なのに対し、北海道は全体で76.1と下回り、更に札幌圏を除くと67.7と、全国でトップレベルの減少率だ。その結果、札幌圏の占める比重は、2010年の34.8%から2040年の40.9%に高まり、周辺地域の過疎化は大幅に進むことになる。一方、JR北海道は1987年の国鉄分割民営化による発足以来、縮小路線に陥っている上、2011年には石勝線列車脱線火災事故、2013年に特急列車のエンジントラブルや軌道検査データの改竄等が発覚し、翌2014年には国土交通省から事業改善命令・監督命令を受けた。しかも、北海道新幹線の投資も加わって経営の逼迫度は増す一方で、2015年度は国から600億円の設備投資支援を受けたが、営業損益は過去最悪の352億円の赤字を記録した。2016年度は600億円の設備投資支援に加えて、修繕費の支援を600億円受けるが、営業損失は460億円に拡大する見込みだ。
巷では、「最早、独立したままでの存続は難しいのではないか?」との声も聞かれる。他のJRとの合併の可能性を指摘する人もいるが、例えば『JR東日本』は既に株式を上場しており、赤字会社と経営統合するのは株主に対する説明が難しい。北海道の鉄道網を守るには、道内組織からの補助金では不十分で、道外からの現金収入を増やすことと、線路の通行量を増やす必要がある。それには、訪日観光客が拡大している今がチャンスであり、人材的にも余力のある航空業界と協調(コラボ)するのが早道ではないだろうか? 鉄道と航空とのコラボで直ぐに浮かぶのは、1980年代に『西ドイツ国鉄』(※当時)と『ルフトハンザ航空』が共同運行していた特急列車『エアポートエクスプレス』だ。ルフトハンザが用意した専用列車を西ドイツ国鉄が運行し、ルフトハンザの列車として営業する。航空のサービスレベルで提供される機内食やワインを片手に、ライン川沿いの景色を楽しむ鉄道の旅はとても快適だった。その後、ドイツやフランスでは、温暖化の原因とされる二酸化炭素の削減と、交通の過疎化回避を目的とした“総合交通政策”が導入され、高速鉄道の整備も相俟って、近中距離区間では航空便を削減し、鉄道の利用が推奨されるようになった。ドイツでは、主要空港に乗り入れるドイツ版新幹線『インターシティーエクスプレス(ICE)』の整備によって、ルフトハンザは近距離路線の便数を減らし、ICEの一部列車の一部車両を借り上げ、航空チケットでも利用できる『エアレイルサービス』を併用している。『全日本空輸(ANA)』は昨年12月、北海道のブランド力向上と地域の活性化の推進の為の包括連携協定を北海道と締結し、サポートに乗り出したが、列車の共同運行までは含まれていない。主な事項としては、①線光振興②食の振興③人材の育成④スポーツを基軸にする地域振興⑤道の海外事業との連携――等が挙げられている。同時に、道内地域への乗客拡大を図る為、道内のどの路線でも片道6300円(※55日前までに購入する『旅割55』)の均一料金の導入や、東京・名古屋・大阪から新千歳空港乗り継ぎで、道内各地まで最安料金1万円からの割安な乗継旅割等、特別運賃を設定した。ANAは「国内外のネットワークを活用し、訪日外国人の誘致や道産食材の輸出拡大に努力する」と説明しているが、“現状維持”で精一杯の道民にとって、未来志向のビジョンを持った人材面でのサポートが一番役立つのではないだろうか? 日本では観光業の社会貢献度があまり評価されていないが、宿泊を伴う観光客の経済効果は意外に高い。日本人の1人当たりの年間消費支出は約125万円(※総務省『家計調査』2015年を基に試算)だが、訪日外国人観光客の消費額は15.6万円(※観光庁2016年調査)なので、8人の外国人観光客を誘致できれば定住者1人の消費額とほぼ同じになる。また、外国人観光客も鉄道を利用しており、北海道の鉄道ネットワークの維持にも貢献できる。

そこで提案したいのは、航空との連携を活用する3つの方策である。1つは、ヨーロッパでの高速鉄道と航空の連携を見習って、新千歳空港(※右画像)を“鉄道との乗り継ぎハブ”にすること。新千歳空港は年間2000万人を超える乗降客があり、これを北海道の鉄道ネットワークにスムーズに乗り継がせることができれば、観光客の行動は広がる。ところが、現況の新千歳空港駅(※地下駅)はホームが1本(※線路は2線)なので、札幌とのアクセス列車の発着だけで目一杯だ。そこで、ホームをもう1本(※線路は計4線に)増設し、リゾート特急の始発駅にすることだ。飛行機を降りて、エスカレーターで地下ホームに行き、ニセコ・トマム・富良野・知床への直通列車に乗れれば、便利で快適になる。輸送効率を高めたいのであれば、南千歳駅(JR千歳線)で札幌始発の特急と連結することも考えられる。今流行の豪華列車を開発すれば、更に人気が高まるだろう。2つ目は、北海道を“特区”にして、航空権益を大胆に開放することだ。アメリカでは、観光産業が重要なハワイとアラスカの乗り入れ権を自由化しているばかりか、この両州を経由する路線であれば、国内他都市への就航を認める特典まで設けている。しかし、日本では『オープンスカイ協定』を締結した相手国だけに地方空港の乗り入れを自由化しているが、以遠権(※寄港後に第3国へ飛ぶ権利)は大幅に制限している。最近では香港に中部国際空港からグアムやサイパンへの以遠権を認めたが、道内空港からの以遠権を自由化すれば、アジア諸国からの便に加え、韓国や台湾キャリアによる経由便等、外国航空会社の就航が期待できる。況してや、欧米路線の無い新千歳空港が日本の北のゲートになればハブ空港になり、首都圏だけでなく全国民が便利になる。何しろ、新千歳空港には全国から路線が張られ、首都圏の空港や中部・関西国際空港を飛び立ったアメリカ行きのフライトは、新千歳空港近くまで北上しているのだ。3つ目は、基本的に新千歳空港経由になっている道内の航空ネットワークを見直し、仙台等東北を中心に直接結ぶ路線を開設することだ。嘗てはそうした路線もあったが、航空会社のリストラの過程で廃止された。しかし、現在は外国人観光客を始め、新たな観光需要を掘り起こす好機だ。また、折角、新幹線の動脈が繋がった函館の空港アクセスを改善し、道内主要都市への路線を充実することも重要だ。JR北海道の再建には、発想と車両の両方に、業界の垣根を越える“翼”が必要だ。 (航空アナリスト 杉浦一機)

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