またぞろきな臭い慶應義塾大学の塾長選挙――医学部の内ゲバと新たな醜聞、岡野陣営に手痛い不祥事

20170531 07
慶應義塾大学の塾長選挙を巡り、医学部と病院で異例の事態が続いている。塾長は、一般の私立大学でいう理事長と学長を兼ねる役職。経営と学務を束ねる最高権力者だ。慶應の最高意思決定機関『評議員会』で選出される。現職の清家篤塾長は、規約にある任期4年・通算2期を今年度末で満了。今月16日に開かれる臨時評議員会で、後任が決まる運びだ。当初は、「無風状態の中、衆目の一致する後継者へと禅譲が行われる」との読みが専らだった。ところが、昨年暮れに状況は一変する。“本命”前病院長vs“対抗馬”現医学部長――。医学部と病院は、完全に股裂き状態に陥った。陰で糸を引く人物の思惑も見え隠れする。旧帝大の医学部・病院や、国立高度専門医療研究センター6法人に対抗し得る総合力を持つ唯一の私学。名門中の名門である慶應の医学部と病院で何が起きているのか。清家氏が後事を託そうとしたのは、戸山芳昭常任理事。整形外科教授や病院長を歴任している。一昨年の医局忘年会では、「次の塾長は俺だ」と高らかに宣言した。慶應医学部は来年、創設から100周年。「『病院は慶應にとって大きな課題になる。病院のことがわかっている人物に後を継いでもらわないと、困ったことになる』と清家さんが言っているんだ」と、戸山氏は周囲に吹聴してきた。戸山氏をよく知る慶應関係者が言う。「良くも悪くも気のいい人物。口癖は、『皆仲良く頑張ろう』です。慶應医学部では、ここ10年ほど様々な問題が噴出してきた。どの局面でも、戸山氏が指導力を発揮することはありませんでした」。清家氏や戸山氏にしてみれば、ポスト清家は戸山が既定路線。実現すれば、医学部出身者としては初の塾長就任となる。だが昨年末、事態は急変。現医学部長の岡野栄之氏が反旗を翻したのだ。

「戸山氏は塾長選に備え、岡野氏に研究担当常任理事への就任を打診。同意を得ていた。岡野氏の出馬表明は想定外。戸山陣営には困惑が広がっています」(慶應OB)。岡野氏は生理学教室の教授。再生医学の旗振り役として、一般的な知名度も高い。前任の医学部長で『日本医療研究開発機構(AMED)』初代理事長に転じた末松誠氏や、医学部長補佐を務める循環器内科の福田恵一教授とは同級生の間柄。末松氏が医学部長に就任した2007年以降、この“お友だちトリオ”が慶應医学部を恐怖政治で支配してきた。「学部内には、“物言えば唇寒し”の空気が蔓延しています。執行部の意向に逆らえば、機器の購入ひとつにも支障を来す」(医学部教員)。岡野氏擁立の黒幕は末松氏だ。選対本部長役は福田氏が務める。選挙戦でもトリオは健在。だが、年明け早々、岡野陣営の前に大きな障害が立ちはだかった。「慶應が開発したスマートフォンアプリケーションの提供で、研究計画違反が発覚しました。開発に当たったのは、福田氏の部下である循環器内科・木村雄弘特任助教らのグループ。福田氏は監督責任者の立場にあります」(医学部関係者)。計画では、アプリの公開前に慶應病院の患者が利用。事前検討を行い、その後で一般ユーザーが利用する流れ。だが、実際には院内での事前検討前にアプリは一般に公開され、利用が開始されていた。厚生労働省は態度を硬化。“特定機能病院”承認解除も検討された。岡野医学部長は、今年1月17日付で研究実施の許可を取り消す。同20日には、小児科の高橋孝雄教授を委員長とする調査委員会設置を決定。先月末までに3回の会合を持った。委員には、岡野氏らと同級である元厚労省老健局長で臨床研究推進センターの三浦公嗣教授も選ばれている。「不祥事が公表されたのは2月28日。提供中止から1ヵ月半後では遅きに失する。塾内では、『塾長選の票集めに影響する為、執行部が発表を遅らせたのではないか?』との観測が、早くから飛び交っています」(三田会関係者)。同級生トリオによる専横は、何も今に始まったことではない。「末松君はAMEDへ行くに当たり、慣例を破って医化学教室の教授職に留まった。今でも、毎週土曜日には研究室に来る。“教授不在”の医化学教室で、研究や教育はどうなるのか? 将来、塾長になる為なら何でもする。戸山塾長が実現すれば、同じ医学部出身の末松君の出る幕はありません。そこで、岡野を当て馬にした。末松君の狙いは、あくまで“戸山潰し”。岡野が塾長になれるとも、その器だとも思っていない」(私大医学部教授)。末松氏の“実力”は、岡野・福田両氏より一枚も二枚も上。学部長となった選挙戦は、今も語り草だ。「後に8人も教授を出した同期を中心に、票固めに奔走。准教授連中には、『俺が学部長になったら、お前らは皆、教授だ』と手形を乱発しています。関与したベンチャーを計画倒産させ、浮いた金をばらまいた」(当時を知る元教授)。

20170531 08
末松氏には“ジジ殺し”の横顔もある。兎に角、“上”の覚えがめでたい人物として知られている。「消化器内科在籍中は、時の教授のお気に入り。教授になってからは、北島政樹氏(※後に国際医療福祉大学学長等を歴任)が医学部長の時代に力を付けていきました。北島氏が去った後は、池田康夫教授(※後に日本専門医機構初代理事長)に取り入り、引き上げられた。安西祐一郎前塾長とも良好な関係を築きました」(医学部事情通)。末松氏が現在理事長を務めるAMEDは、省庁の縦割りを排し、研究資金の適正な配分を目指して作られた組織。だが、実態はそんな綺麗事で済みそうにはない。キャリア官僚の1人は、「あまり変なカネの使い方をされると困るんですよね…」と宴席で吐き捨てている。「岡野教授の研究室には、10人もメンバーがいない。にも拘わらず、5年間で100億円もの研究費が付いています。研究室内の各グループが年間5000万円ずつ使うとか。大変な数字です」(私大医学部教授)。慶應の塾内政治の中心は、社会・人文系の学部が集積する“三田”。その三田には、権力志向を隠さない末松氏を嫌う者も多い。「このまま末松世代が居座り続けては危うい」と感じた医学部若手の一部は、戸山氏支持で走り出している。先月下旬から、塾内の各部門で塾長候補を2人ずつ推薦する為の投票が始まった。部門毎に所属する教授2人が選ばれるのが常。医学部では、戸山・岡野両氏が順当に推薦されることになりそうだ。「塾長を出す見込みのない2部門、“職員”・“一貫教育校”で誰が選ばれるかは重要。この顔ぶれで一般的な傾向が読める。一貫教育校部門は3月22日、文学部出身の常任理事・長谷山彰氏と岡野氏を選びました。長谷山氏は現執行部の要。一貫教育校と医学部長である岡野氏の縁は薄い。各校を回って票集めに励んだのでしょう。岡野氏は本気です」(前出の慶應OB)。複数の関係者は、口を揃えて言う。「慶應だけでなく、日本の高等教育の将来を占う上でも、今回の塾長選は大きな意味を持つ。今の医学部から塾長を出してはいけない」。


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