【ビジネスとしての自衛隊】(03) 現役&OB、“素顔”の自衛隊を語る

自衛官という職業は特別だ。平和を離持する為に、武器を手に訓練に明け暮れる日々はどんなものか。現役&OB自衛官が語る素顔の自衛隊とは――。 (※取材を基に座談会形式で本誌編集部が構成した)

20170601 05
――自衛隊といえば、やはり武器に代表される装備品についてお尋ねしたい。
A(陸自佐官)「装備に関して言えば、陸・海・空の予算配分が硬直化していることが大問題。必要とされる軍備はどんどん変わっていく。中国の脅威に対抗するのは海自と空自であって、陸自ができることは限られる。それなのに、未だに戦車の開発をして配備を進めている」
B(陸自佐官)「自衛隊が戦車を使って戦闘するかといえば、多分ない。しかし、一旦戦車部隊を廃止してしまうと、戦略環境が変わった時に困る。自前で戦車を造れなくなるし、部隊も運用できなくなる。毎年、静岡県の東富士演習場で行われる総合火力演習では戦車が大活躍するが、これは“伝統芸能”といったところかな(笑)」
C(元陸自尉官)「陸自の装備と部隊運用は米ソ冷戦時代のまま。旧ソビエト連邦が北海道か新潟平野に上陸、それを戦車で迎え撃つシナリオ。抑々、旧ソ連やロシアが上陸する訳がないのに、それをずっとやってきた」
D(元海自佐官)「暫く前から、海自は図上演習でも上陸絡みの演習には参加していない。『やっても意味が無い』と知っているから」
C「戦車の種類が多過ぎて効率的な運用ができない。74式・90式・10式と3種類の戦車がある。しかも、新たにタイヤを履いた機動戦闘車の配備がある。つまり、4つの戦車があるけれど、砲弾の融通性が低くて兵站に手間がかかる。『もう少し何とかならなかったのか?』と思う。90式と10式は、それほど性能に違いがないから、どうして導入されたのかもよくわからない」
A「装備に関して言えば、アメリカ軍はやはり凄い。近未来の戦闘は歩兵でも情報のリンケージが大事になるが、アメリカ軍で最新の装備を全部着けると数十㎏になるそうだ。命の値段が高くなり、アーマー(防護服)だけで10㎏を超える。IT化でサーバーを担いで走るようなもので、補助ロボットのようなサポート技術を入れないと歩兵が動き回れない。アメリカ軍は、こうした技術開発に熱心だ」
C「陸自の装備で隊員レベルで不満なのは、戦闘員にしっかりとした装備を与えていないこと。良い小銃、真面な防弾ベスト、ちゃんと通じる無線機の3つが欲しい。無線の性能が悪くて、近くても通じないことがある。無線の不満は多い」
D「『将来の戦争がどうなるか?』という研究は、海自は結構やっていると思う。幹部学校の戦略研究グループは、海外の動向にも割と敏感だ。空白がその次かな」

20170601 06
――自衛隊は23万人の実力組織。隊内での暴力・苛め・パワハラ等のブラック体質が指摘されます。
A「自衛隊は階級がある縦社会で、命令で動く組織。だから、上におかしな人が来ると若手は簡単に潰されてしまう面がある」
B「苛めについて私自身の経験を言えば、防衛大学校に入学してからずっと殴られたことはない。しかし、防大1年の時には『殴られたほうがマシ』と思うほど、上級生から苛められた」
C「曹(下士官)以下の世界では殴る等の暴力は日常的にあったし、今もある。陸士から陸曹に上がる時の陸曹教育隊では凄かった。新入隊員の時には殴られない。何故なら、新人を殴っていると直ぐ辞められちゃうから。逆に、陸曹候補生になるのは、ずっと自衛隊にいることを決めた連中だから、『どれだけ殴ってもいい』という雰囲気だった。教育隊では、2曹辺りが下を暴力的に支配する。殴る教育の悪いところは、学生たちが殴られないことだけを考えるようになることだ。『いい陸曹になろう』とか『これだけを身に付けて帰ろう』とかより、我が身を守ることだけを考えてしまい、教育隊での目的が達成されない」
D「海自に暴力が無いとは言わないが、それほど酷くはないと思う。尤も、色々な暴力事件が発覚しているから、根絶できていないのだろう。私の経験では、幹部候補生学校を終えた後の練習艦隊では散々殴られた。でも、練習艦隊から帰ってきて部隊に配属されてからは、殴られることが無くなった」
A「強力なリーダーシップがある連隊長や大隊長が来れば、部隊の雰囲気は変わる。『暴力は絶対に罷りならん』と隊長が徹底すれば、かなり減らせるのも事実。上の者次第だ」
C「直接的な暴力ではないが、反省文を強制するというやり方も横行している。嫌がらせの為に、鉛筆で5㎜間隔で線を引かせた上に反省文を書かせる。だけど、単純なミスだと書くことも無いから、ただ単に謝罪の文言を書き連ねるだけ。睡眠時間を削ってやらされる」

――組織の運営について課題はありますか?
B「アメリカ軍を真似た最先任上級曹長の制度に課題がある。曹で優れた人材を選抜し、部隊幹部として位置付ける仕組みだ。兵士や下士官と将校(幹部)との繋ぎ役を期待されているが、あまり機能していない。アメリカ軍では、若手への教育方法やリーダーシップを徹底的に教え、高い素養を身に付けさせる。日本は古参の准尉を順に選んでいるだけで、上手く機能していない」
A「組織の硬直性という点で、こんなエピソードがある。これは聞いた話なのだが、東北の某部隊にある装備品が納入される予定だった。そこに3月11日の東日本大震災が起きて、物流が止まってしまった。武器と違い、宅配業者が配達するような小さな物だったのだけれど、基地の調達担当者は『3月の年度末までに納入してくれないと困る』と強硬だったそうだ。しかも、当分は絶対に使うことがなさそうな装備品。その彼にとっては、大震災があっても、年度末までに装備品を揃えることが最優先すべき仕事だったのだろう」

――自衛隊は人手不足です。
D「人が足りないのは陸・海・空どこも一緒だけれど、特に海は酷い。優先順位が低い船だと、7割くらいしか乗っていないことがある。だから、一人二役・三役が当たり前。例えば、船内で機関長とか航海長とか、“長”の下に5人いる筈が3人しかいない。上官が『あのバルブを閉めてきてくれ』と命じて、後ろを振り返ると誰もいない(笑)。しょうがないから自分で閉めに行く。そんなことが日常的になっている。誰かが風邪なんて引くと、もう大変だ」
C「暴力や苛めがあっても、人が足りないから、簡単に処分したり、部隊から外したりできない。だから増長するヤツが出てくる」

――中学校の学習指導要領に銃剣道が採用され、話題になりました。陸自では新人に必須となっていますが、この時代に自衛隊員に必要ですか?
B「銃剣道は有用だと考えている。銃剣道に熱心な陸曹は、勤務成績のいいことが多い。戦技としての有用性は兎も角、積極性の涵養という点で教育に生かせる」
C「陸自では持久走・射撃と並ぶ“3大戦技”としているが、現代の戦闘において銃剣で決着をつけるなんてことは100%ない。それに、部隊毎に競わせるから、訓練そっちのけで銃剣の稽古をしている。選抜された銃剣道訓練隊だと、1日8時間くらい稽古して、日常業務を全くしない。自衛隊がそんなことをしていると知れたら、国民は怒るのではないか?」


キャプチャ  2017年5月13日号掲載

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