『山健組』の動揺で抗争は新章へ――『神戸山口組』に深刻な亀裂! “切込隊長”織田絆誠の叛逆決意

『神戸山口組』若頭代行として、6代目との戦いを最前線で指揮してきた織田絆誠。神戸側の中核組織『山健組』の副組長でもある彼が、昨今は組を割って出る腹積もりらしい。厚い忠誠心で知られた織田の叛心に迫る! (取材・文/フリージャーナリスト 柳沢十三)

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『神戸山口組』(井上邦雄組長)が指定団に名を連ねてから、今年4月15日で1年が経過する。2015年8月末、6代目山口組(司忍組長)で分裂騒動が勃発。直後に神戸側が誕生して以降、両組織関係者が関与した傷害等の事件は、合計で90件ほど発生した。「2015年の末頃から、互いの組事務所等に対して、銃撃・車両突入・火炎瓶の投げ込みといった荒っぽい攻撃が相次いだ。年が明けると更にエスカレートし、抗争事件が連日発生するようになった。両組織の地元である関西圏だけでなく、北海道・東北・関東・東海・九州地区で、同時多発的に両組織は何度となく激突した」(ヤクザ業界に詳しいフリーライター)。抗争を激化させていく両組織だったが、その前に立ちはだかったのは警察である。昨年3月7日に、警察庁は「両組織は抗争状態にある」と認定し、取り締まりを強化。続いて、翌4月15日に神戸側が全国で22番目の指定団体となった途端、それまで頻発していた抗争がぴたっと止んだ。具体的には、3月7日から4月14日までには25件発生したが、同月15日からの約2ヵ月の間では僅か4件にまで激減したのである。「2016年の5月中旬には、両組織の最高幹部同士が密かに会って、和解に向けての話し合いの席が設けられたと言われている。同月31日に岡山県内で、神戸側の池田孝志舎弟頭が率いる池田組(岡山県)のナンバー2である髙木昇若頭が、6代目側の3代目弘道会(竹内照明会長)系組員に射殺される衝撃的な事件も起きたが、両組織の組員とも、上からは『絶対に騒ぐな』と厳しく言われていたようだ。だから、目立って大きな事件は岡山での射殺事件くらいだろう。もう、昨年の2月・3月頃のような激しい争いは起きないんじゃないか?」(関東で活動している他組織幹部)。

この平穏を破ったのは、今年1月、京都の老舗博徒組織である『6代目会津小鉄会』(馬場美次会長)で起きた分裂騒動だ。次期会長に金子利典会長代行を推す神戸側の『4代目山健組』(井上邦雄組長兼任)と、原田昇若頭を推す弘道会との間で、あわや代理戦争突入の危機的状況を迎えたのである。京都府警による厳重な取り締まりもあって、両者間での紛争は回避されたが、久しぶりに6代目側と神戸側が直接に対峙した事件だったと言える。その後、其々1月に金子会長代行、2月に原田若頭が継承式を挙行して7代目会長に就任するという前代未聞の事態へと発展し、現在に至っている。京都での分裂騒ぎの内情をよく知る6代目側の3次団体元幹部が語る。「会津小鉄会の一部勢力が神戸側へ行かないよう、特に引き止めに力を入れたのは弘道会だ。元から、会津小鉄会は6代目側の親戚友好団体だったし、尚且つ、組織の後見役を務めたのは、弘道会の2代目会長だった髙山清司若頭だったことからも、弘道会が6代目側の先陣を切って頑張るのはわかる。7代目継承式に6代目側の執行部や直参らを大量に出席させた背景にも、『会津小鉄会は6代目側のものだ』という強い意志があった筈だ。一方の山健組も頑張ってはいるようだが、上部団体を巻き込んでのアピールでは弘道会に比ベたら弱い。山健組内での足並みが揃っていないのかもしれない」。実は、この元幹部が危惧していた山健組の内部事情についての驚くべき噂が、会津小鉄会の分裂騒動の裏でヤクザ業界全体に広まっていた。それは、「“神戸側の核弾頭”とも称された織田絆誠若頭代行(山健組副組長)が、神戸側から離脱して独立団体を結成するかもしれない」といった内容だった。織田若頭代行は、神戸側の発足直後に、山健組の最高幹部から神戸側の直参へとジャンプアップを果たし、更には若頭代行という執行部の要職を任される離れ業を成し遂げた。また、全国各地に散らばる山健組系傘下組織を回って、組員らを鼓舞し、より結束を固めるという重要な任務も担ってきた。織田若頭代行が、山健組系組員を始め、神戸側系組員らに遂行させたとされる6代目側系組織への示威行為は、相当の効果があったと言われているのだ。「井上組長からの信頼も厚く、未だ50歳という若さを武器にして、イケイケに見えたから、『まさかそんなことはあり得ない』と初めて聞いた時は思った。ところが、噂は消えるどころか日増しに大きくなるばかりで、遂には定例会の席上、業界中に流れている噂を自ら否定したらしい。それでも、未だに『神戸側から独立する“Xデー”はいつなのか?』といった憶測が流れている。あらゆる情報を総合すると、どうやら山健組における人事について、織田若頭代行が納得していないのが原因というのが濃厚だ」(中国地方に本拠を構える他組織関係者)。

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山健組は、ヤクザ組織としては少々変則的なスタイルを採用している。通常、代紋頭とも呼ばれる1次団体のトップに就任すると、それまで率いた自組織の跡目は若頭等の有力者に譲るのが慣例である。しかし山健組では、神戸側のトップとなった井上組長が未だに組長を兼任しているのだ。分裂直後に「ブランドや伝統がある武闘派名門組織を継がせるのは荷が重過ぎる」として、敢えて井上組長は時間を置いたのかもしれないが、「そろそろ跡目禅譲について考え始めている」との話もある。そして、そこにこそ織田若頭代行にとっての不満の種が潜んでいるというのだ。これについて、山健組の内情に詳しい地元関係者から話を聞くことができた。「山健組は大所帯だから、執行部の役職が幾つもあって、副組長・若頭・舎弟頭・若頭代行・本部長等、一見すると誰が一番偉いのかわかり難い。だが、トップの組長に就くには必ず若頭の椅子に座るのが決まりとなっていて、井上組長も3代目体制で若頭を務めた経験を持っている。今は大ベテランの伏見繁造若頭が務めているが、年齢的にもトップに就くとは思えない。そこで、次期若頭の最有力候補は、織田副組長と中田広志若頭代行(『5代目健竜会』会長)の2人に絞られている」。両名とも山健組には多大な貢献を果たしており、「才覚や手腕も申し分ない」と多くの関係者から太鼓判を押されているが、互いに強いライバル心を持っているという。

「2人の仲が良くない為、『どちらかを若頭に決めると、もう片方が組織運営に協力しないのではないか?』と危惧して、井上組長も次期若頭を決められないでいたらしい。しかし、今年に入ってから、次期若頭として中田若頭代行の名前が各方面から聞こえるようになってきた。これは井上組長も承認しているとの話だ。当然、織田副組長は面白くないから、いざとなったら山健組、更には神戸側からも離脱する画策を始めたようだ」(同)。山健組におけるナンバー2の争い、つまりは将来的にはトップの地位を巡る争いだが、それが山健組に暗い影を落とし、結束力を始めとして様々な面で悪影響が出てきている。今年3月14日、赤坂の繁華街で、住吉会系傘下組織と山健組系傘下組織との間で、ちょっとしたトラブルが発生した。住吉会側からは60人ほどが応援として現場に駆け付けたのだが、山健組側は僅か10人ほどだったという。「車に乗った山健組系組員を見つけた住吉会系の人間が、用心の為に仲間を沢山呼び寄せたらしい。だが、何事もなく終わって禍根も残っていないようだ。但し、一時的には緊張が高まって、警察官も現場に出動したと聞いている。それにしても、トラブルを聞いて『変だな』と思ったのは、『山健組も住吉会に対抗して人を集められなかったのか?』ということだよ。去年だったら100人くらいは簡単に集められただろう。連絡が付かなかったのか、それとも機動力が落ちたのかわからないが、山健組内でいまいち歯車が噛み合っていないのかもな」(東京都内に本拠を構える6代目側の3次団体組員)。更に、織田若頭代行に関しては、「井上組長との関係が口も利かないほど冷え切っている」という噂まで、実しやかに流れている。そこで、この事態を重くみた寺岡修若頭(『侠友会』会長)が、2人の間に入って関係修復に乗り出したそうだ。「『井上組長と織田若頭代行の関係が、神戸側において非常に重要である』と捉えている寺岡若頭は、随分と努力しましたが、あまり好転しませんでした。『織田若頭代行が離脱するのは時間の問題』と読めている最高幹部もいると聞いています。今、織田若頭代行が組織を割って出ないのは、支えてくれた者たちが自分の離脱後に不遇な目に遭わないよう気を遣っているからです。『それさえクリアできれば直ぐにでも出ていく』と周囲には話しているようで、もう未練は無いようです」(関西で活動する神戸側の3次団体幹部)。織田若頭代行の周囲から鳴り始めた不協和音は、今や神戸側全体に及び、「離脱の連鎖が同時多発的に始まる」と予測する関係者も少なくない。事実、ごく最近には、神戸側の有力直系組織の幹部が、6代目側の有力直系組織へ、組織を率いて移籍しているのだ。現在、組織内で強まりつつある遠心力を弱めようと、神戸側の上層部は躍起になっているという。こうした神戸側の動向を、6代目側は見逃さなかった。ここぞとばかりに攻勢をかけて、執行部人事に着手したのである。「3月の定例会で、津田力若頭補佐(『4代目倉本組』組長)・安東美樹若頭補佐(『2代目竹中組』組長)・野村孝若頭補佐(『3代目一会』会長)が新たに執行部へ加わることが発表されました。“幹部”から一気に3人を昇格させ、執行部体制の強化を図ったんです。これは、人事が原因で大きく躓いている神戸側に対する皮肉が込められているのは間違いありません」(全国紙社会部記者)。

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また、7代目会津小鉄会の原田会長と最高幹部の一行は、3月25日に6代目側の親戚友好団体を訪ねて関東に足を運び、書状披露の挨拶を行っている。これに先立って原田会長一行は、名古屋にある弘道会本部にも挨拶に訪れていたようだ。「親戚友好団体同士が仲良く親交を深めることは、親戚団体が神戸側へ流れることを抑止する効果があり、6代目側にとって大きなプラスです。2月には稲川会(清田次郎会長)一行、3月には松葉会(荻野義朗総裁・伊藤芳将会長)一行が神戸の総本部を訪問し、司6代目や最高幹部らと和やかに会談しています。一方、神戸側も7代目会津小鉄会の馬場総裁や金子会長、9代目酒梅組の吉村光男組長らと仲良くしていますが、他団体との交流は6代目側ほど活発ではありません。今は内部で問題が起きているので、外部を見る余裕がないとも考えられます」(ヤクザ業界の動向に詳しいジャーナリスト)。組織内外において積極的に刷新を進めていく6代目側と、最有力2次団体である山健組内での齟齬が組織全体へと伝播しそうな神戸側。現在、6代目側は大きなリードを保っているように見える。警察・司法当局の取り締まり強化により、抗争等の力比べでの戦いができなくなってから、こうした外交能力や組織力での争いにシフトチェンジしているようだ。静かで見え難い戦いが、今後は更に増えていきそうである。


キャプチャ  2017年6月号掲載

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