【徹底解剖!東京都庁】(02) 小池百合子知事が挑む都議選・豊洲・五輪“炎の3番勝負”

“都民ファースト”を合言葉に、2017年夏、勝負の都議選に臨む小池百合子知事。今後の東京の進路を大きく左右する大勝負に、都庁職員たちも“臨戦態勢”を整えている――。 (取材・文/本誌編集部)

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2017年2月5日、千代田区長選挙。都政で対立する小池百合子知事と“都議会のドン”こと内田茂都議の代理戦争と言われたこの選挙で、小池氏が支援した現職の石川雅己氏(75)がライバルに大差をつけ圧勝、5選を果たした。内田氏と自民党都連が支援する新人の与謝野信氏(41)はトリプルスコアで敗退。東京大学を中退し、ケンブリッジ大学に進学、叔父は元官房長官の与謝野馨という華麗なる経歴も、区民の支持を集めることはできなかった。「ここまで大敗するとは思わなかったですね」と自民党都連関係者が首を捻る。「小池さんと自公推薦の増田寛也さんが激突した2016年7月の都知事選で、増田さんは千代田区で8000票以上を獲得している。普通にいけばそれくらいは取れる筈だと思っていたのに、5000に届かない4758票ですから。朝青龍(※3人目の候補の五十嵐朝青氏)が意外に頑張った(3976票)ことも影響したが、それにせよ、この結果では内田さんの神通力が衰えたことを完全に印象付けた」。勝負の選挙で惨敗した内山氏は、2017年夏に予定されている東京都議選(※7月2日投開票)への出馬を回避、政界を引退する見込みで、長年に亘り都議会に隠然たる影響力を及ぼしてきたとされる内田氏の時代は、終焉に向かうことになりそうである。「内田氏にとって、全ての誤算は昨年の舛添騒動でした」と全国紙政治部デスクが語る。「参院選と一連の騒動が重なり、官邸サイドからの圧力もあって、舛添氏の辞任を防くことができなくなった。内田氏にとっての誤算は、そのこと自体ではなく、都政と都議会があまりに注目を浴び、自分自身にメディアの関心が向けられてしまったことです。石原知事時代から表には出ない実力者として存在感を発揮してきたところ、“都議会のドン”と呼ばれるようになって、身動きが取れなくなった。都知事選の選挙期間中、元都知事の猪瀬さんが、2011年年に自殺を遂げた樺山卓司都議の“遺書”を公開し、内田氏が“東京都を牛耳る巨悪”とのイメージが拡散した。インターネット時代の情緒的な情報戦に、高齢の内田氏はついていけない印象だった」。

内田氏は1975年、千代田区議会議員に初当選。1989年に都議へ転じ、2013年の都議選で7選を果たした。「“都議会のドン”というのはメディアが勝手に付けた名前で、全てを牛耳ることができたカリスマだったという訳ではない。内田氏は、民主党に風が吹いた2009年の都議選で落選しているが、世論の逆風で落選するようなレベルでは本当のドンとは言えないでしょう。ただ、所謂実力者であったことは間違いないことで、都連の幹事長を10年以上務め、都議や区議の公認権を握ることで、東京を選挙地盤とするあらゆる政治家に対し、影響力を持つようになった」(同)。内田氏は2005年、対立していた浜渦武生副知事を辞職に追い込み、それまで国会議員のポストだった自民党都連幹事長に就任。公認権と同時に、都の幹部職員をも掌握することに成功した。当時、知事だった石原慎太郎氏は、週に1~2回しか登庁しない為、幹部たちは先に内田氏にOKを取るようになり、いつしかそれが習慣化したという。だが、舛添騒動によって内田氏の存在がクローズアップされると、都知事に名乗りを上げた小池百合子氏は、内田氏を“仮想敵”として選挙戦を戦うようになる。既に77歳と高齢の内田氏と自民党都連は、都知事選で増田寛也氏を支持したものの、世論をバックに戦う小池陣営にあっさり切り崩され、自身のお膝元である千代田区長選でも大敗。一気に人心が離れた。こうなると、夏の都議選で最大派閥を狙う小池政党『都民ファーストの会』の勢いは増す。「当面、目指すは都議会の過半数議席になるでしょう」と前出のデスクが語る。「都民ファーストの会と公明党等の支持勢力を合わせ、都議会定数127の過半数を目指す。この為に、小池氏は最終的に都民ファーストから60人以上の候補者擁立を考えている。内田氏が引退し、知事が今の勢いをそのまま維持できるとすれば、決して無理な話ではありません」。都議会で小池勢力が過半数を握れば、議会で予算を通すことも可能になる。こうなると困るのは、ブームに乗る“小池系候補”をぶつけられそうな、選挙にそれほど強くない自民党候補だ。既に今年1月に入り、内田氏ら公認を得ていない、或いは今後も得られそうになかった議員を中心に、自民党会派を飛び出し、別会派を立ち上げる動きが噴出。都議選を睨んだ激しい鍔迫り合いが既に始まっている。「先の千代田区長選で、自民党執行部も『これ以上突っ張って、小池知事と先鋭的な対立構図を固めてしまうと、とことん悪者にされて相手を勝たせてしまう』ということに気付いた。だから、会派離脱の動きにも敢えて締め付けて処分することはせず、また豊洲市場問題で石原元知事らが参考人招致される可能性についても、これを黙認するような態度を取っている」(同)。嘗て、古い自民党を“敵対勢力”と批判し、世論を操って政権を運営し続けたのは、小池知事が敬愛する小泉純一郎元首相だった。その手法に倣うならば、小池知事としては自民党と事ある毎に対立軸を明確にしていきたいところだが、同化作戦を取られると意外に厄介なことになる。「これから、予算を巡る攻防で小池知事と都議会自民党がどこまで対立するかしないのかが、今後の流れを占う上での大きなポイントとなってくるでしょう」(同)。“敵がいなければ輝けない”という小池知事の意外な弱点を、自民党がどこまで露呈させることができるのか。決戦の時は迫っている。

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2017年に入り、地下水のモニタリング調査で環境基準値の最大79倍となるベンゼンが検出された豊洲市場。これまで不検出だったシアンまで検出されたことから、市場移転問題は益々混迷の度合いを深めてきた。都議会は2月7日、豊洲移転を決定した石原元知事や浜渦武生元副知事らの参考人招致を全会一致で決め、これに対し石原元知事も応じる構えを見せている。「向こう5年の都政を占う上で、非常に重要な参考人招致となるでしょう」と都政担当記者が語る。「小池知事がしっかりと都議会を掌握し、東京オリンピックを成功させ、1期のみならず2期・3期と知事の座を狙っていくのであれば、先ずは夏の都議選で一気に勝たなければならない。豊洲問題では責任論が浮上し、完全にヒール役に回っている石原氏の“虐殺ショー”を都民に見せられることができれば、小池知事率いる都民ファーストの会の支持率は飛躍的にアップする。しかし、石原氏サイドも老獪ですから、カウンター狙いで攻めの答弁をしてくる筈。少なくともいいなりに利用されることはないでしょう」。何れにせよ、これで豊洲移転が遥かに遠退いたことだけは確実だが、この問題を“移転か残留か”という形で争点にするのは難しい。ここまで豊洲にカネをかけてしまったのに今更残留したら、これはこれで都民の不満が出ることは必至で、小池知事とすれば、「移転か残留かの結論は先送りするとして、ここまで出鱈目なカネの使い方を許してきた石原元知事以下の責任を明確にする」というところで留めておきたいのが本音だろう。勿論、そのことは反小池勢力も重々招致しており、「小池知事自身は築地残留の考えなのか?」と突き詰め、自縄自縛の展開に持っていく狙いだ。

しかし、豊洲問題の参考人招致があくまで都議選の為の“ショータイム”に過ぎないとすれば、たとえ選挙で都民ファーストの会が大勝したとしても「その後が恐ろしいことになる」と自民党関係者は語る。「所謂“小池塾”出身の候補者たちを見ていると、とてもではないが個々の力で政策論争ができる力量も政治力も無い連中ばかり。追い風で当選しても直ぐにボロが出ることは確実で、都民から呆れられることは間違いない。元々、『政治家になれれば小池でも何でもいい』という連中の集団だから、今回公認候補に選ばれなかった連中からいくらでもネガティブ情報を取り込むことができる。有権者の皆さんも、その辺りはよく見ていますよ」。熱し易く冷め易い東京の選挙民。少なくとも、夏まで“小池劇場”の賞味期限を持たせることができなければ、思わぬ“冷夏”が待ち受けることになりそうだ。「1兆、2兆、3兆と。お豆腐屋さんじゃない。オリンピックのお金です」。都知事就任後、小池氏が真っ先に着手したオリンピック会場の見直し問題。『海の森水上競技場』(ボート、カヌー)・『オリンピックアクアティクスセンター』(水泳)・『有明アリーナ』(バレーボール)の3会場について見直しが議論されたものの、『国際オリンピック委員会(IOC)』・日本政府・東京都・大会組織委員会の協議により、基本的には何れもコスト削減した上で新設という流れに落ち着きそうである。当初は“建設中止”を念頭に始まった筈の会議だったが、結局は“作る”ということになったとすれば、「一体、議論は何だったのか?」という話になりかねない。1964年の東京オリンピック時は、未だ日本に世界基準の競技施設が整備されていなかった時代で、ある程度予算を度外視してでもアスリートたちの為に充実した施設を建設し、それをレガシーとする発想には意味があった。しかし今、この時代にカネに糸目をつけず、競技団体の要望に最大限応える意味がどれほどあるのか? それを広く世間に問いかけ、数百億円の予算削減を実現しただけでも、「小池知事の問題提起には意味があった」と考えるべきだろう。然るスポーツ紙デスクが語る。「移転問題については、どの競技場についても知事が森喜朗元総理に押し切られた印象がある。しかし、2020年のオリンピック開催まで、森さんとは何だかんだで“名勝負数え歌”を繰り広げなくてはいけない。ここは負けたとしても、対決構図をしっかりと印象付け、“いつも小池を苛める悪いヤツ”とのイメージをアピールできれば、小池知事にとって十分の序盤戦と言えるのではないでしょうか」。

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小池知事の敵は、悪人面の森喜朗元首相ばかりではない。寧ろ厄介なのは、安倍政権が送り込んだ“刺客”こと丸川珠代オリンピック担当大臣だ。“女の敵は女”というやつである。2017年2月にも、こんなバトルがあった。オリンピックの会場に内定している埼玉県川越市のゴルフ場が、規則で正会員を男性に限定している問題で、小池知事は次のように発言した。「折角スカートを穿いているオリンピック担当大臣もおられるのだから、もっと明確に(見直しを求めるように)言うべきだ」。すると、これに黙っていなかったのが丸川大臣。「大臣と都知事ではどちらが格上なのか、わからせてやる」とばかりに直接、小池知事に電話をかけ、真意を確かめたのである。「西新宿から打ったら、永田町のグリーンにワンオンっていう感じ」。小池知事の行動を無理矢理ゴルフに譬えてみせた丸川大臣であったが、この2人のバトルからも目が離せない。「小池知事は巧みな言葉・情報発信力で露出を増やす術に長けているが、その一方で、最後は相手と決定的対立を避け、含みを残すタイプ。国会議員時代にも、複数の政党を渡り歩きながら、常に最善のポジションをキープしてきた政治的渡世術は健在です。彼女の一番の目標は、国や東京を改革することよりも、自分自身が少しでも長く権力の中心地に立ち続けること。そういう視点で見れば、小池都政は一番わかり易い」(前出の全国紙政治部デスク)。歴史に残る平成の東京オリンピックを、都知事の立場で見届けることができるのか。2017年夏、東京は百合子カラーの縁で理め尽くされる――。


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