【儲かる農業2017】(11) “農機三国志”の勝算は…農機メーカー首脳3人に聞く

農業分野に参入する『コマツ』と、それを迎え撃つ2大メーカーの首脳に、成長戦略を聞いた。『クボタ』と『ヤンマー』には、「余分な機能が付いて割高になっている」といった農家の不満もぶつけてみた。

20170605 11
■技術革新は異業種に任せろ、農業は巨大ビジネスになる  野路國夫氏(『コマツ』取締役会長)
――農業には、エネルギーのどれくらいを割いていますか?
「頭の中の3分の1は農林業が占めています。支援している農家が成長して、関係者が喜んでくれるからハマってしまってね。パートナーの石川県からは、『コメの生産コストを5割下げてほしい』と言われています。これまで4割削減を実現しました。ポイントは農機による作業のみならず、工程全体を見直すことです」

――手応えを得たということですね。これからビジネスとして本格展開するのですか?
「日本の農家は既に農業トラクターを持っており、ブルドーザーの農業利用は急には増えないでしょう。農機メーカーも国内で大儲けしているようには見えません。ただ、海外では将来有望なビジネスになる。インドネシアでは、今後10年で田圃を新たに200万ha作ります。日本の水田面積に匹敵する規模の開発です。これからインドネシアの大学と連携して、コマツの農業技術が現地でも有効かどうかを試験します。ベトナムにも可能性を感じます。東南アジアでは、農業トラクターではなくブルドーザーが田圃を走っているのが当たり前になるかもしれません」

――政府・与党は、4大メーカーが寡占していた農機業界に競争を起こし、農家の選択肢を増やすことを目指していますが、それはコマツの参入で実現すると?
「その通りです。どの業界でも同じですが、イノベーションは異業種から生まれるものです。コマツがやったコメ作りの工程の見直しがその典型です。従来の発想で、農機を使うところだけ考えていても出てき難いアイデアです。コメの生産コストを半減させられれば、補助金が無くても経営が成り立ちます。すると、農家が自立的に研究開発や投資をするようになる。石川県のある農家は、当初は原価計算もできませんでしたが、今では3000万円の投資計画を自分で書けるまでに成長しました。皆、優秀なので、教えれば直ぐできるようになります。コマツの支援で農家が自立的に成長するのを見ると、『やってよかった』と思いますね」

20170605 12
■コマツの参入は大歓迎だ、ICT農機の進化で勝算あり  木股昌俊氏(『クボタ』代表取締役社長)
――農機業界は寡占で、韓国より高い価格で国内販売しているという指摘があります。
「競争が無いなんてとんでもない。自慢する訳ではありませんが、私が営業本部長をしていた時代から、クボタのシェアは35%ほどから50%近くに上がりました。韓国との価格差についても、『同じスペックの農機ならメーカー希望小売価格は変わらない』ということを政府・与党に伝え、ご理解頂けたと認識しています。国内での販売はJA全農が一律に行っているように思われていますが、実際には全農が扱うクボタの農機は全体の10~15%に過ぎません。全農からは価格を上げるのを止められているぐらいでして、コストアップを招いているというのは違うと思います」

――コマツの農業参入をどのように見ていますか?
「田植えをせず、田圃に種籾を蒔いて稲を育てる技術は、当社も10年前から取り組んでおり、確かにコストは4割下がります。コマツさんの技術で生産性が上がれば、農業が活性化し、需要を喚起できるので大歓迎ですよ。農機メーカーだけでなく、異業種とコラボしたほうが世界の農業の為になる。食料の安定供給という世界的課題を解決する為に、我々はやっています」

――「安くてシンプルな農機が欲しい」という声にどう対応しますか?
「海外生産比率が高いクボタは、現地で生産した部品を国内向けにも使う等して、安くて耐久性のある農機を出しています。ボリュームゾーンの農機はデラックス版とスタンダード版の2種類を用意する等、多様なニーズにできるだけ応える努力をしています。ただ、シンプルな機械と電子制御の機械では、後者のニーズのほうが大きいようです。『ICTを使うと割高になる』という懸念があるのは承知しています。しかし、ICTによって収量が1~2割高まり、省力化ができれば、数年で投資を回収できる。その試算を農家に示すと、ICTソリューション付きの農機を買ってもらえますし、リピート率も高いのです。普及に向けた手応えはあります」

20170605 13
■農家の所得を高めるのは土を知り抜く既存メーカーだ  鈴木岳人氏(『ヤンマー』代表取締役副社長)
――コマツの農業参入をどのように見ていますか?
「農業は、世界的に生産性の向上が期待されています。農業の成長を見込んで、異業種から参入してくるのは当然と言えます。ただ、農業は難しいのです。新規参入組は、これから苦労が多いと思います。湿田もあれば水気が少ない田圃もあり、同じ作業をしても違う結果になる。だから、機械の爪や回転数を調整するのです」

――「シンプルで安い農機が欲しい」というニーズにどう応えますか?
「『機械の導入費が少々高くなっても、省力化によってトータルではコストが下がる』ということを、丁寧に説明していきたいです。例えば、田植えで一番大変なのは苗箱を運んだり洗ったりする作業ですが、ヤンマーの技術で苗箱の数を3分の1にでき、トータルではコストを下げることができます」

――クボタとはどのように差別化しますか?
「農家へのサポート体制を打ち出していきます。現在、本社のサポートセンターで4000台超の農機の稼働状況を把握しています。収穫等の農繁期がやって来たことが一目瞭然なので、そこに整備用の器具等を積んだサービスカーを走らせます。直ぐに駆け付けることで、農機のダウンタイムを極力短くできる訳です。今後はビッグデータを解析して、故障予知の精度を高めていきます」

――「デザイン性の追求によって農機が割高になっている」と考える農家が多かったのですが。
「先ず強調したいのですが、デザインを良くすることで農機が高くなることはありません。ヤンマーのトラクターは昨年、グッドデザイン金賞を受賞しましたが、これは外観ばかりでなく、居住性や静かさ等も評価されたということを理解してもらいたいです。規模を拡大した農家は、1日10時間も農機に乗ることがあります。運転する人に負荷をかけないデザインが一層、大事になっているのです。担い手農家アンケートで、農機や保守サービスへの評価が他社より高かったのは、率直に嬉しいですね。それをシェアに繋げられるようにします」


キャプチャ  2017年2月18日号掲載




スポンサーサイト

テーマ : 経済・社会
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接
QR码
QR