【熱狂!アニメビジネス最前線】(08) 契約金額は急騰したが…中国のアニメ爆買いはどこまで続く?

20170606 06
中国による日本アニメの“爆買い”が凄まじい。2015年に中国が日本アニメの配信・放送等を目的に結んだ契約は286件(※『日本動画協会』のデータ)と、前年比4.4倍になった。契約額も、ここ数年で数倍に急騰。足元では、「1話当たり3万~5万ドルは当たり前。“進撃の巨人”のような超人気作品なら10万ドルも」(同協会関係者)という。背景には、動画配信サービスの戦国時代とも言うべき熾烈な競争がある。インターネット検索大手『百度』傘下の『愛寄芸』と『騰訊』は、ユーザー数2億人超のマンモス事業者だ。そこに『アリババ集団』傘下の『優酷』が続き、3強体制を形成している。下位にも複数のプレイヤーが犇めき、ユーザー獲得競争を繰り広げている。この競争環境の中で、業界各社はコンテンツIP(知的財産)の囲い込みに懸命だ。人気作品を独占配信できれば、競合と差別化できる。また、スマートフォンゲーム等様々な2次利用が可能になるクロスメディア契約も盛ん。配信のみの契約より金額が嵩むが、「ヒットすれば旨みが大きい」という期待だ。この結果、映画やドラマ等あらゆる映像コンテンツが高騰しており、その恩恵を日本アニメも受けている。

特に日本アニメは、“90後”と呼ばれる1990年代以降に生まれた消費性向の高い世代に好まれる。アニメ専門配信の『ビリビリ動画』は、ユーザーの平均年齢が17歳といい、「彼らは成人後も継続して2次元コンテンツを消費する」(広報担当者)と、長期的な消費力に期待を掛ける。中国では嘗て、ユーザーが動画を違法アップロードしても、著作権者からの申し立てに応じて削除すればサービス事業者は賠償責任を免れる“避風港原則(セーフハーバールール)”を盾に、海賊版アニメが野放しだった。事業者自らがユーザーを装い、海賊版を公開する不正行為もざらだった。この状況は2010年頃を境に変化し、正規配信が急拡大している。最大の要因は、政府がコンテンツ産業の育成と、知財権侵害に対する国際的風当たりの緩和を狙って、著作権保護に舵を切ったことだ。この結果、海賊版を配信した事業者が同業に訴えられ、賠償金を支払う事例が出ている。中国資本のアニメスタジオ『総夢』(東京都武蔵野市吉祥寺)の李豪凌代表取締役は、「3年後には完全に海賊版が無くなるだろう」と予測する。だが、日本のアニメ制作者は現状を楽観視していない。過当競争で配信事業者の業績・財務が悪化しているからだ。百度の昨年度のアニュアルリポートによると、愛奇芸は売上高約53億元だったが、IP取得費用が77億元に達していた。売上高以上のコストがかかるのでは、事業が行き詰まる日も遠くない。立命館大学映像学部の中村彰憲教授は、「現在はユーザー数の拡大や2次利用を目的とした投資先行の時期で、動画配信での収益化は困難な状況」と指摘する。こういった中、独立系の『楽視網信息技術』は、電気自動車等に事業を拡大した結果、逆に資金難に陥った。今年2月末には『アジアサッカー連盟』主催試合の独占放映の契約金が払えず、契約解除に追い込まれるトラブルがあった。抑々、「中国では、日本のアニメの配信市場は成長のピークを過ぎた」(アニメコンサルタントの百元籠羊氏)という指摘もある。競争の後には必ず、敗者が淘汰される時期が来る。アニメ爆買いの宴も転換点にある。 (取材・文/フリージャーナリスト 高口康太)


キャプチャ  2017年4月1日号掲載
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