【天下の暴論2017】(07) ニッポン“分国”のすすめ

20170607 06
国会で、在野で、国の在りようを巡って論議が続く。が、議論は交わることなく、戦後72年になろうとしている。国会では概ね自民党が多数派を占め、戦後の枠組みを決めてきた。その節々で自民党の横暴が批判され、昨今は最大野党の党首が「息をするように嘘を吐く」と首相を国会で詰るまでになった。国会の外でも、著名な政治学者が「安倍! お前は人間じゃない! 叩き斬ってやる!」と叫ぶ。断末魔のような日本政治に窓を開ける為、志向の似た者で集い、新しい国を創ってはどうか? 国民の、国民による、国民の為の協議離婚だ。3年なら3年と期限を区切り、一気呵成に進めよう。前向きであっても、内向きの議論に時間を取られ過ぎるのは国民経済にマイナスだからだ。国際情勢も激変している。分国の利点は、野党が知識や経験を実地に活かせることだ。約2500年前、老子は“小国寡民”の理を説いた。ギリシャでは、プラトンが「民主政は無政府状態になる」として、賢者と専門家による統治を描いた。現代に擬えれば、賢者は各党のリーダーであり、専門家はその知恵袋集団だろう。民進党も、鳩山由紀夫・菅直人の二枚看板で立ち上げた民主党から数えれば21年、社民党は日本社会党から71年、日本共産党は95年だ。民族自決には逆行するが、国を樹てる時ではないか? 朝鮮民主主義人民共和国の元書記・黄長燁も、野党についてプラトン的だ。「必要ない。政権は1つだ。政治はどこまでも公的であり私的になってはならない」(『金正日を告発する』・産経新聞出版)とする。北朝鮮の国家理念“主体思想”を主導した黄の韓国亡命(1997年)に世界は驚愕したが、黄は北朝鮮の体制を全面否定しながらも、議会制民主主義を善しとしない。

社長が指し示す途を役員が端から腐していたら、組織は成り立たない。旧ソビエト連邦・東欧・中国・北朝鮮・カンボジア・ナチスドイツ…。野党が無い国の歴史が悲惨過ぎる為、議会制をいいもののように思ってきたが、こうした国々はトップが悪過ぎたのだ。国会で分国が合意され、各党の立国準備委員会から目指す方向が示されたら、我々も立国の討議に加わろう。「民は之に由ら使むべし。之を知ら使むべからず」。論語にある孔子の言葉だが、「大衆の信頼を得ることはできても、施策の意味するところを民にわからせるのは難しい。上に立つ者の責任は、それだけに重い」の意だと高校で習った。が、立国の議に自分も加わるとなれば、私も細部まで理解するように努める。やり取りを通し、公共への思いがプレ新生国家内に芽生えれば、閉塞感に苛まれている若者たちの気分も躍動しよう。『大和古寺風物誌』で知られる文芸評論家の亀井勝一郎が、昔、『中央公論』に歴史について連載(※『現代史の課題』・岩波現代文庫)した折、編集部の勧めで東京大学教授・丸山眞男に話を聴いた。ある日、その丸山が担当編集者に「なんで私は敵にこんなに塩を送らなくてはならないのかね」と毒突いたという。言われた粕谷一希が書いている(※『中央公論社と私』・文藝春秋)。1960~1970年代によく読まれた埴谷雄高は、政治の要諦は「敵を殺せ」だと説いた(※『幻視のなかの政治』・未来社)。スターリン・毛沢東・金日成らの所業を思えば、それが本質なのかもしれない。ならば、平和裏に敵と分かれ、理想とする道を互いに歩むのがいい。国は幾つ生まれるだろう。自民&維新&日本のこころ・民進・公明・共産・社民・自由・沖縄社会大衆…。7つは可能だ。数ある宗教団体も立国すれば、更に増す。分国は、中韓両国との冷えきった関係を好転させる筈だ。野党創建の国々が、中韓両国や北朝鮮との親交を篤くするだろうからだ。日本の存在感が薄くなれば、日本軍国主義の復活を言い募る中国の批判や韓国政界・マスコミの日本攻撃も和らぐ気がする。人材はどうか? 心配ないと思う。郵便制度を我が国に導入した前島密は、明治10(1877)年頃の内務省をこう描く。「十幾畳ばかりの座敷に大久保(利通)さんも私どもも諸官省の人もおるという風で、地方官が来てもそこで一緒に弁当を喰いながら行政の相談をするという始末、それが大久保公がいると事務がドシドシ運んだものだ」(『大久保利通』・佐々木克監修、講談社学術文庫)。コンビニほどの広さもない畳部屋で、20代・30代の若者が、徳川幕府崩壊から日を置かず、世界の荒波に伍したのだ。人材は今もきっといる。各党の専従職員・少壮官僚・文化人らが「先ず隗より始めよ」と若き血を燃やすのではないか。“小和田次郎”のペンネームで書いた『デスク日記』で名高い原寿雄(『共同通信』元編集主幹)は、『読売新聞グループ』を率いる渡邉恒雄と並ぶマスコミ界の長老だ。現在92歳の原は、「いまは準戦時体制。政府に寄り添う新聞と、その批判派とで、日本のメディアは内戦状態にある」(『現代の理論』デジタル第3号、2014年12月7日から)と緊張気味だ。分国は内戦の防止になる。マスコミ界と論壇を二分してきた問題も、分国で粗方片付く。自民党を核とする国では憲法を改め、憲法学者が違憲としてきた自衛隊の位置付けを明確にするだろう。日本国憲法を引き継ぐ民進国は自衛隊を廃止し、自然災害救援隊に切り替えるかもしれない。納得しない民進党員は自民国に移る。社民国は非武装だ。何れにせよ、自衛隊が違憲か否かの問題は消える。

本州等から移り住む人と、沖縄に残る人との協同で琉球共和国ができれば、基地問題は琉球政府とアメリカ政府の交渉事だ。中国も基地を欲しいと言い出すとややこしいが、自分らの政府が決めたとなれば、基地問題も終息する。安倍内閣は「水素エネルギー社会の実現を目指す」という。二酸化炭素の排出が止まれば、地球温暖化対策の切り札にはなる。ただ、「水素の製造には膨大なエネルギーが必要で、原子力発電所の再稼働が欠かせない」ともいう。その点は、中国政府と認識が一緒だ。一方、元首相の小泉純一郎は原発の即時廃炉を訴え、野党と足並みを揃える。野党が原発から遠く離れて立国しても不安は消えないだろうが、分国は問題の緩和に繋がる。日の丸・君が代を巡る論争にも蹴りがつく。自らの意志で参加した国の国旗に目を背けたり、国歌に唇を結んだりでは妙だ。愛国心も全ての国で自然なものとなるだろう。死刑制度の問題は、残しそうな自民国と止める野党国とに分かれることで、論争は休止されるだろう。一党専制の国に国政選挙・地方選挙が残るか疑問だが、残る国では、今は外国籍の人たちの中から、国籍を取って国政を担おうとする人が大挙出るかもしれない。尤も、民進国が民主党政策集の“重国籍容認”を引き継げば、国籍問題は生じない。心配なのは言論の自由だ。中国の漁船が尖閣諸島沖で海上保安庁の巡視船に体当たりする事件があった。石垣海上保安部は船長を公務執行妨害の容疑で那覇地検に送るが、中国は「巡視船がぶつかってきた」と怒った。船長の即刻釈放を日本に要求し、政府(※当時の民主党・菅直人内閣)は応じた。事件から2ヵ月後、衝突時の模様がインターネット上に流れた。動画を投稿したのは、海上保安庁の中堅幹部だった。ビデオには中国報道と真逆の情景が映っており、興論は沸いたが、メディアの中には「高度に政治的案件である。(非公開を決めた)政府や国会の意思に反する行為であり、許されない。政府は漏洩ルートを徹底解明し、再発防止のため情報管理の態勢を早急に立て直さなければいけない」(朝日新聞2010年11月6日付朝刊)と逆の主張があった。国の安全を左右する問題での秘密保護を政府に迫るものだった。保安官は辞職後、「『インターネットを使えば事実を国民に伝えられる』と考えた」旨語った。野党が存在しない全体主義国は効率的な半面、メディアが政府と一体となってしまう懼れがある。新生国がどっと湧き出た時、どのくらいの人が自分の夢を託す国に移るだろう? 1000万人はいない気がする。国が幾つできようと、中国や北朝鮮のような国民弾圧国家にはならないだろうし、オフィスや工場も“多国籍”企業の国外拠点として続く。何が何でもX国に移るというのは、党員・信者・知識人に限られるのではないか? 日本国憲法は第1条で、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」と規定する。“国民統合”とある以上、分国はひょっとすると違憲だ。が、前文には「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とある。内戦を避け、生存を保持する為の分国なのだから、最高裁も合憲と判断すると思う。“××のポチ”・“アホノミクス”等と、有り余る能力を誹謗と中傷にのみ注ぐのはもったいない。其々がその力を全開できる場を築こう。国境の管理を考えると、北海道・本州・四国・九州・沖縄、それに淡路等幾つかの島が各国領土になるとスムーズだ。無論、自由往来でいい。連邦の必要はないが、相互不可侵条約は結びたい。 《敬称略》 (朝日新聞元記者・國學院大学非常勤講師 永栄潔)


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