【霞が関2017夏】(01) このままでは見られない“4K放送”

現行のハイビジョン放送の4倍の精細さ、豊かな色彩。“4K”と呼ばれるテレビの映像方式だ。更に、現行の16倍となる“8K”のテレビも順次登場する。家電量販店でも4Kテレビが売られており、既に購入済みという人も多くいるだろう。『NHK』や民放各局は、2018年12月からBSで4Kの実用放送を始める。その実用放送、今の4Kテレビでは見られないことは、どれだけ知られているだろうか? 4Kの実用放送を見るには、それに対応した画素数を持つ液晶パネルと、画像エンジンを積んでいる4Kテレビが必要だ。だが、市販されている現在の4Kテレビは、実用放送に対応したチューナーが搭載されていない。実用放送を見るには別途、チューナーを購入しなければならなくなる訳だ。だが、このことが一般に知られているとは言い難い。4K放送を管轄する総務省は、周知をしようとしている。今年4月には、業界団体や放送事業者ら28団体・事業者で構成する『4K・8K放送推進連絡協議会』を立ち上げ、普及に向けた広報・周知活動を図る為の会合を始めた。先月の連休期間中には、インターネットの動画サイトで4K放送の魅力と受信する為の方法を紹介した4分程度の動画を3本配信し始めた。しかし、1ヵ月の配信で其々の視聴回数は2000~3000回程度。周知活動は些か迫力不足と言わざるを得ない。実は、総務省は「周知への本腰が中々入れられない」(幹部)。その理由の1つは、来年から始まる4K実用放送がBSだという点にある。4K実用放送は、新たにチャンネルを加える形で放送が始まる。今のハイビジョン放送が終わる訳ではない。

地上デジタル放送が始まった時は、地上アナログ放送の“停波”で見られなくなるテレビが出てきたが、今回は“見られないテレビ”が出る訳ではない。しかも、対象が地上波ではなくBS。スポーツイベント・紀行番組・夜のニュース等、BSにも人気番組はあるが、視聴者数は地デジには敵わない。視聴者が圧倒的に多い地デジはそのままハイビジョン放送が続く訳で、地デジが始まった時と比べると、事態はそれほど緊迫してない。しかも、現時点では4K実用放送に対応したチューナーやテレビがどこにも売っていない。いつから手に入るかもわからない。当初は来年夏にテレビやチューナーが店頭に並ぶというスケジュールだったが、「目途は立っていない」(総務省関係者)という。何故か? 実は、チューナーの仕様を業界団体で詰め切れていないことが背景にある。デジタルテレビは、購入した時に『B-CAS』というカードを挿入すると使えるようになる。カードに組み込まれたICが、視聴防止機能を解除する仕組みだ。このB-CASを、新しい方式ではチップにし、機器に内蔵することが検討されていたが、回収等の手間を踏まえ、「今のようなカード式にすべきでは?」との議論が浮上している。内蔵式・挿入式、何れも機器の形状を大きく変え、商品開発にも影響を及ぼす。それが、実用放送が始まる1年半前になっても決まっていない。来年12月の実用放送開始というスケジュールは、中々変え難いだろう。だが、周知をしようにもし難い状況は続く。「うちの新しいテレビで見られないなんて聞いてない」。そんな声が来年末、全国の家庭から聞こえてこないといいが…。 (秋山文人)


⦿日本経済新聞電子版 2017年6月6日付掲載⦿
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