【警察・腐敗する正義】(22) 「このままじゃ警察は地獄に堕ちる」――飛松五男氏(元兵庫県警刑事)インタビュー

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このままでは、警察は地獄に堕ちる――。2005年に警察を定年退職して以来、僕はずっと警察の腐敗について指摘してきました。警察が憎いからではありません。逆ですよ。このままじゃホンマに“ヤバい”。そのくらい、警察の腐敗と堕落は深刻なのです。警察とは何か? そんなの簡単、“岡っ引き”ですよ。犯人を捕まえてナンボ。悪いことをすれば捕まる。その“当たり前”の社会を守る為に警察は存在しますし、その為に高い税金を使って組織を維持しているのです。今の警察は、その前提が狂っている。悪いヤツを捕まえないどころか、警察そのものが率先して犯罪を行っている。捕まえる側が捕まえられる側よりも悪いんですから、ホンマにどうしようもない。これで苦しむのは庶民ですよ。税金を払って治安を悪くしている。だから、「地獄に堕ちるぞ」と言っているのです。今の警察がどれだけ酷いのか。自分が経験した話から説明しましょう。『姫路二女性バラバラ殺人事件』です。定年2ヵ月前に関わった、在職40年の中で最後の大事件やけど、これほど不可解で警察の闇を抱えている事件はなかった。2005年1月の元日、娘が行方不明になったことを心配した両親が、警察に捜索を依頼したことが発端でした。娘さんは2日後に“男”に連れられて戻ってきた。これが犯人の高柳和也(※死刑囚)です。男の様子が明らかにおかしい為、両親は「署まで連れて行くから調べてほしい」と警察に依頼した。なのに、警察は拒絶する。ここでちゃんと調べておいたら高柳を逮捕できたし、少なくとも娘さんは殺されなかった。僕も高柳を見たが、一目で“シャブ中”とわかるぐらい重度の中毒やった。警察の大チョンボですよ。これだけでも許せない話です。警察が何もせんかった結果、娘さんは1月7日以降、再び行方不明になった。そして、両親が知人を通じて、1月22日、定年間際の僕のところに相談に来た。1週間後の1月29日、私は男の居場所を突き止めて姫路警察署に通報した。ところが、姫路警察署は「男が『探している女はいない』と言ったから」と、何もせずに帰ってしまった。嘘みたいですがホンマですよ。部屋にはロープ・チェーン・スタンガン・薬物に血痕まであり、手錠をかけられて意識が朦朧とした、覚醒剤を打たれて間もない女性(※娘さんとは別人)までいた。その様子を署員2人が母親と一緒に見ているのに、何もせずに警察官はノコノコ帰ったというのです。母親がビックリして、僕のところに助けを求めてきたのも当然です。僕が一緒に行って、何とか逮捕にこぎ着けた。あんなの、女性監禁と尿検査で簡単に令状を取れる案件。あのまま放っておけば、監禁されていた女性も間違いなく殺されていた筈です。しかも、高柳を逮捕しておきながら、警察は肝心の娘さんの捜索を一切しなかった。更に、警察は両親や僕に「娘さんは生きている」と言ったのです。高柳の「彼女は風俗で働いて元気にしている」という供述をマスコミにリークして、誤魔化そうとまでしている。1月9日には殺していたのに、ですよ。全く、信じられんほど腐り果てているのがよくわかるでしょう。

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僕が定年後に手がけた『加古川女性教師殺害事件』も酷い事件だった。これも、女性教師の父親から相談を受けて僕が調査した訳ですが、元交際相手周辺を調べ上げて、28歳無職男性(平間洋臣被告)が関わっていると突き止めた。ところが警察は、平間を覚醒剤使用容疑やら恐喝容疑で逮捕はしたものの、絶対に女性教師殺害を追及しなかった。あり得んでしょ? 「娘が行方不明になったから調べてくれ」「平間が怪しいから捜査してくれ」、そう言っているのに、肝心の娘さんの捜査をしない。後でわかったことですが、平間は暴力団関係者で、この女性教師に学校の積立金等を貢がせて、それで揉めて殺していた。これは、死体遺棄に関わった暴力団関係者から直接聞いた話。この暴力団関係者は、「この事実を加古川署の暴力団対策係の警部補に既に伝えている」とまで言っていた。確信犯ですよ。警察は殺人事件を知っていて、尚且つ犯人を逮捕しておきながら、“無かった”ことにしようと動いていた訳です。実際、この女性教師を特異家出人にも指定しなかった。しかも、女性の遺体が出た後、「特異家出人に指定していた」と嘘まで吐いている。結局、平間が犯行時に使っていた高級外車を、姫路署の警部補が暴力団組長と結託して処分していることを僕が突き止めて、「ちゃんと殺人事件で捜査しろ」と詰め寄って、何とか殺人事件として立件できた。しなければ、平間は恐喝容疑だけで、下手すれば不起訴になっていたかもしれません。

“警察を見たら泥棒と思え”という言葉は最早、冗談ではなくなっています。最近もこんな事件があった。2016年3月、ある男性が自殺して、それを捜査した兵庫県警捜査1課の警部補(山下洋司容疑者)が、自殺男性の自宅の鞄から現金200万円を盗んで逮捕になった。捜査現場で警察が“ポッケないない”するのは、ホンマ珍しくない。僕が現役時代も山ほど見てきた。ゲームセンターに入った強盗を捕まえた時のこと。金庫には100万円以上あったのに、調書には何故か“金庫に現金7万円”となっている。僕も現場で100万円かそこらの現金を見ている。「カネはどこにいったんや?」と逮捕した強盗に聞けば「知らん」と言い、ゲームセンター側は「100万円はあった」と言う。誰が嘘を吐いとるのかといえば、調書を作った警察です。「捜査とは“盗み”をすることか?」、そう何度も怒鳴って聞きましたが、どうしようもなかった。こんなんばっかですよ。盗むことに罪悪感が無くなれば、“税金”だっていくらでも盗みます。裏金なんてその典型です。行っていない出張・やっていない捜査で、どんどん捜査費を積み増していく。神戸市内の外科病院には、“警察の保険金詐欺グループ”まであった。警察が使う病院ですが、兵庫県警の総務部長が番頭として、配下の署員50人とか60人の保険証を預かっていて、そこで「なにそれの病気や怪我で通院した」ことにして、その保険料をキックバックさせていた。僕も、その手下の1人に、「お前も保険証を預けてグループに入らないか?」と誘われました。「何もせずとも5万円貰えるで」と言うので、「何ぬかしとるんじゃ、盗人が!」と怒鳴り返してやりましたが、そういう連中を捕まえるべき警察が率先して詐欺をやっている。発覚しないよう、病院の看護師や職員は、警察官の奥さんや親戚といった身内で固める。そうして、僕のようなうるさ型も加担させて口封じに使う。これで、大抵の署員はハメられて、何も言えないようになるんです。この保険金詐欺グループは、署長や県警の部長クラスのノンキャリ幹部、皆がグルでしたわ。だから、このグループに頼めば昇進試験も通るし、希望する部署への人事も簡単に決まる。転勤する時には祝い金までたんまり出る。そうやって、真っ当な警察官をたらし込んでいく。口封じの手練手管は天下一品。凄腕と認めざるを得ないぐらいですわ。勿論、嫌みですが。

泥棒・詐欺とくれば、次は“たかり”。生活安全課の新人刑事が、入っただけで3万円もするような高級クラブに行って、VIPルームで高い酒頼んで、女を侍らしていますからね。何で店がタダ酒飲ますのかといえば、当たり前ですが、捜査情報が欲しいから。風俗もそう。タダでやるのは当然、小遣いまでせびる。それで文句を言えば、見せしめに摘発する。パチンコだって、一昔前は刑事が台をドンと叩けば、店員が飛んできて玉が止め処も無く出てきたもんです。プリペイドカードになる前の話ですが、そのプリペイドカードだって警察利権になったから黙っているだけ。それが無ければ、ずっとたかっていますよ。ヤクザに「店から“みかじめ”を取るな」と言っておきながら、そのヤクザから“みかじめ”を取っているのが警察です。マル暴(※暴力団対策係)で言えば、事務所に行くと、組員は30万・10万・5万・3万・1万と、刑事のランクに分けて封筒に入れた金を渡す。これだって、どれだけ捜査情報を知っているか、それをどこまで教えてくれるかで額を変えている。大きいほど悪徳刑事を意味するのに、額が上がると「ワシも偉うなったな」と喜んでいる。泣けてきますよ、ホンマに。マル暴なんて暴力団から見れば下っ端で、付き合うのも2次団体・3次団体です。これが警察幹部になると、賄賂の額も跳ね上がっていく。大抵のゼネコンや建設会社は、工事の大きさに合わせてヤクザにカネを渡しています。例えば、社長が交渉に来れば5億円、常務なら2億円、支店長は1億円と、暴力団に渡す相場が決まっていた。その仲介を必ず県警のOBがやる。ゼネコンがヤクザに渡す額に比例して、ヤクザから上前を撥ねる為です。言い換えれば、ヤクザにカネを払うようゼネコンに圧力をかけているのが警察なのです。ホンマなら逆でしょ? 「ヤクザにビタ一文払うな。払ったらお前らも捕まえるで」と。それが全く反対。警察が「もっと払ってやれ」と、ゼネコンを脅している。とはいえ、ゼネコン等の企業もメリットがあるから、警察幹部と付き合う。社員が起こした事件の揉み消しやら交通違反なんて、各署に専属セクションがあるぐらいです。あとは警察情報。“前科前歴”・“消費者金融の貸付”・“思想信条”が3点セットになった個人データは、就職や取引先等の身辺調査で企業は喉から手が出るほど欲しい。そこで警察OBに頼む訳です。こうした情報は、警察の守秘義務を前提にした捜査情報なので、個人照会をすれば誰が照会したのか一発でわかる。それで一番照会しているのが、県警の総務部やら警務部の幹部。「アンタらが捜査するんか?」と呆れ果てますわ。

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国民の個人情報を“売る”のは、警察の“信頼”を叩き売っているのと一緒ですよ。そうして着服したカネで贅沢している。「地獄に堕ちろ!」と思うのも当然でしょう。真面に犯罪者を逮捕できないだけでなく、組織ぐるみで盗み・詐欺・ゆすりにたかり…。それが発覚すれば、露骨な隠蔽工作まで行う。こんな警察に一体、誰がしたのか? 実名で言いましょう。國松孝次(元警察庁長官)。この男が警察のトップになったからです。1989年、兵庫県警本部長になったことで、僕自身、ホンマ酷い目に遇いましたよ。この年の12月、たつの市で赤ちゃん誘拐湯事件が起こった。誘拐犯はヤクザの組長の女で、僕の情報提供者から「子供を殺そうとしとる」という情報が入った。それで捜査本部に伝えたら、「ガセネタや」とちっとも取り合わん。それで僕が自腹を切って、情報を集めて、最後はヤクザの事務所に単身乗り込んで、子供を助け出した。この時、県警は公開捜査をしていて、「何とか警察の組織捜査の手柄にしたい。事件に強い演出をしよう」と、國松が僕に「警部補にしてやる」と言って、手柄を横取りした。しかも、それで昇進も何も無し。それどころか、一切、僕は捜査に関わっていないことにされた。あのまま僕が動かなかったら、赤ちゃん、殺されましたよ。國松はそういう男なんです。だから、オウム事件で撃たれた時、「億ションを2つ持っている」と報道されたでしょ? どないして公務員の給料で買えるんですか? こういう腐敗したキャリアをトップにしては、絶対にダメだったんです。

戦後、1980年代ぐらいまで、僕が40代頃の警察はよかったんです。現場にはプロ意識と使命感を持った刑事が沢山いましたし、上(キャリア)も理想に燃えていた。それは検挙率を見ればわかります。検挙率が5割を切った1988年以降、國松の出世と反比例して低下し、今では2割程度になった。現場にいれば、正直、検挙率なんて1割未満が実感ですよ。偶々捕まえると、あれもこれも余罪を押し付けるか、最初から犯罪発生と認知しないか。そうして帳尻を合わせて、ようやっと2割を維持している。どれだけ捜査能力が落ちているのか、わかるでしょ? そういう仕組みにしたのが國松孝次なのです。刑事ドラマでは腐敗したキャリアが定番になっていますが、あんなの嘘っぱちですよ。僕は多くのキャリアと付き合っていたが、基本的に清廉で仕事熱心、「警察をよくしよう」と頑張っていた。当たり前ですが、警察キャリアは、霞が関で他の省庁と競い合う上で、警察本体が腐敗しては困るんです。ところが、ノンキャリアのエリート様は違う。ここがホンマに腐り果てている。県警本部は県庁から独立して、予算も人員も大きい。警察は階級社会。ノンキャリで出世して課長や部長になれば、地方公務員としては破格とも言える巨大な権限が得られる。しかも、警察には“個人を簡単に破滅させることのできる”警察情報が集まっている。真っ当な警察官、特に現場の人間は犯罪者逮捕の為の“必要悪”と考えますが、犯罪者から見れば“宝の山”ですよ。悪用すればナンボでも儲かる。管理部門で出世した連中は、犯罪者目線でそう見ていたし、そうして悪用もしてきた。それでも、彼らの上に立つのが清廉なキャリアならば、一定の歯止めとなる。1980年代まではそうだったんです。そこに、腐ったノンキャリエリートを援護役にして、國松は警察のトップになった。その結果、警察は自浄作用を完全に失い、腐敗に歯止めが利かなくなったんです。マスコミ? 冗談じゃありませんわ。特に新聞やテレビは、僕のような腐敗を告発する人間を警察のお偉いさんに“ご注進”するだけの警察の犬。マスコミも警察腐敗の元凶の1つです。結局、国民が自ら声を上げるしかないのが現状なのです。僕は、現場にいる1人ひとりの警察官に、こう問いかけたい。「アンタら、このままだと國松孝次みたいになるぞ」と。警察のトップになりながら“仲間”に撃たれたことを思い出して、襟を正してほしい。警察OBの1人として、心の底からそう願っています。 (聞き手・構成/フリーライター 西本頑司) =おわり


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