【徹底解剖!東京都庁】(03) 課長で年収1000万円、退職金は平均2400万円…都庁職員の知られざる給与明細

全国47都道府県の内、最も高給を誇る都庁マン。民間が羨む国家公務員のキャリア組にも並ぶ給与と、意外な“同期格差”を検証する。 (取材・文/本誌編集部)

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「アイツらの生活はおいしい」――。これは、民間のサラリーマンが常に抱く公務員の定番イメージである。リストラは無いし、仕事の営業ノルマも無い。取り敢えず、ある程度までは年功序列で昇進できる。年金も確実に貰える。そして、倒産しない――。それらは概ね正しいのだが、かといってどこまで“パラダイス”な職場なのかは、正直言って結論の出ない話である。大学を出て都庁に入ろうとすると、試験区分にもよるが、5~10倍以上の競争率を勝ち抜いて、コネの利かない試験に合格しなければならない。この試験をクリアするのは、それなりに優秀な人材であって、民間企業を目指したとしても、ある程度のレベルの会社には入ることができる筈である。後述するように、都庁で課長まで出世すれば40代で1000万円以上の年収に到達するし、公務員でありながら大企業社員に並ぶリッチな生活は可能だ。しかし、課長にまで到達できるのは10人に1人以下で、例えば大手商社・金融機関・放送局等のように、入社したほぼ全員が30代で年収1000万円超といった待遇を受けられる訳ではない。また、民間企業の社長と同格にあたる局長、或いは副知事まで昇格したとしても、あくまで給与は決められているので、年収は約2000万円くらいで“打ち止め”となる。待遇だけを見れば恵まれているが、元々のポテンシャルが高いだけに、「待遇面で恵まれている」と思っていない職員もかなりいるので、そのことが世間一般のサラリーマンたちとの間の“埋まらない溝”に繋がっている。

都庁職員は一体、幾ら稼いでいるのか? これについては、公開されている資料から割合正確なところを知ることができる。平成26(2014)年の人事委員会勧告で、都庁の給与体系は、業績をよりストレートに給与へ反映させる方向に進んだ。とはいえ、その変化はなだらかで、職員全体の生活が劇的に変わるというほどのものではない。先ず平均から言うと、概ね41.6歳で月給45万円。ボーナスが夏冬合わせて170万円。年収716万円。これが東京都の平均的な一般職員像だ。全国の都道府県平均を見ると、43.2歳で平均43万円、年収も670万円と、東京に比べ見劣りする。都庁職員は全国屈指の高給取りであり、都庁が他の道府県庁と比べて“別格”のステータスを持つという意味は、給与の面からも証明されている。都の給与水準は民間の水準と合わせる仕組みとなってはいるものの、民間の給与所得者の平均は44.6歳で年収560万円。年収だけで150万円以上の開きがある。「都庁の給与水準は、従業員50人以上の企業の平均が比較対象になっており、企業全体の9割以上を占める零細企業は入っていない。従って、庶民にとっては『これが平均?』という金額になってしまうのです」(都政担当記者)。中には夫婦で都庁職員という例もあり、「何故かデキる男女が結婚することが多いので、夫婦共に出世してウハウハというケースが目立つ」(同)というから、まさに人生の“勝ち組”である。あまり知られていないが、都庁では10年ほど前から非正規の職員が多数採用され働いており、現在では教職員も合わせ、正規職員と同じくらい“非正規”がいる。仕事の中身は正規職員と然して変わらないどころか、正規職員が非正規職員に仕事を教わるような状況が一部で生まれているにも拘わらず、非正規の待遇は年収ベースで正規職員の半額以下といったレベルで、これが1つの問題になっている。「アイツらは恵まれている」といったやっかみは、ある意味、都庁内部で一番囁かれているフレーズなのである。都庁職員の初任給は、職務経歴の無い大卒の場合、東京都職員給料表の“1級29号”からスタートする。新規採用職員は18万1200円という特例金額が採用されるが、そこに地域手当の20%が加算され、額面で21万7400円。これが初任給になる訳だ。1年後には“1級33号”に昇進し、額面で約1万円ほどアップ。25歳時の年収は、所謂夏冬のボーナス(※期末手当・勤勉手当)を合わせ、約358万円となる。「独身時代に都の職員住宅を利用すれば月額3万円未満ですから、十分恵まれています。それに、管理職に昇進するまでは残業手当があり、年間数十万円は必ず上乗せされます。見かけよりはいい筈です」(同)。

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最初はフラットに見える同期の給与も、実は最初から細かい差が付けられている。職員の定期昇給は大抵が“4号昇級”(※1級29号→1級33号等)だが、業績上位30%は“5号昇給”となり、ごく稀に(※成績上位者の5%)“6号昇給”もある。また、成績が悪い場合も“3号昇給”より下は無いと言われる。昇給幅が1号違うと、初期の頃は手取りにして月額2000円ほどの違いでしかないが、毎年のように差が付くと、これが年収ベースの差では意外に大きくなってくるのである。前述したように、都庁では業績評価をより給与に反映させる方針が明らかにされており、今まで職員の8割以上が“4号昇給”か“5号昇給”だったものを、今後はもっと細かく評価して、“0号”(※昇給無し)から最高の“6号昇給”までシビアに差が付けられるという。つまり、より“同期格差”が広がっていく可能性が高いという訳だ。「これまでは、キャリアの長い年上の主任が、年下の課長代理より年収が多いという現象が普通にありましたが、制度改革の結果、年齢に関係なく、役職が下の者が上位の者より年収が多いということは、原則として無くなりました」(同)。都庁も、世間一般が思い描くほど“のんびりムード”ではないことは確かである。別頁で詳しく触れるが、最初の幹部昇任試験である“主任級職選考A”(※入都から5年以降に受験可能)に合格し、晴れて主任になれば“2級”になり、給与は約6万円アップ。更に、課長を目指す“管理職選考A”(※主任2年以上で受験可能)に合格すると、最短30歳で課長代理となり、年収は残業代を含めると700万円以上に到達する。

例えば、22歳で都庁に入り、昇任試験を受けずまったりと過ごす職員(※決して少なくはない)と比較してみると、10年間“4号昇給”だったとして、32歳時の月給は約30万4000円。年収ベースでは470万円ほどで、同期でもトップとは既にかなりの差が付いていることになる。理論上、最速で昇進しても課長になるのは35歳だが、概ね40歳で課長になれば“トップランナー”として認められるという。課長ともなると、歴とした“幹部”となり、ここで年収は大台の1000万円超え(※妻・子供2人の想定)となる。入庁以降20年間、ずっと試験を受けず、定期昇給だけの職員の場合、年収は凡そ600万円となり、格差は倍に近付いている。課長まで行けば、その上の部長・局長への道も開けているが、民間の平社員に当たる主事やその上の主任に留まる限り、上限は年収700万円程度で、後はどれだけ長く勤務しても給与が上がることはない。尤も、どんなにまったりしていても年収700万円に到達すると考えれば、ある意味“羨ましい”という見方ができなくもないのだが…。狭き門の“課長ポスト”に辿り着いた猛者たちは、更に部長・局長と出世することができる。50歳で部長に昇進すれば5級となり、年収は1300万円弱。局長や副都知事になると指定職となり、年収は約2000万円にもなる。勿論、部長・局長まで出世できるのは全体のごく一握りで、若し都庁に入って“1000万円プレイヤー”となったら、それは自分の力を最大限に発揮できたケースと言っていいだろう。そして、公務員にとっての大きなメリットの1つである“退職金”を見てみよう。60歳で定年まで勤めた場合、平的でズバリ2388万円。これが都庁職員の退職金である。局長まで昇進すれば、その金額は5000万円以上にもなるが、本庁課長で定年を迎えた職員の場合、退職金は約2880万円という計算になり、生涯賃金は3億3000万円になる。この金額は平均年収が800~900万円台の大手企業社員とほぼ同じ水準であり、日本全体を見渡せば非常に恵まれた待遇と言えよう。尤も近年、都庁職員の退職金・年金は段階的に減額されている。昔はもっと恵まれていた訳だ。「2009年の石原慎太郎知事時代に、下水道局の今里伸一郎局長(※当時)の高額な退職金が問題になったことがあった。『下水道局の制服ワッペンのデザインが都の内規に反している』という理由で、3460万円の税金を使って2万枚のワッペンを作り直すという“不祥事”が発覚。実質、引責辞任する形で今里局長は退職したのですが、その金額が約5500万円にも達した上、年収1500万円の関連会社役員に再就職した。これが大きく報道された為に都民の批判が殺到し、以降、退職金についてはナーバスな空気が漂っている」(都庁現役職員)。今後は更に都庁職員の“給与格差”が広がる筈で、当然ながら、それは退職金の額にも反映される。安定の公務員といえど、必ずしも薔薇色の老後が待ち構えている訳ではないのである。

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メディアでは“高給批判”の槍玉に挙げられることの多い都庁職員だが、元々の能力や本人の努力による出世を総合的に見ると、必ずしもそれが妥当な批判とは言えないことがおわかりだろう。現役職員が小声で打ち明ける。「財源のある東京都の職員給与が高いのは当たり前で、しかもフェアに昇進試験を受け、合格した人だけが高い報酬を得る仕組みになっている。寧ろ市町村の公務員のほうが、『仕事の実態に見合った給与水準なのかな?』と疑問に思うことがありますよ」。都庁における“能力主義”を広く知らしめた出来事と言えば、2011年の北海道夕張市長選だろう。この市長選で当選した鈴木直道市長(※当時30歳、現在2期目)は、元東京都職員。高校卒業後の1999年に都庁に入り、夜間大学に通いながら福祉保健局等に勤務。2008年より、財政破綻して職員が半減した夕張市に派遣されていた。市長に当選後、財政再建の為、自身の給与は大幅にカットしており、現在の年収は300万円未満。しかし、鈴木市長の活躍は“多彩な人材を輩出する都庁”の宣伝にもなっており、“学歴が無くとも仕事で活躍することはできる”という都庁の風土の象徴的存在にもなっている。“安定した高水準の給与”が職員のモチベーションを支えているのは間違いないが、それだけではなく、やはり仕事のやり甲斐と高いパブリックマインドが無ければ、都庁の仕事は務まらないということも忘れてはならないだろう。


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