【儲かる農業2017】(12) 植物工場がそろり再始動…“勝ち馬”に群がり始めた企業

植物工場の破綻や企業撤退が続き、企業の農業参入は下火になったように見える。だが、実際は違う。水面下では、農業分野における技術やビジネスモデルを物色している状態なのだ。

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『マイファーム』が運営する農業スクール『アグリイノベーション大学校』には、エリートビジネスマンが多数通っている。中には、大手企業から“社命”で派遣されている人も少なくない。西辻一真社長は、スクールの初日に必ず教壇に立つようにしている。講義のテーマは、『なぜ、企業が農業に関心を抱いているのか』である。2050年には世界の人口は97億人まで激増し、世界で“食料危機”が起きることが懸念されている。現時点での農業技術レベルでは、人口増を補うだけの農産物を生産するのは難しいとされているからだ。この“食料が足りない”問題をあの手この手で解決するところに、グローバル企業・民間非営利団体(NPO)・非政府組織(NGO)は「商機や使命がある」と睨んでいる。「企業らが挙って農業へ向かう背景には食料危機がある」というのが、西辻社長の答えだ。確かに、食料危機の懸念があることは、『環太平洋経済連携協定(TPP)』が頓挫しようと日本の農政改革が遅れようと、覆ることのない事実である。既に、遺伝子組み換え作物(GMO)で世界首位の『モンサント』は、世界最多の“胃袋”があるインドを最重点に定めているし、『Google』はビッグデータ解析によって農家の生産効率を上げようと農業事業へ進出を果たしている。GMOを除けば(※日本ではGMOの商業栽培はない)、日本企業とて農業参入の動機に大きな違いがある訳ではない。コマツが農業への“本格参入”を決めたように、農作業の効率アップやコストダウン、農産物の収穫量アップに繋がるハードやソフトの開発に余念がない。とりわけ、自動運転技術が搭載された農機や、農産物の生育状況を統合的に管理する農業クラウド等、農業分野へのIT導入に注力している企業が目立っている。更に、本腰を入れて農業経営へ踏み出した企業も増えた。

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実際に、(農地を利用して)農業経営に参入した企業数は右肩上がりで伸び続けている。2009年と2015年に農地法改正で規制が緩和されたことが追い風となり、今や参入社数は2222社に上る。その内訳を見ると、農・畜産業や食品関連企業といった農業を“本流”としている業種が上位に来るのは当然として、意外なことに建設業(226社)や製造業(98社)も多いことがわかる。日本の農業は“非効率で低収益”として進出に躊躇していた大手資本も、遅ればせながら食指を動かし始めた。ベビーリーフの生産量で日本一を誇る『果実堂』(熊本県)には、『トヨタ自動車』・『三井物産』・『カゴメ』・『矢崎総業』等錚々たる企業が資本参加している。同様に、“ドーム型”植物工場(グランパドーム)の開発・運営を手掛ける『グランパ』(神奈川県)には、『日立製作所』・『日揮』・『カゴメ』が次々と出資を決めた。因みに、グランパドームの売りは収穫量が従来の2倍になることだ。近年、有力な技術やビジネスモデルを持った農業ベンチャーが増えており、大手企業が“勝ち馬”に乗ることで農業ビジネスの拡大を狙っているのだ。話題沸騰中のグランパとは対照的に、植物工場への企業の投資ブームは一服しているかのように見える。そのブームに水を差したのが、植物工場運営の最大手だった『みらい』(※現在は『MIRAI』として再出発)の経営破綻だ(2015年)。直接的な破綻の原因は生産技術者の経験不足とされており、企業の拡大基調に人材育成が追い付かなかったようだ。だがここにきて、「再び大手資本が植物工場への関心を高めている」(『ライフラボ』の西田裕紀社長)という。近年、頻発している自然災害のリスクや、温暖化による作物被害を考慮すれば、植物工場に商機があることは間違いない。グランパに大手資本が群がっているのもその為だろう。実際に、植物工場向けに設備・システム・基幹デバイスを導入しているメーカーは多く(※上表参照)、波及効果は大きい。今度こそ、植物工場の復活となるのか? そろり再始動の兆しが見えている。


キャプチャ  2017年2月18日号掲載




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