【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(46) 密輸や脱税が横行? 高騰を続ける金が人を魅了する裏事情

「人骨から金が取れるんや」――。日本中のみならず、海外にまで遺灰を探して飛び回っている男から聞いた。火葬場から出た遺灰を集めて金を抽出する商売を、男は営む。遺灰は、各自治体で一般入札により手に入れるそうだ。人間の遺灰から抽出された金は、貴金属業者に買い取られ、再びアクセサリーとして人に売られていくのである。貴方の身に付けている金のアクセサリーも、遺灰から抽出されたものかもしれない。金(ゴールド)は、その希少性により価値が保たれている。地球上に存在する金の総量は23万トンと推定され、人類が金を発見して以来、既に17万トンが採掘済みと言われている。つまり、あと6万トンほどしか残っていない計算だ。それも、採掘困難な深い場所や、海中に溶け込んだ金まで計算に入れて、である。6万トンの金といっても、オリンピックの公式プール1杯半ほどの量しかない。後進国の経済成長で金需要が増える一方、現物資産としての価値が見直されていることもあり、今の希少性は高まる一方だ。事実、ここ10年間で金価格は約3倍にも高騰している。そんな金に目を付けた犯罪も起きた。つい先日、福岡市で時年7月に約160㎏の金塊を強奪した犯人グループが逮捕されたというニュースが、世間を騒がせた。数億円単位での金取引は現物と現金との交換が基本であることから、このような荒っぽい事件が後を絶たない。最近では金塊の密輸事件も増え、ニュースで目にする機会も多い。特に、消費税が8%に増税された2014年から一気に増加した。これは、金取引に関して日本が持つ特殊な事情が関係している。

世界中、殆どの国は金にVAT(付加価値税・消費税)はかからない。金は通貨に準ずる位置付けであるからだ。ところが、日本・韓国・インドでは金取引にVATがかかる。だから、VATのかからない国で金を購入して日本にこっそり持ち込めば、消費税分の8%が確実に儲かるのである。現在の金価格が凡そ4900円だから、1㎏あたり39万円の消費税分が利益だ。2019年には消費税が10%に増税される。そうなれば、金の密輸で得られる差益は更に拡大し、金の密輸は益々増えることになるだろう。金の密輸も次々と新しい手口が考えられているが、最近では肛門の中に細かな金塊を詰め込むのが流行っているようだ。この場合、“ナゲット”と呼ばれる粒状の金で行うらしいが、1人あたり1㎏くらいなら金属探知器も反応しないそうだ。運び屋を10人ほど使って香港から日本へ持ち込めば、そこそこの利益にはなる。金は麻薬類と違い、金属であるから加工もし易く、貨物での密輸も簡単にできる。金属材料に似せて加工・塗装したものが密輸され、再加工されて市場に出回ることが多い。輸入車のボンネットとトランクが18金のものに変えられて税関を堂々とパスし、密輸入されたケースもある。密輸された金の取引に限らず、金を欲しがる人たちは沢山いる。投資目的もあるが、相続税を逃れる為や、マネーロンダリングが目的の人も多い。支払調書の提出義務のない200万円以内の金を現金で何度も買い集め、それを子や孫に少しずつ渡していけば、秘密裏に生前相続が行える。同じように、第三者へ移転し、合法的な資産と統合すれば、犯罪収益も綺麗に洗濯できる。これは、“レイヤリング”と“インテグレーション”というマネーロンダリングの初歩的な手法である。金には希少性という価値だけではなく、秘匿性・匿名性という複合的な魅力があるのだ。だからこそ、金は人を魅了して止まないのである。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2017年6月13日号掲載
スポンサーサイト

テーマ : 国際問題
ジャンル : 政治・経済

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接
QR码
QR