【Korea Risk】(02) 韓国経済のドミノが倒れる日

20170614 05
朴槿恵前大統領の罷免と新大統領の選出、北朝鮮のミサイル問題を巡る米中を巻き込んだ緊張――。韓国の政治情勢は波乱続きだが、輸出や株価は好調だ。但し、経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)は怪しい。先ず、韓国経済の実態を簡単に整理してみよう。2015年のGDPの約46%は、商品やサービスの輸出が占めた。つまり、韓国経済の約半分は輸出に依存している。これでも2012年のピーク時(56%)と比べれば低下したが、アメリカは13%、日本は18%、中国は22%であることを考えると、依然として極めて高い水準にあると言えるだろう。輸出主導型経済の問題点は、海外市場の変動の影響を受け易いことだ。国内市場なら政府の助けを借りてシェアを守れるかもしれないが、外国市場では消費者の嗜好の変化や、新たなライバルの出現、安い類似品の増加でシェアを失い易い。ジャコウネココーヒーやイタリアの美術品等、地域の特産品、或いはスイスの金融業等、外国企業が真似し難いサービスなら、外国市場での需要は安定しているかもしれない。だが、韓国の主要輸出品はどれもこのカテゴリーに属さない。過去20年間、韓国の主な輸出品といえば電気製品・自動車・船舶だった。実際、2000年代半ば、韓国メーカーはこれらの分野で世界のトップクラスにいた。だが最近、多くの分野で韓国企業の突出は目立たなくなってきた。その大きな原因の1つは、中国企業が技術力を付け、多くの市場で安い類似品を提供できるようになったことがある。その影響が最も顕著に見られるのが海運・造船業だ。中国の港湾や造船会社が世界的に頭角を現してきた結果、太平洋地域の海運・造船業は大掛かりな再編を迫られている。

見落とされがちだが、韓国の輸出品には多様性が無いという問題もある。48%は電子機器や関連部品で、31%は自動車や船舶と関連部品だから、その何れかの分野で大掛かりなシフトが起きれば、韓国経済全体がゆっくりだが確実に下降する恐れがある。輸出が1割減っただけで、経済が5%収縮して、大量の雇用が失われる可能性もある。潜在的失業率が10%以上と言われる雇用環境は、一段と悪化するだろう。『サムスン電子』等のハイテク企業の業績は今のところ好調だが、『華為技術(ファーウェイ)』や『広東欧珀移動通信(OPPO)』等の中国企業が激しく追い上げている。それに韓国企業は、競争力を維持するのに不可欠な研究開発投資に、あまり積極的でないことで知られる(※とりわけクリーンエネルギーの分野では、この傾向が顕著だ)。このことが衰退に拍車を掛ける可能性もある。韓国経済のもう1つの大きな懸念は、企業部門が抱える莫大な債務だ。韓国企業の債務残高は、対GDP比150%にも上る。アメリカと中国も高い水準にあるが、多くの理由から、韓国のほうがいざという時、危険な状況に陥り易い。第一に、韓国版“ゾンビ企業”――即ち債務返済が3年以上滞っている企業が多い。韓国の企業債務の約4分の1はゾンビ企業のもので、焦げ付く可能性が高いとみられている(※しかもその割合は年々高まっている)。更に危険なのは、その貸し手が韓国の金融機関やグループ企業が多いことだ。従って、幾つかの企業がデフォルト(債務不履行)に陥れば、連鎖的に韓国経済全体が深刻な打撃を受けかねない。これまでは、借り換えや条件変更によってデフォルトを回避してきたケースが殆どだが、いつまでもこの手法を繰り返すことはできない。韓国の大手企業も、莫大な負債と無縁ではない。例えばサムスンは、年間収益の148%に相当する約290億ドルの債務を抱えている。将来性への期待がこうした借り入れを可能にしているが、中国企業の台頭でその期待が萎めば、債務の割合は上昇して、株価、更には業績に影響が出るだろう。債務返済計画や研究開発投資も打撃を受けるかもしれない。何故、韓国企業はそんなに借金漬けなのか? その背景には、幾つかの環境的要因がある。先ず、1990年代末~2000年代の好況で、余剰資金を積極的に運用する投資ブームが起きた。この時、政府は国内での運用を推進する為に、関連法令を緩和。これにより、企業は体力を上回る借り入れが可能になり、後にゾンビ企業が増える原因となった。企業側の経営判断が甘いことも問題だ。昨年破綻した『韓進海運』も、無能な経営陣の非現実的なほど楽観的な経営判断が、資金繰りの悪化に繋がった。それだけではない。韓進海運は中堅財関『韓進グループ』の一員で、グループ企業から多くの出資(と支援金)を受けていた。それが再建不能と判断されたことで、グループ企業も打撃を受けることになった。よく知られるのが、約3億4000万ドルの債権が回収不能になった『大韓航空』だろう。

20170614 06
こうした財閥企業の“循環出資”は、企業が生み出した富を韓国国内に留めておきたい政府によっても支えられてきた。過去30年間、その政策の恩恵を最も受けてきた業界の1つが不動産業界だろう。企業が好況時に積み上げた余剰資金が不動産市場に流れ込んだ結果、韓国では近年、新しいマンション・リゾート・高級ホテルが次々と建設されてきた。伝統的に不動産業とは無関係の『ロッテグループ』・『SKテレコム』・『現代グループ』といった有名企業が不動産投資に乗り出し、完成したビルに自社のロゴを入れている。近年はマンションの空室が目立つ等、住宅市場では深刻な供給過剰が指摘されているにも拘わらず、企業の不動産投資は2015年も記録的なベースで続き、不動産バブルの懸念が高まっている。1990年代末~2000年代に投資規制が緩和されたのは、企業部門だけではない。個人投資の規制も(しばしば不動産購入を奨励する為に)緩和された。この10年、多くの韓国人が無謀としか言い様のない借金をしてきた。経営コンサルティング会社の『マッキンゼー』は2015年初め、個人債務残高が持続不可能な規模に膨らんでいる7ヵ国を明らかにしたが、韓国はその1つだった。だが、政府も人々もその警告に耳を傾けなかった。2015年1月は対GDP比84%だった韓国の個人債務残高は、1年半後の昨年7月には90%に上昇した。中国は41%、日本は66%だ。ここ数ヵ月の政治の混乱ぶりを見ると、無能と腐敗が如何に韓国経済を危険に曝しているかは推して知るべしだろう。真面な人間なら、この状況を見て、韓国経済の今後に不安を覚えない筈がない。破滅に向けたドミノは、長い年月をかけて並べられ、最初の一押しを待つばかりに見える。 (韓国東西大学教授 ジャスティン・フェンドス)


キャプチャ  2017年5月16日号掲載




スポンサーサイト

テーマ : 韓国について
ジャンル : 政治・経済

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接
QR码
QR