【地方銀行のリアル】(03) 第四銀行(新潟県)――北越銀行を“併呑”する公家集団

20170614 12
「言葉を選んで慎重に進めているが、実質的には第四による併呑だ。北越のいい部分をとって、冷え込む地元経済の心臓として、新たなスタートを切ってもらいたい」――。地元経済団体である『新潟県経営者協会』の有力企業幹部は、こう期待を語る。今年3月にインターネット媒体の報道を皮切りとして明るみに出た地元地銀『第四銀行』と『北越銀行』の合併。翌4月5日には正式に両者が合意文書を交わし、来年4月の持株会社発足と、オリンピックイヤーである2020年の合併銀行スタートに向けて動き出した。合併ついて、「地元メディアは殆どノーマークだった」(『新潟日報』関係者)という。同日の会見で第四銀行の並木富士雄頭取は、「昨年12月、荒城(哲、北越銀行)頭取に『将来的な経営統合を視野に入れた話し合いをしてみないか?』と申し上げた」と経緯を明かした。第一地銀である第四銀行から手を差し伸べた格好だが、実際には「金融庁が両行を焚き付けたというのが正確」(全国紙記者)だ。北越側から合併を申し入れれば、足元をみられる。形だけでも第四から持ちかけたことにして、話は漸く前に進んだ。“最古のナンバー銀行”――。第四銀行には、この肩書がついて回る。明治政府が各地に設立した国立銀行は、設立された順に機械的に第一銀行・第二銀行…と名付けられた。第一銀行は後に『第一勧業銀行』となり、現在の『みずほ銀行』に繫がる等、当時の名前を残す銀行は少ない。その中で第四銀行は、看板を変えずに現在まで残っている銀行の中で一番歴史が長いのだ。「これは第四銀行マンの誇りになっている」。地元金融機関関係者は、こう語る。

勿論、県内におけるシェアで1位の座を不動のものにしていることも、彼らのプライドを支えている。第四・北越共に“第一地銀”ではあるが、その差は歴然だ。昨年3月期の預金等残高は、第四銀行の4兆5600億円に対して、北越銀行は2兆4000億円。貸出金残高(同期)でも似たような比率だ。嘗ては、“北越は第四の七掛け”と言われていた。しかし、現状では6割を下回る規模しかないのが実情である。地元では第四のブランドは強い。子供が第四に就職したとなれば、町中の羨望を集める。俗に“県庁・第四・新潟日報”が人気就職先として、絶対的な地位を誇る。第四銀行は2000年代に入り、着実にシェアを伸ばしてきた。同行が2014年に発表した資料によると、第四銀行の預金シェアは10年前(22.3%)から2.6ポイント上昇している。この間、『郵便貯金』(※現在の『ゆうちょ銀行』)の占める割合が急落しており、これを着実に取り込んだ結果だ。また、貸出金シェアでも信金・信組が減らす中で、営業割合を伸ばした。「但し、第四は泥臭い営業をした訳ではなく、ゆうちょ等の関係で相対的なシェアが伸びているに過ぎない」。前出の地元金融機関関係者は、こう語る。「公家集団」(地元メディア関係者)とも評される第四銀行は、棚ボタ的に現在の地位を固めた。これは今に始まったことではない。全国の金融機関が狂乱したバブル時代、国の方針に実直に従い続けた第四銀行について、旧大蔵省は「モデル銀行」と評価した。良くも悪くも優等生である第四銀行にとって、金融庁が主導する今回の合併話に乗るのは、極めて自然な流れだったのだ。それを主導したとされる第四銀行の並木頭取は、異色の人材と言われる。地元出身の行員が多い第四銀行において、数少ない県外(福島県)出身者だ。前出の地元メディア関係者が語る。「支店長時代に経営陣に対して物申す等、第四の中ではかなり変わった銀行マンだったようだ」。エリート街道の真ん中を歩いてきた訳ではなく、若い頃には新潟県内の有力企業である『雪国まいたけ』に出向し、経営企画部長として経営立て直しに奔走したというから、優等生揃いの第四銀行の中では目立っていた。地方のご多聞に漏れず、新潟経済と地場金融を取り巻く環境は厳しく、並木頭取も苦戦を強いられている。マイナス金利で各金融機関が苦しむ中で、第四銀行も他行と同様、カードローン事業、つまりは“サラ金業”に注力する。数年前から地元民放では第四銀行のカードローンのCMが繰り返されるようになり、苦境の放送局にとって第四銀行は貴重な広告主になっている。地元財界では、今回の合併を警戒する向きもある。特に、北越銀行の拠点である長岡市の中小企業からは、これまで取引の少ない第四銀行が主導権を持つことについての不安が募る。

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「銀行が完全に合併すれば、第四の基準で融資条件が厳しくなるかもしれない」。同市内の不動産業者は、こう漏らす。「地元密着で融通の利いた北越カラーが消え、杓子定規な第四銀行に苦しめられるのではないか?」という懸念だ。今後の最大のハードルは、合併比率を巡る駆け引きだ。4月5日に発表された基本合意文書には、“対等の精神に則り”という文言が入っているが、勿論、これはお題目でしかない。両行の総資産(連結)は、第四銀行が5兆4400億円(※昨年9月末時点)に対して北越銀行が2兆7300億円(※同前)となっている。単純計算では、第四銀行と北越銀行の合併比率は1対0.5~0.6となる。しかし、企業合併は算数ではない。北越銀行には“七掛け”と言われていた時代の記憶が残っており、只でさえ不利な条件を押し戻そうと要求を積み重ねてくる。これを第四銀行がどこまで呑めるかという攻防が、水面下で繰り広げられている。現在は「目立った衝突は出ていない」(前出の地元メディア関係者)というが、今後は不透明だ。銀行合流後の商号も1つの課題だ。持株会社は『第四北越フィナンシャルグループ』ということで落ち着いたが、前述した通り、第四銀行は由緒ある名前であり、すんなりと『第四北越銀行』と決着するとは限らない。京都・東京に次ぐ第3の花街と言われる古町――。江戸時代から連綿と続く古町芸妓の文化を、地元地銀による各種接待は支えてきた。中でも、『新潟芽生会』に加盟している6店舗が老舗として名高いが、第四銀行は『鍋茶屋』という料亭を御用達としてきた。北越銀行は『行形亭』を贔屓にして、取引先の接待を行ってきた。合併後に直ぐ状況が変わることはないが、行形亭のほうは気が気でないだろう。北越銀行は今月の株主総会を経て、荒城頭取が取締役会長となる人事を発表した。荒城氏が「合併交渉に全力を注ぐという意思表示」(前出の地元金融機関関係者)だ。第四銀行は、これをどう迎え撃つか、古町の料亭で作戦を練っているのかもしれない。


キャプチャ  2017年6月号掲載

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