【ビジネスとしての自衛隊】(05) 防大生も現代っ子…人気は空・陸・海の順

20170615 09
将来の幹部自衛官が学ぶのが『防衛大学校』(神奈川県橫須賀市)。高校卒業生から21歳未満に受験資格があり、将来の自衛隊を担うリーダーを育成する。海外の士官学校に当たる。防大は1952年に『保安大学校』として設立され、1954年に防衛大学校と改名。現在は、本科と呼ばれる4年制の課程に2003人(※留学生含む)、研究科=大学院に160人が在籍。1992年からは女子学生も受け入れている。毎年約480人が入学し、4分の3は理系学生だ。防大には、一般大学の学部に当たる6つの“学群”に、人文系は国際関係等3学科、理系は応用物理や航空宇宙工学等11学科がある。偏差値で見ると、文系と理系とでは文系のほうが難しい。文系の偏差値は旧帝大のやや下、理系は地方国立大並みだ。防大受験は“採用試験”と言う。防大の学生は特別職公務員である為だ。学生は毎月約12万円の学生手当と、年2回計約35万円の期末手当が支給される。学内にいる限り、衣食住はタダだ。学生は学内の寮(学生舎)で過ごす。4つの“学生隊”のどれかに所属し、4学年8人を1部屋とし、共同生活を送る。起床ラッパで1日が始まる。授業は4年制大学とほぼ同じだが、国防論・戦略・戦史等を学ぶ防衛学と訓練があるのが特徴だ。1年生には小銃の分解や操作・カッター(※ボートのこと)・遠泳等の総合訓練があり、2年生以上には陸海空其々の専門的な訓練が週1回2時間行われる。更に、1週間から1ヵ月間の集中訓練が定期的に実施される。防大にもサークルがある。『校友会』と呼ばれ、運動部系・文化系があるものの、運動部系が必須で、文化系だけではダメ。週末は外出・外泊も可能だが、1年生の外泊は特別な事情がない限り許されない。寮では上下関係や規律を重視し、時には先輩による“しごき”もある。これに耐え切れず、退学する学生も毎年いるようだ。

最近、一般の大学と同様に防大を悩ませているのが、モンスターペアレントの存在だ。国を守る為と志を高く入学したものの、やはり20歳前後の若者には訓練はきつい。つい、日記感覚でSNSに投稿してしまう。そんな投稿を読んだ親が、「何故、うちの子が辛い思いをしているのか?」「子供の先輩の行動は暴力ではないのか?」と激しく抗議してくるケースが増えている。そんな親の対応に追われる教官もいるようだ。体力的なきつさに加え、訓練や防衛学等の学習は一般教養の科目に影響してしまう。「目先に必要なことだけをやればいい」と思いがちな現代っ子の特徴か、一般教養を“寝て休養を取る時間”とする学生は多い。「殆ど寝ていた」とOBも口を揃えるほど。但し、女子学生は真面目で、寝ずにきちんと授業を受けるという。2年生になると、“専門配分”として各学科に配属される。同時に、陸海空の何れに所属するかを決める“要員配分”も行われる。配分は2対1対1だが、空自希望者が多く、次いで陸自。海自は人気が無い。「今の若者には、携帯電話が圏外になるのが耐えられず、船上勤務となる海自はそれだけで人気が無い」(陸自幹部)。文系の学生は、数学を使わない部隊もある陸自を希望することが多いようだ。最終的には学生の適性や成績等を勘案して、防大側が学科を決める。希望が叶わず、中途退学する学生も出てくる。「学生たちは、謂わば19歳で自分の人生を決めることになる。だから、希望が叶わないから退学するのは仕方がない」(海自幹部)。「自衛隊の仕事に関心を失った」「団体生活に馴染めない」等の理由で、中途退学者は毎年70~100人近くいる。防大を卒業すれば曹長に任官、1年間の陸海空各幹部候補生学校に進む。陸自は福岡県久留米市、海自は広島県江田島市、空自は奈良市にある。修了すれば3尉となり、本格的な幹部自衛官の生活に入る。毎年話題になるのが、任官拒否者の数。卒業しても幹部候補生学校に進まず、自衛隊を辞めるケースだ。防衛省によれば、任官拒否者は2016年度に32人、2015年度は47人いた。任官拒否しても、学生手当等を返還する義務は無い。2012年に自衛隊法等改正案に返還条項が入れられたことがあったが、結局、削除された。「防大は不要」との指摘は、以前からある。少子化が進む中で、防大も学生の募集に頭を痛める。幹部自衛官を養成する為の機関はあくまで、一般大学の卒業生も入校できる幹部候補生学校である。防大はその予備段階に過ぎず、アメリカの一般大学に設置されている軍幹部育成課程『予備役将校訓練課程(ROTC)』で代替したほうが、より効率的に幅広い幹部教育ができるとの理由からだ。

20170615 10
■女性活用はまだまだ途上
防衛大学校に初めて女子学生が入学したのは1992年。現在、防大出身女性の最高位は1佐だ。一方、幹部候捕生学校は1970年代から女性を受け入れ、過去の最高位は空将補だった柏原敬子氏(※2013年退官)。関西学院大学を卒業し、入隊。主に人事・総務部門でキャリアを積んだ。現役では近藤奈津枝海将補が最高位。統合幕僚監部で首席後方補給官を務めている。山口大学卒で、経理・補給部門を中心に歩んだ。自衛隊は、これまで段階的に女性自衛官への門戸を広げてきた。2008年に護衛艦、昨年は陸自の対戦車ヘリコプター隊や海自のミサイル艇等への女性配置を解禁した。そして今年、陸自の普通科中隊・戦車中隊等にも女性の配置を認め、配置制限を事実上撤廃することを決めた。但し、艦内が狭く、女性用設備を整えられない潜水艦は制限が残る。安倍政権による女性活用の大号令もあって、自衛隊も女性が占める割合を引き上げようと必死だ。だが、男性中心で運営されてきた組織である為、直ぐには女性の増加を見込めない。佐官以上で女性の占める割合は、僅か3.1%だ。自衛官全体での女性比率は5.9%と、10年前と比べると1.1ポイント増。とはいえ、先進主要国の軍隊は概ね10%を超えている。自衛隊は、2030年までに9%に引き上げる目標を掲げている。 (取材・文/本誌 福田恵介)


キャプチャ  2017年5月13日号掲載
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