【大機小機】 怒れる若者たちと治政

今年初めの話題は、極右の躍進だった。だが、興味深いことに、韓国では左派の文在寅大統領が誕生した。フランス大統領選では、極右のマリーヌ・ル・ペン氏だけでなく、極左のジャン=リュック・メランション氏も善戦し、一時は決選投票に残る勢いだった。イギリス総選挙も、テリーザ・メイ首相率いる保守党の圧勝と思いきや、過半数を割り、労働党が議席を伸ばした。ジェレミー・コービン党首は民主社会主義者を自任し、政権公約でも郵便・鉄道の再国有化を唱える。イギリスの世論調査機関の多くは保守党優位と予測し、またまた読みを外した。若年層の労働党支持率は高いが、選挙には行かないだろう。そう考えて、生データに補正をかけた。ところが、彼らは投票所に足を運んだ。韓国の文候補を押し上げたのが、若年層の支持だったことが想起される。フランスも含め、背景には深刻な若年層の失業問題がある。イギリスでは、1~3月に16~24歳の失業者は56万2000人。ピーク時より低下したものの、若年層の失業率は12.5%。1年以上の長期失業者は、若年失業者全体の15.4%を占める。メイ首相は、彼らの怒りを読めなかったのである。韓国は15~29歳を若年層としているが、その失業率は2016年には9.8%に上った。全体の失業率は3.7%だから、若年層の失業率は目立って高い。しかも、4年制大学以上を卒業した若年層の失業率は11.1%に上っている。就職先も、大企業に比べて給与の低い中小企業となるケースが多い。勢い不満は募る。今年9月に総選挙が予定されるイタリアは、若年失業が一段と深刻だ。2016年10~12月の若年失業率は38.6%で、『ヨーロッパ連合(EU)』では、ギリシャの45.8%、スペインの42.8%に次ぐ。彼らの怒りの行き先が、政治のカギを握っている。翻って日本。直近2017年4月の15~24歳の失業率は5.0%。全体の失業率が2.8%と3%を下回っているので、それに比べると高いが、海外に比べれば相当に低水準である。日本で10代と20代前半で政権の支持率が高めなのは、その前の世代が就職で苦労したのを目の当たりにしているからだろう。問題は寧ろ、30代後半と40代前半の“就職氷河期”世代が未だに割を食っている点だ。政治と経済の安定の為には、きめ細かな対応が求められる。 (和悦)


⦿日本経済新聞 2017年6月14日付掲載⦿
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