安倍首相と慶應義塾大学医学部との“ズブズブな関係”――“カネと要職”超優遇で歪む医療研究、母校に利益誘導する厚労官僚も

20170616 12
学校法人『森友学園』(大阪市)に国有地を破格の価格で売却、岡山市の学校法人『加計学園』が愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画への政治的な関与――。安倍晋三首相は学校や教育を巡る問題で追及されたが、その陰で、日本の私立医学教育の雄である慶應義塾大学医学部と首相の濃密な間柄は殆ど知られていない。結節の象徴は、安倍政権が医学研究の司令塔として、2015年4月に鳴り物入りで創設した『日本医療研究開発機構(AMED)』のトップ人事である。初代理事長は、慶大医学部長を務めた末松誠氏。AMEDは、日本の医療分野の研究開発を一元管理して、基礎研究から実用化までを切れ目なく支援するのが目的。これまで、文部科学省・厚生労働省・経済産業省各省に計上されてきた医療分野の研究開発予算を集約し、オールジャパンで医薬品創出や医療機器開発を差配する総元締めである。その理事長に末松氏が登用された際、医療ジャーナリストの間では「首相サイドの恣意的な人事だ」との声が渦巻いたが、慶大ブランドも手伝ってか、この抜擢は一般にあまり批判されなかった。政府がAMEDに配分した今年度の事業予算は1265億円にも上り、国家プロジェクトとして位置付けられる。それだけに、AMEDのトップの権限と発言力は絶大である。末松氏がAMEDの初代理事長に内定した際、この人事を背後で取り仕切ったのは、2014年9月の内閣改造で内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)に留任した慶大OBの甘利明氏だった。末松氏を推した背景には、首相と末松氏が率いる慶大医学部グループとの深い結び付きがあり、「甘利氏は首相の意向を“忖度”したに違いない」と内閣府関係者は推察する。

首相と慶大医学部の関係の始まりは、首相が未だ10代の時に潰瘍性大腸炎を発症したことだ。それ以来、30年以上も慶大病院で治療を受けている。長年に亘り首相の主治医を務めたのは、慶大の日比紀文名誉教授。1973年に慶大医学部を卒業して慶大病院に勤務してきた日比氏は、2013年に慶大を定年となり、北里大学へ移った。その際、日比氏は『北里研究所病院』への転院を打診したが、首相は慶大病院を選択する。日比氏の後任は、炎症性腸疾患を専門とする当時の金井隆典准教授(※現在は教授)と衆目が一致していた。だが、ここで色気を見せたのが医学部長だった末松氏で、自ら日比氏の後継の主治医に名乗りを上げたのだ。末松氏は活性酸素や赤血球の代謝を専門とする基礎医学者で、臨床医ではない。流石に教授会でも反論が続出し、末松氏の野望は叶わなかった。現在、首相主治医は前出の金井教授と高石官均准教授。首相の外遊には、日比氏を加えた3人の何れかが随行している。それでも、末松氏の医学部での権限は強大だ。自身がAMEDに転出後の医学部長の後任には、慶大医学部の同期である岡野栄之教授が就任した。10年も先輩だった日比氏と違い、後輩の金井氏は御し易い。今や「末松のコントロール下にある」(慶大医学部教授)。間接的ではあるものの、末松氏は医学部を牛耳ることで、“首相の主治医”に勝るとも劣らぬ存在となり、AMED理事長の椅子に座るに至った。政府は2013年3月、慶大産婦人科学の吉村泰典教授を内閣官房参与(少子化対策・子育て支援担当)に任命したが、この人事でも首相と慶大医学部の繋がりを指摘する向きが多い。今年夏、厚労省は保健医療政策担当の司令塔として、事務次官級の医系技官ポスト“医務総監”を創設する。本命は同省保険局の鈴木康裕局長だ。鈴木氏は慶大医学部卒で、末松氏の1年後輩。厚労省の医系技官は、「塩崎恭久大臣が鈴木氏を強く推している」と明かす。塩崎氏は、第1次安倍政権で官房長官を務めた元祖“お友だち”。「首相の意向が反映されている」(前出の技官)と、厚労省では受け止められている。権力チェックの役割を果たさなければならないメディアも同類だ。筆頭は『読売新聞』。先月15日現在、読売新聞がAMEDを紙面化したのは170回にも達する。次は『日本経済新聞』の88回であり、読売の突出ぶりは明らか。『ゲノム医療研究21億円予算配分 医療研究開発機構』や『遺伝情報で治療法検索 患者10万人分DB化へ 医療研機構』…。記事内容も広報と見紛うばかり。AMEDが入居するのは、大手町の読売新聞ビル。最早、AMEDと読売新聞は一心同体と言っていい。他方、安倍政権で慶大医学部は飛躍的に地位を向上させていった。AMED理事長・医務総監・内閣府参与等を独占し、研究不正のダメージから立ち直れない東大医学部を大きく引き離す。

20170616 13
慶大医学部も返礼を忘れていない。その象徴が、慶大病院臨床研究推進センターの三浦公嗣教授だ。三浦氏は慶大医学部を卒業した元医系技官。末松氏と同期で、厚労大臣官房技術総括審議官や老健局長を歴任し、昨年6月末に退官した。退官当日の6月30日に開催された慶大医学部の教授選考委員会で、「競争的資金の獲得や国の施策を逸早くキャッチする能力が期待される」(選考委員会資料)として、三浦氏が教授候補に推薦され、翌7月には慶大教授への天下りが内定したのだ。その際、三浦氏が提出した書類には、AMEDについて「その発想段階から厚労省を代表し、内閣官房・文部科学省・経済産業省・財務省と交渉に当たり、組織体制・予算・人事などを含めて深く関与した」と記されている。自ら「母校に利益誘導した」と告白しているに等しい。慶大医学部は、権限拡大の為に汗をかいてくれたOB官僚を天下りとして受け入れているが、「厚労省在職中に再就職の情報を提供することは、国家公務員法の再就職等規制に違反している」との批判が絶えない。三浦氏の人事は霞が関や医学界では公知だが、最早誰もこれを問題視しない。首相や末松氏に睨まれたくないからだ。イギリスの科学誌『ネイチャー』の日本特集号によれば、トップレベルの医学誌に掲載された日本からの論文数は、2002年の5位から2016年には10位へ低下した。科学の進歩には、自由な発想と競争が欠かせない。しかし、安倍政権が推し進める医学研究をリードするのは、縁故を頼りに、首相の威光にすり寄りたい輩ばかり。「生命(LIFE1)・生活(LIFE2)・人生(LIFE3)という“3つのLIFE”を大切にする医療研究を、どのように具現化していくか? AMEDの設立がひとつの契機となり、国の成長の原動力となることを願って止みません」。末松氏の美辞麗句とは裏腹に、このままでは日本の医学研究の地盤沈下に歯止めがかかりそうにない。


キャプチャ  2017年5月号掲載
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