遂に燃費でも敗北…現代自動車が満を持して放った“プリウスキラー”がトヨタ一強を揺るがす日

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『トヨタ自動車』の屋台骨を支えるハイブリッド車(HV)。昨年(1~12月)のトヨタ国内乗用車販売台数中、HVが占める割合は48.0%と半数近くに達した。今や、「トヨタ車で真面な競争力があるのはHVだけ。HV無しにディーラー経営は成り立たない」(トヨタ国内販社幹部)という大黒柱的な存在だ。他社にもHVはあるが、「“HV=トヨタ”のイメージが強く、殆ど競合しない」(同)という。その為、値引き率も低く、国内自動車市場が縮小する中、ディーラーにとって貴重な収益源になっている。だが、向かうところ敵無しだったトヨタのHVに強力なライバルが現れた。『現代自動車』(韓国)の『アイオニック』だ。「アイオニックは、昨年に登場したばかりのHV。誕生から20年を超えるプリウスとは完成度が違う。ライバル視もしていない」と、トヨタ関係者は切り捨てる。トヨタのHVは、今年1月に世界累計販売が1000万台を突破した。リーマンショックの起こった2008年までは北米が最大のHV市場だったが、2009年以降は日本がトップに立っている。しかし、ここ5年間の国内HV販売は約63万~約68万台と頭打ちに。代わって、ヨーロッパ市場がここ5年間に約11万台から約29万台と、約2.7倍の高成長となっている。昨年のHVの地域シェアは、ヨーロッパが20.4%と、19.0%のアメリカを抜いて、48.4%の日本に次ぐ市場となった。これは、HVの技術革新による燃費向上に加え、ヨーロッパでエコカー市場を押さえていた省燃費ディーゼル車が、2015年に『フォルクスワーゲン(VW)』の排ガス不正問題で人気が落ちたという“敵失”もある。「ディーゼルの失速で、これからヨーロッパはHVの草刈り場になる」と、前出のトヨタ関係者も期待をかける有望市場だ。

ところが、ヨーロッパにおけるHV販売で、アイオニックがプリウスを追い抜く。今年1月にアイオニックは1540台を販売し、プリウスの1272台を268台上回った。翌2月になるとアイオニックは1159台に落ち込んだが、プリウスが755台と大幅減となった為、差は404台に広がっている。アイオニックは、昨年1月に韓国で発売されたHV。車体デザインはプリウスのパクリと言われるほど似ているが、心臓部のHVシステムは全くの別物。プリウスがガソリンエンジンに発電モーターと駆動モーターを組み合わせる2モーター式なのに対して、アイオニックは『ホンダ』の『フィットHV』と同じガソリンエンジンに駆動モーターだけを組み合わせる1モーター式だ。1モーターの簡易なHVシステムの採用で、製造コストも抑えられた。ヨーロッパでのアイオニックHVの価格が税込み2万4900ユーロ(約289万円)からに対して、プリウスは同2万9250ユーロ(約339万円)からと、4350ユーロ(約50万円)も安い。アイオニックの保証期間もプリウスより長い等、顧客サービスも充実している。トヨタのHV帝国は、今後も世界に君臨し続けることができるのか? その“試金石”となりそうなのが、アイオニックの次なる主戦場となる北米だ。アイオニックは、今年春に北米市場に投入される予定。実用燃費に近いとされるアメリカの『環境保護庁(EPA)』試験値で、アイオニックHVは高速道路約23.0㎞/リッター、市街地約23.4㎞/リッター、混合モード約23.4㎞/リッターと、プリウスの高速道路約21.2㎞/リッター、市街地約22.9㎞/リッター、混合モード約22.1㎞/リッターを上回る。HV最大のセールスポイントとなる燃費でアイオニックに負けたことにより、HV市場での“プリウス独り勝ち”は終焉を迎えそうだ。トヨタよりも簡易なシステムを搭載するアイオニックが何故、燃費でプリウスを上回るのか? 「HVシステムの機能はトヨタが上。だがアイオニックは、新たに開発した燃費の良い総排気量1600㏄の四気筒ガソリンエンジン“Kappa GDi”と組み合わせることで、プリウスに負けない燃費性能を実現した」と、エコカーに詳しい自動車ジャーナリストは解説する。実は、これも大きな脅威だ。ガソリンエンジンの燃費改善はHVに留まらず、全車種で利いてくる。トヨタの豊田章男社長は、HVの成功で手薄になったガソリンエンジンの燃費向上を急いでいるが、現代がエンジン技術で追いついたことにより、全車種でのグローバル競争に影響が出る可能性もある。更にアイオニックは、プラグインハイブリッド車(PHV)モデルや電気自動車(EV)モデルを展開する前提でプラットフォームを開発している。つまり、PHVやEVを低コストで投入する環境が整っているのだ。プリウスにもPHVモデルはあるが、EVとなると昨年12月に開発を担う社内ベンチャーが立ち上がったばかり。

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一方、現代は量産型EV『アイオニックエレクトリック』を同年6月に発売済み。EPA試験値ではガソリン換算で57.8㎞/リッターと、『日産自動車』の『リーフ』の47.6㎞/リッターを上回る。現代はエコカー開発で先行する日本勢を猛追しており、海外市場での存在感は確実に増している。その“波”は日本にも押し寄せるかもしれない。「トヨタには、プリウス以外にも多くのHVがある。アイオニックがプリウスよりも売れたところで、トヨタ優位は動かない」と、自動車担当の全国紙経済記者は断言する。前出の販社幹部も、「韓国車は日本では売れない。アイオニックがトヨタのHVを脅かすようなことは起こらないだろう」と危機感の欠片も無い。確かに、今のところ日本でアイオニックが発売される予定は無い。が、嘗て世界市場を席巻した日本の大型液晶テレビは、韓国勢に追い落とされて総崩れになった。フィーチャーフォン時代の携帯電話では日本市場に手も足も出なかった韓国勢も、スマートフォンの普及で『サムスン電子』の『Galaxy』が売れ筋商品として定着した。こうした製品カテゴリーの移行期は、新規参入事業者にとって大きなチャンスと言える。現代は昨年10月、ネバダ州であらゆる形態の道路と環境条件で走行できる自動運転車の試験免許を取得する等、トヨタ始め日本車メーカーと互角以上の自動運転技術を持つ。アイオニックの自動運転車も、昨年12月にラスベガスで公開試乗会を実施済みだ。「アイオニックは、韓国ブランドへの抵抗感が小さい欧米からシェアを伸ばし、自動運転車への移行に合わせて日本に上陸するだろう。機能と価格によってはヒットする可能性がある」と、前出の自動車ジャーナリストはみる。国内外でHV帝国を築き上げ、エコカー市場に君臨してきたトヨタは、いつまで安閑としていられるだろうか――。


キャプチャ  2017年5月号掲載




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