【徹底解剖!東京都庁】(04) 課長でも“行き場無し”続出! 意外に甘くなかった都庁の天下り事情

出世した幹部職員にだけ約束された都庁の“天下り”。数多くある外郭団体への再就職の実態と、言われているほど甘くない職員たちの“本音”をお届けする。 (取材・文/本誌編集部)

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世間でいつも問題視される公務員の“天下り”。システム化された幹部の再就職を天下りと呼ぶのであれば、都庁にも厳然と天下りが存在する。ただ、初めに断っておけば、そのレベルは国家公務員と比べて規模が小さい。中央省庁の国家公務員キャリア組の場合、定年近くまで勤めれば、先ずほぼ全員が何らかの形で天下り先を世話してもらえる。それも、次官級であれば年収2000万~3000万円のポストを数年間宛がわれ、更に退職金も数千万円。それが2~3セット続くのだから、まさに天国だった。謂わば、入省した時から天下りが約束されているキャリア組。そして、ノンキャリでも課長までいけば、何らかの小さなポストは確保できる。これが国家公務員の“役得”である。都庁の場合、確実に天下りできるのは部長級以上となる。部長以上に出世するのは全職員の3%未満だから、これは相当大変である。殆どの職員は天下りとは縁が無いのである。また、現職時代より給与の高いポストは先ず無い。“再就職先の待遇は概ね現役時代の7割程度”という暗黙のガイドラインがあり、課長級なら年収700万~800万円を2年間。部長・局長なら年収1200万~1500万円を2年、2回というのが相場とされている。東京都は2005年度より、局長以上の幹部の再就職状況を公表してきたが、2011年より課長級以上に公表対象を広げ、ホームページに氏名を掲載している。直近(※平成27年8月1日~平成28年7月31日に退職した課長級以上224人)の退職者を見ると、部長で4割、課長で5割以上が“再任用”か“未就職”となっていることがわかる。

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「平成28年は例年に比べ退職者がかなり多く、再就職のポストに空きが無くなっている。その結果、課長でも遅くに昇進した人等は、再任用という形で押さえ込まれ、天下りはできなくなった。石原知事時代、或いはそれ以前にはもっと派手に天下りが横行していましたが、批判が高まって相当縮小されたのです」(都政担当記者)。都は2010年に“都庁版人材バンク”の設置を表明。民間からの求人と、適材と思われるOBのマッチングをスタートさせると同時に、退職した職員が現役職員に働きかけること(※退職前5年間の職務に関するもの)を一定期間禁じる等の規制を打ち出した。再任用の場合、給与は定年退職時の7割とも言われるが、「それは上限であって、実際の給付水準は6割以下のことが多く、天下りできたほうが基本的に待遇はいい」(都庁職員)というから、中々大変である。左上表は、NPO法人『万年野党』が、東京都の過去5年間(※2011~2016年)における都庁課長級以上の職員の天下りを纏めたものである。同じような名前の団体がずらりと並ぶが、これらは皆、長年に亘って都が開拓・キープしてきた天下りの受け皿で、基本的に課長級以上の職員が定年退職後に再就職する法人・企業である。再就職先には“管理団体”・“報告団体”・“公益団体”・“民間企業”等があるが、簡単に言うと、都との結び付きの強さでその分類が変わってくる。管理団体とは、都が25%以上出資している団体や、継続的な財政支出・人的支援を行っている団体の内、全庁的に指導監督を行う必要がある団体を指す。報告団体は、同じく都が出資していて、運営状況の報告のみを受けている団体。公益団体には、公益財団法人・一般財団法人・社会福祉法人等が含まれる。都庁の職員が登り詰める最高到達点は、都のナンバー2である“副知事”だが、このポジションはやはり別格で、『東京信用保証協会』理事長や『東京メトロ(東京地下鉄株式会社)』副社長、或いは『東京臨海ホールディングス』社長といった年収1500万~1800万円クラスの天下りポストが用意される。昨年、副知事で退職した前田信弘氏は東京臨海ホールディングス社長に納まったが、これは『ゆりかもめ』や『東京ビッグサイト』等を統括する持株会社だ。大株主は東京都知事(約85%)という、まさに東京都の直営会社である。副知事ともなれば、退職後10年は何らかの形で関連ポストが用意されるというから、これは中央省庁の次官とそう変わらない待遇と言っていいだろう。「基本的に、天下りポストは生活保障の装置ですから、仕事は誰がやろうが変わりませんし、判子を押していれば後は何もしなくていい。副知事クラスの天下り先はそこそこ規模も大きいので、何かと忙しかったりするが、報告団体や地味な公益法人等ではこれといった仕事も無く、まさに余生を過ごすのは最高の舞台です」(前出の都政担当記者)。

現在、都は33の管理団体と51の報告団体を抱えているが、これらの団体は、単に都庁職員の天下り受け皿として機能しているだけではなく、都と年間1000億円以上(※管理団体の合計)の“特命随意契約”を結んでおり、巨額の予算がこれらの団体に流れている構造がある。特命随意契約とは、緊急工事等がある場合、入札を経ずに契約できる例外規定の1つだが、都は天下り先でもある監理団体に最大限、仕事を回して“ギブアンドテイク”の関係を構築している訳だ。勿論、財源は都民から徴収した税金であるのだが。また、現役の都庁職員が監理団体・報告団体に多数出向している事実も見逃せない。これらの団体は、“殆どの幹部が都からの天下り”“職員の多くは都からの出向”という恐ろしく人件費のかかった運営がなされていることが珍しくなく、これらの実態はまだまだ明らかにされていない部分が多い。幹部たちの優雅な再就職――。しかし、昔の都庁を知るOBたちは、「昔より格段に天下りは厳しくなった」と口を揃える。1990年代に都庁を定年退職したOBが語る。「当時は退職金も今より手厚く、局長級なら6000万円以上ありました。東京都歴史文化財団副理事長等、Aクラスの天下りポストに5年間ほど居座ることができ、報酬総額は退職金も合わせ1億円以上。また、今でも続いているゼネコンへの天下りが凄かった。これはバブル崩壊後、国家レベルでの公共工事が減少していたところ、都の臨海副都心開発にゼネコンが期待し、競って都幹部の天下りを受け入れ、事業受注に繋げようとしていたからです。天下り先となる都の監理団体も、当時は70以上あった。これは鈴木俊一郎知事が、都庁の職員削減を進める代わりに外郭団体をどんどん増やしたのがきっかけだった。今は昔と比べてそこまでポストが無いので、皆さんが思っているほどいい思いはしていないですよ」。どんなに批判されても消えることはない天下り。それはどうしてなのかを聞くと、こんな答えが返ってきた。「勿論、我が身可愛さもあるが、足並みを乱すことを何より嫌う役人根性が出ているとも言える。実は、露骨な天下りを潔しとしない職員もいて、『もう仕事は完全にリタイヤして、好きな時間を過ごしたい』という人も中には結構いるんです。『都庁職員は国家公務員とは違う』という意識が強いので、天下りに対する執着心も比較的弱い。2人が同じ局長まで出世したとして、おいしいポストが1つしか空いていなかったとしたら、長い間一緒に働いてきたのに、そこでカネの為に最後まで争うなんて嫌でしょう? しかし、役所の人事というのは全体がシステムになっているので、自分の都合で再就職を拒否すると、様々な方向に影響が出ることになる。それを嫌って、決められたポストに天下って働くという人が結構多いんですよ」(同)。殆どの職員は、天下りといっても、現役時代より少ない年収で2年間ほど働くだけ。堅実に働いてきたタイプであれば、どうしても天下り先にしがみつく必要性がないというのも理解できる。今後も都庁の天下りが無くなることはないが、時代の大きな流れとして、より薄く、軽くなっていくことは間違いないだろう。嘗ては、定年後の天下りまでが公務員の人生設計の中に組み入れられていた時代もあったが、確実に時代は変わってきている。極めて日本的な制度である公務員の天下りの縮小・撤廃は、都庁のみならず、多くの地方自治体で今後も進んでいくと思われる。そのことによって、公務員という仕事の魅力がどこまで失われるのか、それとも失われないのか――。その答えは、未だ誰にもわからない。

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