【ここがヘンだよ日本の薬局】(06) 億万長者も夢じゃない? 調剤薬局経営の理想と現実

20170619 07
家賃が20万円程度の物件で調剤薬局を開業するとして、開業資金は約2000万円となる。少なくない額となるのが、外装や内装の費用だ。都道府県から開設許可を得る為には、店舗の構造や設備に条件がある為、簡易的に済ますということはできない。分包機やレセプトコンピュータ等の機器や備品を揃えるのにも、それなりの費用がかかる。また、当座の運転資金として、最低2ヵ月分の人件費や家賃等を用意しておくことも必要だ。国民健康保険や社会保険から報酬が支払われるのは、請求対象となる月の2ヵ月後だからである。20年ほど前に資金2000万円で開業した薬剤師が言う。「開業資金が底をつく頃から、ビジネスが回るようになりました。一度、軌道に乗ってしまえば順調で、卸への支払いが滞ったことは一度もありません」。国家資格である薬剤師は収入が安定するのだから、開業資金を全て銀行融資で賄うことはできないのだろうか? 「それは無理。それほど儲かる仕事とは思われていないし、事実、安定はするけれど、右肩上がりで売上が急速に伸びていくものでもない。私は自己資金に加えて、実家を抵当に入れて借り入れし、開業しました」(同)。資金と同様に、開業にあたって重要なのは人脈だ。調剤薬局は、医療機関が発行する処方箋があって初めて、業務が発生する。確実に処方箋が回ってくる状況を作らなくてはならない。理想は、独立開業する医師と組んで薬局を開業することである。医師と薬剤師の過度な接近は道義上、良くないとされている。しかし、医師と薬剤師によるペア開業は多い。処方箋が回ってくる薬剤師にメリットがあるのは勿論、薬局が病院から近ければ患者の負担も軽くなるので、医師にとってもメリットは大きい。医師との出会いが、薬局開業のきっかけとなることもあるのだ。カギを握るのは情報収集だ。「勤務医が独立開業を計画している」という情報を逸早く仕入れることができれば、話が進展する可能性も高くなる。勤務医の情報を多く持っているのは、病院に出入りしているMR(※製薬企業の医薬情報担当者)やMS(※医薬品卸販売担当者)だ。日頃からMRやMSと親しくしていれば、力になってくれることがあるかもしれない。因みに、薬剤師の資格を持っているMRは、その人脈を生かして薬局を独立開業するケースが多いという。

医師とペアで独立開業する際、病院並びに薬局を開設する場所は、別の科の病院が近くにある場所が有利だ。複数の科を受診する患者も多い為、病院にとっては相乗効果が生まれるし、薬局は処方箋枚数が増えるからである。前出の薬剤師が言う。「私は内科医と共に独立したのですが、場所は整形外科の近くにしました。正解だったと思っています。内科は風邪が流行る冬と花粉症の春に患者が集中して、夏場は比較的暇です。でも、整形外科は季節による波が無い。年間を通して安定した売上になっているのは、違う科の2つの病院が近くにあるからです」。ペア開業に限らず、薬局を開業する時は、処方箋が回ってくることになる医師から使用する薬を教えてもらうことが大事だ。そうやって薬の数を絞れば、開業当初の品揃えにおいて無駄を省くことができる。尤も、薬局を利用する患者が増えるに従い、扱う薬の種類は増えて、最終的には平均1300種類ほどになるようだ。そうなる頃には経営は順風満帆だろう。扱う薬の種類が増えるほど頭を痛めることになるのが、不良在庫の問題だ。不良在庫は、一度開封した薬は返品できないことから生じる。薬局間で融通をつけることは自由なので、ネットワークを作ると改善が可能だ。インターネット上には、不良在庫の売買サイトもある。医師と薬剤師は、処方箋を発行する側と受け付ける側なので、場合によってはあからさまな上下関係を強いられることもある。嘗て、処方箋の指示通りの調剤で患者に副作用が出た時、医師に高圧的な態度を取られた経験のある薬剤師が言う。「『何で気付かなかったんだ!』と、それはもう凄い剣幕でした。医療界の慣例として、『何かあったら薬剤師のせいにしておけ』というのがあるんです。医学部では、責任を回避することを教えるけれど、薬学部では責任を回避する教育はしていません。『処方箋の疑義に関して、薬剤師は医師に問い合わせをしなくてはいけない』という薬剤師法は、『医師は人間だから間違いは起こす。だけど、薬剤師は機械だから絶対に間違えてはならない』という考え方に基づいているように思います」。医師との関係において不満やストレスを抱えながらも、患者の安全の為にプロフェッショナルの力を発揮するのが薬剤師の役割だ。医師法に抵触しない範囲で、健康生活の為のサポートをすることも求められている。“3分診療”で医師とあまり話をすることができなかった患者が、薬剤師に健康面での心配事を訴えたり、質問を投げかけたりすることも多い。今後、薬局はそうしたニーズに応えていかざるを得ないだろう。国が“かかりつけ薬剤師制度”に舵を切ったからだ。どの薬局も業務に対する報酬は一律で、サービスも横並びで良かったものが、かかりつけ薬剤師制度によって、患者から唯一の“マイ薬局”として選ばれなければいけなくなった。決め手となるのは当然、薬剤師の人、そのものである。院内処方から院外処方の流れの中で業界を席巻したのは、門前薬局を大量出店してきた大手薬局チェーンだが、潮目は来た。やる気のある薬剤師にとっては、面白い時代になったと言えるのではないだろうか。 (取材・文/フリーライター 永井孝彦)


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