【崩壊する物流業界】(16) ロボットは人手不足の救世主になれるのか?

20170619 09
ドライバーの不足に苦しむ物流業界。解消の切り札として期待されるのが、新しい技術だ。国土交通省は、大型トラック1台に荷台を2つ繋げた“ダブル連結トラック”の導入を目指し、昨年11月から実証実験を始めた。将来的には、自動運転や隊列走行の実現も見据える。実験は来年3月末まで行われるが、ドライバーの運転技術の向上や、車両の改良、道路幅や駐車スペース確保といった課題があり、実際の導入には時間がかかる。ただ、企業は省人化に向けて手を拱いている訳ではない。幹線輸送よりも早く新技術が使われ始めたのが、物流拠点の中だ。「人件費は毎年上がっており、何も手を打たなければ利益が吹っ飛ぶ水準に高騰している。ロボットの導入は当然だ」。『アスクル』のロジステイクス部門長や『楽天』の物流事業長などを務めた経験のある宮田啓友氏は言う。宮田氏が立ち上げた物流ベンチャー『GROUND』は、今年に入って一躍脚光を浴びた。インドの『グレイオレンジ』が開発し、GROUNDが販売する無人搬送車『Butler』(※左画像)を、家具大手の『ニトリホールディングス』が採用すると決めたからだ。ニトリは今秋までに、『西日本通販発送センター』(大阪府茨木市)に約80台を導入する。バトラーが力を発揮するのは、在庫が保管されている棚から商品を取り出す作業(ピッキング)の時だ。通常は作業者が伝票を見ながら商品を棚に取りに行くが、バトラーは作業者のいる所に棚を運ぶ。商品を取ると、別のバトラーが直ぐに次の棚を持ってくる。これによって作業効率が上がり、人手を減らすことができる。また、過去や現在のデータをリアルタイムで分析し、出荷頻度の高い商品はピッキングの作業場所の近くに、頻度の低い商品は遠くに配置するといった判断を、バトラーが自動で行う。

無人搬送車では、『日立製作所』が開発した『Racrew』も注目を集めている。バトラーと同様、棚を運ぶだけでなく、収集・蓄積したデータを分析して、棚の移動や配置を最適化する。企業の物流業務を一括受託する『日立物流』は、管理するアパレル会社の拠点にラックルを25台導入し、作業生産性は2.5~3倍になった。同社は2013年から①自動化②物流センター管理システムの高度化③物流拠点の最適な配置設計に力点を置いた“スマートロジスティクス”戦略――を進めており、ラックルもその一環。日立製作所と協力し、現場に導入した。今年度中に、更に100台追加する予定だ。日立物流が期待する技術は他にもある。無人フォークリフト・無人台車・パレットに積載された製品を取り出すデパレタイザー・商品を自動でピッキングするロボット…。昨年7月に新設された研究開発拠点では、これらの実用化に向けた検証が行われている。ピッキングロボットでは、素材や形状によっては上手く持ち上げられないことがある等、其々に技術的な課題を抱えるが、「どの技術が現場で使えるのかの見極めも含めて開発に取り組んでいく」(同社執行役ロジスティクスソリューション開発本部長の藤谷寛幹氏)。ロボットの開発競争が今後加速するのは間違いない。現場への導入が進めば人手は減らせるが、その一方でロボットの導入には費用がかかる。例えば、バトラーのリストプライス(メーカー希望小売価格)は1台2.7万ドルと決して安くない。投資に見合う効果は得られるのか? GROUNDの宮田氏は言う。「『ロボットのスペックで差が付く』と思われがちだが、効率化のカギを握るのは寧ろソフトウェアだ」。宮田氏が目指すのは、単にバトラーの販売を伸ばすことではない。物流センターの入荷管理システムも開発しており、入荷から出荷まで全体を最適化する仕組みを提供することに商機を見い出している。ソフトウェアの重要性を強調するのは日立物流も同じだ。「目新しいので、どうしてもロボットが注目されるが、普及するのは全体を効率化するシステムのほうが圧倒的に早いだろう。実際、スマートロジスティクス(※前出の①~③)の中で最も需要が多いのは、物流拠点の最適な立地を割り出すシステムだ」と藤谷氏は言う。ロボットに頼るだけでは効果は限られる。様々な技術を使いこなして物流全体を最適化できるかどうかが、企業の勝敗を分ける一因になる。 (取材・文/本誌 中島順一郎)


キャプチャ  2017年3月4日号掲載
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