【Test drive impression】(25) 『ジャガー F-PACE S』――世界で最も優れたクルマ&美しいクルマに選出されたF-PACE

『マセラティ』の『レヴァンテ』、『ベントレー』の『ベンテイガ』然り、このところ、ラグジュアリーブランドが続々とSUV市場に参入して、世間をあっと驚かせている。各ブランドが持つ特別な世界観が日常で乗りこなせるSUVに登場したら、女性ウケするモテ車としても魅力的に映らない筈がない。とはいえ、そのクルマ作りにも注目してほしい。存在感溢れるルックスだけに留まらず、磨き込まれた走りの質感等、拘りを持って作り込まれたクルマは、専門家たちによる評価も高い。そして今年4月、『ジャガー』の『F-PACE』が『ワールドカーオブザイヤー』と『ワールドカーデザインオブザイヤー』をダブル受賞の快挙を報じるニュースが舞い込んだ。F-PACEは、イギリスブランドのジャガーが“初のパフォーマンスSUV”と銘打って昨年リリースしたモデル。同社のスポーツカーの『F-TYPE』の要素を抽出したスタイリングは、筋肉質でしなやかな肉体を思わせる躍動感と品格が漂うエレガントさを併せ持つもので、紛れもなくジャガーの血筋を受け継ぐモデルだと印象付けられる。F-PACEは、現代のジャガーのデザインに一匙のスパイスが振られたことで、フォーマルな『セダン』や『クーペ』とは異なるキャラクターを提案。ジャガーのブランド観を新規ターゲットにアピールし、裾野を広げていきそうだ。

SUVのインテリアというと、無骨な造りや乗用車的なのが一般的。その点、F-PACEのインテリアはどこまでもスポーツカーライクで、エリートが涼しい顔で乗りこなすエレガントさも忘れていない。コックピットはドライバーの正面に液晶メーターが採用されており、センターコンソールにはタブレット感覚で操作ができる10.2インチのタッチスクリーンを配置。インフォテインメントシステムは、レスポンスに優れたSSDナビが搭載されただけでなく、音楽や映画を保存できる10GBメディアストレージ機能も備えている。オーディオはイギリスブランドの『Meridian』と共同開発したサブウーファー&11基のスピーカーが標準装備。臨場感溢れるサウンドを流しながらドライブを楽しめば、アドレナリン全開な気分からムーディーな雰囲気まで、ドラマティックな時間を演出する。シートはさらりとした感触の素材から、コントラスト色のステッチがあしらわれたレザー、パンチング加工したもの等、グレードによって表皮が異なる。更に、シート、ドアトリム、インパネアッパー、天井を覆うヘッドライニング、カーペットのカラーが予めコーディネートされているのも、スタイリストが選んだコーディネートに身を包むのと同様に、乗り手をハイセンスに演出してくれる。内外装は自分好みにカスタマイズができるが、 どれも洗練された素材を設定。イギリス流の審美眼で提案されるクールなジャガーの世界にノックアウトされそうだ。

見た目だけではない“見えない部分”にも、ジャガーの文法は息づいている。ボディーの80%にアルミニウムを用いた軽量モノコック構造は、運動性能に影響を及ぼす重量バランスに配慮したもので、前後重量配分は50:50に近い理想的な数値を実現している。SUVは、空間効率とコストが抑えられる前輪駆動をベースとした四駆モデルが大多数だが、F-PACEの車体構造は、高級車やスポーツカーに用いられる後輪駆動を4輪駆動にした造り。『XE』や『XF』といったセダンと共通化された部分もあるが、実際には全体の8割以上にF-PACE専用の部品が採用! ドライバーズシートに座り、ステアリングに手を添えた姿勢は、スポーツカー宛らのレイアウト。アクセルペダルに僅かに力を込めると、ドライバーの意図を察して加速し、トラクションが得られる最適なギアを選択して走る。カーブでは、ステアリングを切り込むと足はしなやかに路面を捉えながら、ドライバーの意思が赴くままに姿勢を変えていく。着座位置の高さが見晴らしの良い視界を齎してくれるが、そこには重心が高いSUVを走らせている実感が無い。そして、圧倒されてしまうのはエンジンフィール。V6の3リッターターボエンジンは、回転が高まる毎に官能的なフィーリングを与えてくる。特に、出力を高めたS仕様は、スーパーカー的にパンチが効いた加速感とエキゾーストの咆哮に翻弄されてしまう筈。そんな感動を与えながら、大人が座れる後席とキャンプ道具が積める実用性も発揮。イギリス流の美学が備わったSUVの魅力を、一度は味わってみたいものだ。


藤島知子(ふじしま・ともこ) 自動車ジャーナリスト・レーシングドライバー・『日本カーオブザイヤー』選考委員。1975年、神奈川県生まれ。文教大学女子短期大学英語英文科卒。レースクイーンやレーサーを経て、2002年より執筆活動を開始。『クルマでいこう!』(テレビ神奈川)にレギュラー出演中。


キャプチャ  2017年6月26日号掲載





スポンサーサイト

テーマ : 新車・ニューモデル
ジャンル : 車・バイク

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接
QR码
QR