【PKO法25年】(上) 制度上の不備、埋め続け

明日15日で、国連平和維持活動(PKO)協力法成立から25年を迎える。自衛隊は世界各地で活動し、国際的な評価を高めてきた。昨年3月に施行された安全保障関連法により、“駆けつけ警護”等の新任務が可能となり、活動の幅も広がった。これまでの歩みや、今後の課題を報告する。

20170620 02
1992年6月15日夜、PKO協力法は193時間16分に及ぶ審議と野党の徹底抗戦の末に成立した。「国会の周辺には連日連夜、自衛隊の海外派兵に反対する声がこだましている。軍国主義復活に対する懸念と不安は、急速に高まっている」。成立2日前の13日、後に首相として“自衛隊合憲”に転じた社会党国会対策委員長の村山富市氏は、徹夜明けの衆議院本会議で声を張り上げていた。衆院議長不信任決議案等の連発や牛歩戦術を通じ、成立まで連日繰り広げられた与野党攻防の一幕だ。1991年の湾岸戦争で日本は多額の財政支援を行ったが、自衛隊を派遣しなかった為、国際社会から「カネは出すが汗はかかない」との批判を浴びた。自衛隊の国際貢献を可能とする為、政府が目指したのがPKO協力法の成立だった。賛同した野党の公明・民社両党の協力を得る為、武器使用の制限を含む厳格なPKO参加5原則の導入や後方支援業務への限定等、法律の内容は大幅に抑制された。それでも国論は二分され、成立直後の読売新聞の世論調査では、「評価する」が44%、「評価しない」は47%だった。成立から3ヵ月後の1992年9月、道路整備等を担う陸自施設大隊約600人が、初のPKOに派遣された。内戦終結後のカンボジアで停戦監視や総選挙にあたった『国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)』だ。「ポル・ポト派が潜伏しているかもしれない」。大隊長・渡辺隆氏の元には、武装勢力の動向に関する報告が度々入り、現地では強盗事件も多発していた。当時の法律では、自衛官は自らの命を守る為にしか武器を使えず、国連スタッフらが襲撃された場合に助ける“駆けつけ警護”は許されていなかった。渡辺氏は、「『いざとなったら腹を切るつもりでやるしかない』と思っていた」と当時の緊張感を振り返る。

懸念された事態は、翌年の1993年に現実のものとなる。4月に国連ボランティアの日本人男性が、5月には日本の文民警察官が、其々凶弾に倒れた。「これ以上犠牲者が出たら撤退せざるを得ない」。警察官襲撃の一報を受けた河野洋平官房長官が苦渋の表情で呟いたのを、官房副長官だった石原信雄氏は鮮明に覚えている。それでも当時の政権が踏み止まったのは、カンボジアの将来を左右する総選挙開始を直後に控える中での「日本の責任」(石原氏)があったからだ。難題は、選挙時に投票所に配置される日本の選挙監視員の安全確保だった。自衛隊に警護の権限が無い中、政府が編み出したのが“情報取集目的の巡回”。「道路補修をする上で必要な治安情報を集める名目で、隊員が投票所を回り、万一襲撃があれば自らの命を守る目的で武器を使って反撃する」というものだ。宮沢喜一首相が自ら国会答弁で「非常に緊迫した状況下で、『憲法・法律の許す範囲でベストを尽くせ』と指示している」と述べたように、ヤマ場を乗り切ったのは法律すれすれの窮余の策だった。その後も法律の制約で、ギリギリの判断を迫られる場面はあった。2002年12月には、東ティモールで活動中の陸自部隊が現地の暴動に巻き込まれた日本人を保護したが、「人道的見地による緊急避難」という苦しい説明を強いられた。時の政府も対策を講じてきた。2001年には武器使用基準を緩和して防護対象を広げる改正PKO協力法、2006年にはPKOを“本来任務”に位置付ける改正自衛隊法、2015年には駆けつけ警護や宿営地の共同防護を認める安全保障関連法が成立した。PKO25年の歩みは、制度上の不備を一歩一歩埋める作業でもあった。PKO協力法に基づく自衛隊の派遣は、これまでにPKO9件、人道救援活動5件。延べ約1万2000人の隊員が参加し、国際社会から高い評価を得てきた。この間、隊員は1発の銃弾も撃たなかったが、治安悪化で“PKO参加5原則”の実効性が問われる場面もあった。物資輸送等を担ったゴラン高原での活動は計17年に及んだが、シリア内戦の激化に伴い2013年に撤収。政府は「5原則に抵触する武力紛争ではない」としつつ、隊員の安全確保が困難になったことを理由に挙げた。先月、司令部要員を残して部隊の撤収が完了した南スーダンでも、自衛隊の宿営地周辺で激しい銃撃戦が起きる等、緊迫した状況が度々生じた。 (※肩書きは当時)


⦿読売新聞 2017年6月14日付掲載⦿
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