自称19歳“神待ちカート女”の日常――夜の繁華街にたむろする“若年ホームレス”の実態

繁華街でカートを引いている女たちがいる。勿論、旅行の行き帰りが殆どだが、実は居場所が無くてホームレスになっている為にカートを引いているケースもある。所謂“神待ち少女”も“カート女”と化しているのだ――。 (取材・文/フリーライター 栗原正和)

20170621 08
東京都内でカートを引いている女性はよくいる。また、大型のリュックサックをしまったり、カートより更に大きい旅行用キャリーケースを引いている人もいる。だが、彼女たちの全員が旅行自的という訳ではない。其々、抱える事情で“ホームレス化”した結果、カートを引いていることもあるのだ。カートの中には着替えが詰まっている。筆者は嘗て、こうした“家出カート女”と知り合い、自宅マンションに泊めていたことがある。きっかけは、インターネットの地味な掲示板の投稿だった。「家の事情で家出しました。助けてくれる人募集します」(※一部抜粋、原文ママ)という書き込みで、19歳だという。筆者は当時、今はなき月刊誌『宝島』に『ネット世界のヤバい人々』という連載を書いていた為、「何かネタになりそうだ」と思ってメッセージを送った。直ぐに返信が来て、待ち合わせの時間と場所を決めた。そこに立っていたのは、中肉中背、長い黒髪をしたオタク系の女性だった。19歳にしては幼いような印象もあったが、最近は30歳過ぎでもオタク系はこんな感じの子が結構いる。また、メールのやり取りからも、言語コミュニケーション能力は成熟している印象があった。知能も高そうで、意思疎通し易い。「ミオちゃん?」。声をかけると、彼女はこちらを見上げ、笑顔を浮かべた。「うん、背高いね」。適当に店を選んで入り、食事をしながら大雑把に話を聞いた。メールでも聞いてはいたが、親との折り合いの悪さを繰り返し訴えた。そして、「家には戻りたくない」という。「ちょっとウチに来る?」「うん、シャワー浴びたい」。自然な流れで筆者は自宅マンションに連れて行ったが、19歳だと未成年者誘拐罪に問われる可能性がある。勿論、リスクは承知の上だった。

筆者宅では、ゲームやボーカロイド、或いはアニメの話等を聞いた。筆者としては断片的な知識しかないジャンルの話なので、色々と参考になった。『リヴリーアイランド』というオンラインゲームを好み、またアニメのイチオシについてはこう言っていた。「まどマギ。面白いよ」。このアニメは未だに見ていないが、暗く残酷な物語であることを後で知った。すっかり打ち解けた彼女は、筆者が貸したスエットの裾や袖を器用に折り込んだ。そこには、安心して過ごす彼女の姿があった。そして、こんなことを言い出したりもした。「ねぇ、何て呼べばいい? お兄ちゃん?」。年齢差としてはお兄ちゃんではなくお父さんな訳で、筆者はこう答えた。「パパってのもキモいし、おっさんでいいよ」「それは流石に…呼び難いな(笑)」。ところが数日後、驚くべき事実を知ることになる。彼女は15歳だったのだ。筆者宅のPCでゲームをしていた時のアカウントIDが生年月日っぽかったので聞いてみたら、実年齢を白状したのである。筆者はかなり疑り深いほうだが、それでも騙されていた。恐らく、誰もが被女の言うことを信じたに違いない。彼女は名門中学校の受験に失敗し、普通の公立中学校へ進む。その後、1つ下の妹が嘗て自分の受けた名門中学校に含格する。そのあたりから家出を繰り返すようになったらしい。また、母は障害を抱え、父からは暴力があったという。筆者は年齢を知って焦った。そして、「将来があるんだから家に戻ろうよ」と粘り強く説得した。しかし、「家に帰るのは絶対に無理」と言う。そして、次の選択肢として提示したのが、施設への入所だ。彼女はそこで漸く納得する。筆者は、家庭に問題を抱えた児童のフォローをしている社会福祉法人『カリヨン子どもセンター』に連絡した。彼女を連れて行くと、カリヨンの担当者、及び若い男性弁護士と中年の女性弁護士が待っていた。本人を交じえ、5人で相談した結果、カリヨンへ入所することになる。そして、暫くカリヨンで過ごした後、児童相談所送りとなった。この件は結局、宝島の連載記事のネタにはしなかった。カートを引いている女性を見かけたら、注意深く観察してみるといいかもしれない。居場所に困っている女性なら、挙動に違和感がある。但し、声をかける場合はくれぐれも慎重にすべきだ。未成年、及び18歳未満の場合は、誘拐や児童買春等の犯罪と見做される可能性が高いからである。


キャプチャ  第25号掲載
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