【胎動・5Gの世界】(上) 大競争時代再び

次世代通信規格である第5世代(5G)の実用化が、3年後に迫ってきた。最大100倍以上の高速・大容量と、殆ど遅れの無い通信網は、あらゆるモノがインターネットに繋がる第4次産業革命の基礎インフラ。産業のかたちを変え、暮らしの隅々にまで影響を及ぼす。

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2020年7月24日夕。東京オリンピックの開会式を見ようと『新国立競技場』へ向かう群衆を、空中に浮かぶドローンの4Kカメラが捉えた。半径150mにいる数千人の映像を人工知能(AI)が解析。攻撃性・緊張度・ストレス等、50の指標で異常値を示す人物を特定した。「不審人物発見」。スマートフォン(スマホ)にメッセージを受けた近くの警備員が、刃物を隠し持つ不審者を捕らえた。その間、僅か1秒以下。『綜合警備保障(ALSOK)』が昨年から『NTTドコモ』と共同で始めた、5Gを使った警備サービスの実証実験だ。「AIや4Kカメラは進化しているが、それを伝える“神経”が無ければ使えない」と、ALSOKの桑原英治執行役員待遇は5Gの重要性を強調する。5Gの特徴は、通信速度が最大毎秒20ギガビットで、実効速度では現行4Gの100倍以上という高速通信だ。データをやり取りする時に発生する通信の遅れは1000分の1秒以下と、殆ど無い。自動運転のカギを握るのも5Gだ。通信の遅れが大きい4Gでは、高速走行するクルマがブレーキを踏んでも、後続車のブレーキが作動するまで1m以上進んでしまう。5Gなら僅か数㎝。

実証実験を始めた『5Gオートモーティブアソシエーション』に参加する『ダイムラー』や『アウディ』を始め、『トヨタ自動車』等日本勢も5Gを使った運転支援機能の実用化を狙う。ほんの20年前まで音声だけだった携帯電話は、3Gで音楽配信や写メール等画像のやり取りができるようになった。4Gではスマホの普及と相俟って、人気ドラマをみたり、買い物をする等、生活の基盤となった。5Gはあらゆる産業を繋ぎ、立体映像が手のひらで踊る時代が来る。5Gが始まる2020年の東京オリンピックを睨んだ『KDDI』の実証実験。サッカーの試合を4つの8Kカメラで撮影し、3次元(3D)映像に合成して、テレビやスマホ等のディスプレーに送る。ポイントは、コントローラーで視聴者が見たい視点を自由に選べること。ピッチでプレーする選手の視点に設定すれば、試合に“参加”することができる。『iPhone』でスマホ時代を切り開いた『Apple』の時価総額は、この10年で7倍超に跳ね上がり、世界首位に君臨する。『Google』の持ち株会社『アルファベット』や『Amazon.com』も上位に食い込む。一方、10年前に首位だった『エクソンモービル』や2位の『ゼネラルエレクトリック(GE)』は、主役の座を譲った。アメリカのコンサルティング大手『アーサー・D・リトル』等は、5Gが生み出す市場が2026年に1.2兆ドル(約130兆円)になると推計する。新しいサービスや端末をどう開発し、市場を取るかで、世界の企業競争の構図はまた大きく変わる。5G時代の主役は誰になるのか? 次の10年に向けた戦いが始まった。


⦿日本経済新聞 2017年6月19日付掲載⦿
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