【PKO法25年】(中) 駆けつけ警護、新たな一歩

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「ラッセラー、ラッセラー」――。今年1月28日、陸上自衛隊施設部隊が『国連平和維持活動(PKO)』を行う南スーダンの首都・ジュバで開かれた第2回全国スポーツ大会。南スーダン各地の様々な部族の選手が参加する中、笛や太鼓の響きに合わせて青森ねぶたのかけ声がこだました。声の主は、青森市の陸自第9師団を主体とする第11次隊の隊員。高さ約1.5mのねぶたも登場し、大会に花を添えた。大会が行われたグラウンドは昨年、陸自部隊等が整地し、第1回大会の開催にこぎ着けた。部族対立に苦悩する南スーダンにとって、国家の“結束”を象徴する大会であり、陸自部隊はこれに貢献した。南スーダンでの活動は、施設部隊のPKOでは過去最長の5年4ヵ月に及んだ。計約260㎞の道路を補修し、用地造成は約50万㎡に達した。こうした実績に加え、昨年3月に施行された安全保障関連法で可能となった“駆けつけ警護”と“宿営地の共同防護”の新任務を初めて担ったことで、「歴史的な意義」(安倍首相)を持つ派遣となった。「町の地図を頭に入れて、色んな場面を想定しながら訓練していた」。昨年11月に派遣された第11次隊の田中仁朗隊長は、現地での駆けつけ警護の訓練についてこう語った。田中隊長は着任後、国連部隊幹部に新任務付与を説明した。しかし、その回答は「(駆けつけ警護を)施設部隊の日本に頼むことはない」。それでも、新任務実施の可能性は低くとも、不測の事態に備え、実弾を使った訓練を宿営地内で毎週繰り返した。今年1月には、宿営地の共同防護について、陸自部隊が参加できるよう計画を見直す会議にも参加した。田中隊長は、「どういう仕組みで宿営地の共同防護をするのかを理解できた。収穫だった」と振り返った。

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新任務付与は、昨年7月、ジュバの情勢が緊迫した為、すんなりとはいかなかった。日本政府は「治安は比較的落ち着いている」と訴えたが、野党は国会で「駆けつけ警護を付与したら自衛隊のリスクが高まる」と攻め立てた。政府は昨年11月、漸く新任務付与を決めたが、同時に、駆けつけ警護は“極めて限定的な場面”で実施することや、安全が確保できない場面の部隊撤収を明確化した。だが2月になると、部隊の日報等から、昨年7月に陸自部隊が極めて厳しい状況に置かれていたことが判明した。「直射火器の弾着を確認」「宿営地5・6時方向で激しい銃撃戦」――。自衛隊幹部によると、最も緊迫した際には「宿営地の上空を銃弾が飛び交った」。同じ宿営地のルワンダ隊が攻撃を受け、隣のバングラデシュ隊が応戦する場面もあった。陸自部隊は、へルメットと防弾チョッキを着用して屋内に退避した。今年3月、野党が日報問題を国会で激しく追及する中、政府は活動に“一区切り”がついたとして撤収を発表した。新任務付与から僅か4ヵ月後の決定だった。新任務を実施しないまま、先月27日、部隊は撤収を完了した。駆けつけ警護が可能となったが、課題も残る。安保関連法では、駆けつけ警護を妨害する者への任務遂行型の武器使用が認められたが、自衛隊関係者は「現実的には警告射撃が新たに可能となっただけ」と口を揃える。警告無しで相手に危害を加える射撃ができる他国軍との差は、依然として大きい。最近のPKOは、停戦監視や国造り支援よりも文民保護が主体となり、リスクが増しているのも現場の自衛隊員にとっては懸念材料だ。自衛隊幹部は、こう語る。「文民保護中心のPKOへの派遣なら、武器使用基準の更なる緩和が望ましい。だが、世論を考えると容易ではなく、そこが壁になる」。


⦿読売新聞 2017年6月15日付掲載⦿
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