【霞が関2017夏】(03) 金融庁が狙う“鈍感地銀”のあぶり出し

金融庁は2019年3月期から、地方銀行等に債券の保有を制限する新規制を導入する。「金利の変動が激しい超長期国債や外貨建て債券を沢山持つと、金利が上昇(※価格は下落)した際に多くの含み損を抱えかねない」と判断した為だ。経営のリスクの芽を事前に摘む規制のように映るが、金融庁の本当の狙いは別のところにある。新規制の対象は、海外に営業拠点を持たない金融機関で、地銀と第2地銀合わせて95行が当てはまる。計400以上ある信用組合や信用金庫等も規制対象になる。新規制の中身は、ざっくり言うとこうだ。先ず、保有する債券の金利が上下した場合の価格変動を試算し、損失リスクを見積もる。その最大値が、損失が出た時に充当できる自己資本(※コア資本=普通株や内部留保等)の20%を超えるかどうかを調べる。地銀にとっては、“20%の壁”が第1の関門だ。超えた場合は追加の調査を義務付ける。例えば、自己資本比率が10%の銀行の場合、“国際規制で最低限必要な自己資本”と決められている4%を除く6%分の資本と試算したリスクを比べる。リスクが上回れば、早期是正措置や改善命令の対象になる。リスクを下回れば各行に事情を聞き、適切に対応するよう個別に協議する。“資本の余裕分”が第2の関門になる。

金融庁は、「地銀の3割が新規制に抵触する」とみる。地銀の外国証券の保有残高は今年4月末で12兆5000億円と、5年間で8割増えた。マイナス金利が逆風になって、「本業では利鞘を稼げない」と判断し、挙って外債投資に走った結果だ。債券運用の専門部隊をきちんと整える地銀は少なく、「素人に毛が生えた少人数で身の丈を超えた運用をしている地銀も少なくない」(金融庁幹部)。危険な運用を改め、その分を地元企業への融資やベンチャー発掘等に充ててほしい――。これが金融庁の“公式見解”だ。ある金融庁幹部は、別の狙いを明かす。「経営リスクに鈍感な地銀を炙り出す」。横並びで規制を敷けば、損失リスクの大小を“順位化”でき、取引先や株主にはっきり見えるようになる。頭取に「このままでは駄目だ」という自覚を持ってもらい、自ら改善を促す――。これが金融庁の“本音”だろう。地銀は、新規制に戸惑いを隠せない。「損失を調べるシステムも投資しないといけない」(中国地方)、「稼げる手段をどうすればいいのか?」(中部地方)。東日本の地銀は、「住宅ローンに影響が出かねない」と語る。長期の債券運用を制限すれば、“長期・固定”の住宅ローンを売り難くなるというのだ。ただ、歴史的な低金利がずっと続く中、将来のリスクを考えて、顧客の需要は長期・固定に傾く。需要がある商品を減らしてまで、運用リスクを軽くするのか。地銀の悩みは、簡単に解決しそうにない。 (鈴木大祐)


⦿日本経済新聞電子版 2017年6月20日付掲載⦿
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