『山健組』の跡目は取れず、『任侠団体山口組』は見捨てられ…織田絆誠のハシゴは2度外された!

『6代目山口組』(司忍組長)側との戦いを最前線で指揮した大功労者ながら、総帥との絆を失った織田絆誠。『神戸山口組』側を離脱して第三極を立ち上げた織田の下に、馳せ参じた顔ぶれとは――。 (取材・文/フリージャーナリスト 柳沢十三)

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4月30日、ヤクザ業界に激震が走った。この日、神戸山口組(井上邦雄組長)から、織田絆誠若頭代行(『4代目山健組』元副組長・右画像)・池田幸治若頭補佐(『4代目真鍋組』組長)の両懲罰委員を始めとして、直参組長らが離脱し、新たな団体を設立したことが明らかになったのだ。「離脱者らは、尼崎にある古川組本部に集結し、マスコミの記者らを本部内に招いて会見を開きました。そこで発表された新団体の名称は“任侠団体山口組”(織田絆誠代表)。これにより、“山口組”という名称が付く組織が、6代目山口組・神戸山口組に続いて3つになりました。こうした異常な状態は、恐らく過去に無かったと思われます。また、『山健組からも直参らが多数移籍した』との話も聞こえてきましたが、未だ全体像は掴めていません」(ヤクザ業界に詳しいジャーナリスト)。長いヤクザの歴史においても極めて異例な展開を迎えているが、神戸山口組、更には山健組で何が起きたのか? 2015年8月の山口組分裂後に彗星の如く現れ、井上組長の腹心として日夜、6代目側と対峙してきた織田元若頭代行の胸中に、どのような変化があったのだろうか? 激動の4月30日から時計の針を巻き戻して、任侠団体山口組が設立される前兆を見ていきたい。

「『井上組長と織田元若頭代行の関係がしっくりしていない』との話が外にまで聞こえてくるようになったのは、今年の初めくらいだろう。口論だったら誰も心配しない。いくら仲の良い親子だろうと、口喧嘩くらいするのはヤクザも同じだからな。そうやってぶつかり合っているうちは未だいいんだが、どうも2人は目も合わさない状態にあったらしい。そのうち、『入江禎副組長(『2代目宅見組』組長)と井上組長との間にも隙間風が吹いている』と言われるようになり、『山健組だけでなく、神戸側でも何か問題が起きているのかもしれない』と感じた」(東京都内で活動している他組織幹部)。神戸側では、4月10日に開催された定例会の席上、人事の刷新が発表され、新たに“幹部”ポストが設けられ、4人が任命された。「神戸側での人事には、『3月に6代目側で行われた人事に対抗する狙いがあった』と言われています。6代目側では、3人の若頭補佐と事務局長が新たに任命されました。これで若頭補佐は7人となり、一昨年8月の分裂直前の8人とほぼ同レベルに戻りました。執行部では昨年10月にも大きな改革が行われ、大原宏延本部長(『大原組』組長)が総本部長、森尾卯太男若頭補佐(『大同会』会長)が本部長に昇格しています。現執行部体制は、『分裂以前より厚みが増した』と評判です。それに比べると、神戸側での人事は少々寂しく、『後手に回った』との印象は否めません」(ヤクザ業界の動向に詳しい実話誌系フリーライター)。重苦しい雰囲気が神戸側、そして山健組を覆っていた4月28日、ヤクザ業界を驚愕させる知らせが突如として駆け巡った。それは、「神戸市中央区花隈町にある山健組本部から、織田元若頭代行の一派が姿を消した」との内容だった。井上組長と織田元若頭代行との微妙な関係を予てから知る関係者にしても、それは信じ難い事態だったようだ。「今流行の“フェイクニュース”かと思った。ところが、次第に色んな方面から『織田元若頭代行の配下の人間らが、荷物を纏めて花隈(※山健組本部)から出て行った』等の具体的な話が聞こえてきたんで、心配になった。それで、慌てて知り合いの山健組組員に確認すると、織田元若頭代行らが出て行ったのを認めたんで驚いたよ」(元山健組組員)。その事態を受けてかどうかは不明だが、翌29日に神戸側の緊急幹部会が山健組本部で開かれることになったという。織田元若頭代行一派の不可解な動きを警察やマスコミも察知しており、「若しかしたら、織田元若頭代行が神戸側から離脱したかもしれない」との情報が瞬く間に拡散。地元捜査員らの厳しい監視の目が光る中、数多くの全国紙や週刊誌の記者らが本部周辺に駆け付けた。テレビ局のカメラマンらも、本部建物に出入りする神戸側の親分衆にレンズを向けていた。

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「緊急招集という性質上、出席できない事情もあるだろうが、前日に有力幹部の織田元若頭代行が所屬組織を離れたかもしれないとなれば話は別だ。織田元若頭代行は花隈に現れなかったから、若し出席しなければ『彼と一緒にいる』と見做されても不思議じゃない。最近は暫く会合に出ていなかった入江副組長さえも出席していたほどで、幹部らは這ってでも顔を出して身の潔白を証明せねばならない状況だった。しかし、それでも欠席者は相当数いた」(捜査関係者)。この会合には織田元若頭代行の他、池田孝志舎弟頭(『池田組』組長)・藤原健治舍弟頭補佐(『3代目熊本組』組長)・太田守正舍弟頭補佐(『太田興業組長)・池田元若頭補佐・伊藤寿邦舍弟(『健心連合会』会長)・古川恵一(『2代目古川組』組長)、そして若中の山本彰彦(『2代目木村會』會長)らも姿を見せなかったと言われている。一時は「彼ら全てが織田元若頭代行と行動を共にしている」との噂も流れ、周囲を慌てさせた。一方、欠席者に対して全く違う見方もあった。関西で活動する他組織関係者は、次のように証言する。「実は、29日に神戸側は会合なんか開いていなかった。前の日に『織田元若頭代行に関する異変が山健組で起きたらしい』とマスコミが嗅ぎ付けて、『今日も何かあるんじゃないか?』と山健組に続々と集まってきたようだ。その騒ぎを知った直系組長らが心配して駆け付けたところを、マスコミらは『緊急幹部会が開かれた』と報道したのが真相だよ。だから、足を運んでいない幹部が多いのも当たり前だ。何も心配することはない」。

分裂か、思い過ごしか――。両極端の情報の裏を取る為、業界・警察・マスコミの関係者らは競い合うように各方面へ問い合わせた。そこへ、「明日30日に離脱したメンバーが会合を開き、終了後に会見を開く」との一報が齎されたのだ。混乱の極みの中、迎えた翌30日、マスコミ各社は会合場所の捜索を早朝から続けていた。午後になって漸く、尼崎にある古川組の本部で開かれることが判明し、兵庫県警の捜査員や報道陣が同組本部前に集合した。15時過ぎ、古川組本部から出てきた組員らが、誰かを出迎える態勢を整え始めた。警察とマスコミの間で緊張が高まったところへ、高級車が到着。渦中の織田元若頭代行が降り立ち、騒動発生後としては初めてカメラの前へ現れたのだ。カメラマンや記者らが一気に駆け寄り、質間を浴びせたが、ガードの組員らが周囲をがっちりと阻止。織田元若頭代行は険しい表情のまま、言葉を発することなく本部内に消えた。池田元若頭補佐や伊藤舍弟、そして山健組の元直参らも次々に本部に入り、直ぐに会合は開催された。「何度も確認しましたが、神戸側直参は織田元若頭代行・池田元若頭補佐・伊藤舎弟の3人だけでした。『もっと参加があるのでは?』との憶測もありましたが、直前で取り止めたのかもしれません」(写真誌カメラマン)。16時過ぎに織田元若頭代行が本部から現れ、見送りの組員らに挨拶をして本部を後にした。その後、17時近くになって組員らからマスコミに対して会見の用意があることが伝えられ、条件をクリアした記者だけが本部へと通された。本部内に入った新聞記者から聞いた入室条件について、テレビ局の社会部記者はこう説明してくれた。「新聞と雑誌の記者だけが入室を許可されましたが、テレビ局関係者は一切ダメでした。どうやら、動画が出回ったり、編集されるのを嫌がったようです。各記者とも名刺の提出を求められ、携帯電話の番号をチェックされました。記者が会見中に聞き逃した内容があれば、後日、組織側の担当者が問い合わせに応じるとのことでした。若し、会見に出席していない人間が、何らかの方法で担当者の電話番号を入手し、連絡したとしても出てくれないと思われます。また、『会見で話した以外の質問には答えない』とクギを刺されたそうです。対応は親切ですが、『かなりナーバスになっている』と感じました」。本部内に入ることが許可された17人の記者とカメラマンは、本部の3階にある誰もいない大広間へ通された。床の間の前には長テーブルが置かれており、記者らは床の間を正面にして腰を下ろした。すると間もなく、池川元若頭補佐・伊藤舎弟ら6人の幹部らが入ってきて、床の間を背にして座ったという。

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「本日はお忙しいところ、ありがとうございます」。集まった記者らを前に口を開いたのは、任侠側で本部長を務める池田元若頭補佐。一緒に会見に出席したのは、相談役に就任した伊藤舎弟。それから、相談役の土倉太郎(元4代目山健組系組織幹部)、本部長補佐の山崎博司(元2代目古川組若頭)、本部長補佐の久保真一(元4代目山健組幹部)、直参の金澤成樹(元4代目山健組若頭補佐)の面々だった。そして、一昨年の分裂以降、神戸側に身を置くことによる苦境について、時に辛辣な言葉を用いながら、具体的に紹介したのである。「神戸側で覚えた不満については、大きく3つに分けて訴えていました。1つ目は会費等の金銭面、2つ目は山健組の贔屓、3つ目は井上組長が下からの進言を受け付けないことでした。金銭面の不満については、久保本部長補佐らが池田本部長に代わって発言。現在は会費の他に年8回の特別徴収が行われる等、6代目側時代より辛い状況だと告白しました。神戸側の結成翌日、100人ほどの山健組直参らを前にした井上組長が、『もう6代目側の時のような苦労はさせない』と熱く語り、更に『もう少しヤクザをやらせてほしい』と頭を下げて涙を流したエピソードまで披露して、井上組長の言行不一致を嘆いていたそうです」(会場に入れた新聞記者から会見内容を聞いた同僚記者)。また、今年1月に自決した山健組の藤森吉晴若頭補佐の実名を出し、彼を自決へと追い込んだ山健組最高幹部らの生々しい発言も交えながら、神戸側の金銭事情を説明したそうだ。続いて、神戸側において如何に山健組が贔屓されていたかを、山崎本部長補佐らが批判。昨年3月に山健組系組員と古川組系組員がトラブルとなって、古川組系組員が重傷を負った事件について語った。

こうしたケースの場合、本来なら加害者は絶縁される筈だが、破門で済まされた上に、被害者側に断りもなく復帰させていたという。「6代目側と違って公平な扱いを期待していたのに、何故このような偏った裁定が下されたのか?」と疑問を呈していた。井上組長が下の者からの進言・諫言に耳を貸さないことについては、再び池田本部長から説明があった。「分裂から1年後、神戸側の最高幹部が『現状のままでは若い者たちに申し訳ない』と、井上組長に改革案を提言したらしい。ところが、井上組長の対応は思わず耳を疑うもので、『そんなに色々言うなら組長を降りる』と開き直り、寺岡若頭に『組長を代わってくれ』と頼んだようだ。更に、最も恥ずかしい出来事として池田本部長が挙げていたのは、“サイン騒動”だったという」(マスコミ関係者から会見の内容を耳にした他組織幹部)。このサイン騒動とは、昨年9月5日、JR新神戸駅で新幹線から降りてきた司6代目に対し、ペンと色紙を持った山健組系組員十数名が「サイン下さーい!」と叫びながら詰め寄った事件を指す。凡そヤクザらしくない事件で、テレビのニュースでも取り上げられたので、覚えている一般人も多い筈だ。ヤクザ業界を筆頭に、各方面から一様に評判の悪い騒動だったが、神戸側内部でも落胆した者は多かったようである。「『この騒動は、井上組長が山健組の中田宏志若頭代行(『5代目健竜会』会長)に指示して行わせた』と池田本部長は証言し、また『“山口組を正す”という目標の為に頑張ってきた多くの者が絶望した瞬間だった』とも語っていたようだ。相当にショックだったんだろう」(同)。「今後も機会があれば、こうした場を設ける」との言葉が幹部から聞かれ、40分ほどで会見は幕を下ろした。会見で話された内容を聞き付けた業界関係者から、様々なコメントを聞くことができた。先ずは、神戸側の山健組以外の傘下組織幹部が語った。「織田代表には何度となく組長就任を依頼したものの、『従来通りの形ではなく、皆が平等で助け合える組織にしたい』として固辞し、歪ごともしなかったようだが、何故会見にも出席しなかったのか? 『真の山口組、真の任侠団体を作りたい』のなら、最初くらい自分の口で意思を語ることが必要だろう。それに、いくら大義を掲げようと、山健組と神戸側を出ていった理由が、どうしても中田若頭代行との山健組での跡目争いに負けた私怨からとしか思えない。神戸山口組の立ち上げ以来、先頭に立って6代目側と戦ってきた実績は、井上邦雄組長も含めて誰もが評価しているところだ。なのに、山健組の跡目から外されたことで、織田代表の心中にはハシゴを外されたような思いがあったことは間違いないだろう」。

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会見で“サイン騒動”の首謀者として批判された中田広志若頭代行は、同じく山健組の副組長だった織田絆誠代表との間で、次期山健組若頭、延いては将来の山健組組長の座を巡って熾烈な競争を展開していたのだ。次に、関西で活動する6代目側傘下組織組員にも感想を聞いた。「正直、“対岸の火事”といった印象が強い。マスコミや警察は無理矢理“三つ巴”の喧嘩をやらせたいらしいが、『分裂しようと統合しようと勝手にしてくれ』って感じだ。『この分裂劇には名古屋(※弘道会)が裏で関与している』との噂が流れているようだが、事実かどうかなんて、俺みたいな下っ端には知る由もない」。取り締まる立場の捜査関係者には、次のような意見もある。「分裂直後に『三つ巴の抗争に警戒を』と警察当局が発表しているが、現場の捜査員は『そんな展開は直ぐに起きない』と知っている。ただ、『井上組長と神戸側を守る為に分裂を偽装したのかもしれない』との疑いは消えていない。これからの任快側の出方には注意していく」。ところが、会見の翌日には「伊藤舎弟が早々と神戸側に復帰した」との情報が流れた。偽装の分裂だとすれば、伊藤舎弟の動きは説明不能であり、神戸側の切り崩しや、任侠側の混乱の結果と見るのが自然だろう。「どうやら、神戸側は分裂から10日間は猶予を与えていて、その間に考えを改めた者については処分対象にしない方針のようです。伊藤舎弟以外にも、任侠側から神戸側に戻った組員が数名いたと聞いています」(前出のフリーライター)。走り始めたばかりの任侠団体山口組。まだまだ流動的な部分も多いようだが、今後、業界でどのような足跡を記すのか? そして、抗争は起きるのか? 3つの山口組の動向に注目したい。


キャプチャ  2017年7月号掲載



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