【PKO法25年】(下) 先進国、派遣に消極的

20170622 01
「国連加盟国の支払い能力は、決して無限ではない。国連予算は効率的・効果的に使われなければならない。元々は加盟国の納税者が支出したものだからだ」――。先月11日、ニューヨークの国連本部で行われた国連総会第5委員会。主に開発途上国から、割り当てられた『国連平和維持活動(PKO)』負坦金の迅速な支払いを求める声が相次ぐ中、日本の国連代表部の今田克彦参事官はクギを刺した。政府が“血税”の重要性を強調するのは、PKOの肥大化とコスト増が目に余る為だ。国連が展開しているPKOは現在16件で、昨年度の予算総額は78億7400万ドル(約8740億円)。大規模ミッションの新規設立や要員増加等で、この15年で予算規模は3倍以上に膨れ上がった。負担率9.7%の日本は7億6200万ドル(約846億円)を拠出し、アメリカ(負担率28.6%)や中国(同10.3%)に次ぐ3番目の負担国だ。PKO予算の効率化の議論は、アメリカのドナルド・トランプ政権による国連予算の削減方針で加速しそうだ。同国のニッキー・へイリー国連大使は「アメリカの納税者に不公平だ」と疑問を投げかけ、「PKOの有効性を個別検証すべきだ」と主張。今年1月に就任したアントニオ・グテレス事務総長も、アメリカの主張に足並みを揃えるように、PKOの効率化を明言した。トランプ政権の予算削減方針が、国連に自己改革を迫った。PKOでは、財政負担より兵員派遣の規模が、各国の貢献の指標として評価される傾向が強い。財政面で多大な貢献をしている日本が長らく自衛隊派遣に拘ってきたのも、この為だ。

しかし、PKOは停戦監視を主要な任務とした過去からは変質し、近年は南スーダンのように治安維持が困難な地域での“文民保護”の比重が増している。PKO側が一定の武力行使を辞さない傾向を強めた結果、犠牲者が増え、日本を含む先進国は部隊派遣に消極的になっている。実際、現在のPKOは16件の内、9件が治安の不安定なアフリカに集中しており、防衛省幹部は「これらの地域で日本がPKO参加5原則を満たす任務を見い出すのは簡単ではない」と打ち明ける。政府は、治安が比較的安定しているキプロスやレバノンへの部隊派遣の可能性を探っているが、国連は両国への追加派遣は求めていないのが現状だ。一方、途上国にとってPKOの人件費は重要な外貨獲得手段だ。国連はPKOの人件費として、派遣兵員1人あたり1300~1400ドル程度を支給しているとされる。この為、途上国はリスク承知で多くの兵員を派遣している。PKO協力法が成立した1992年は、1位フランス、2位イギリスだったが、今年2月末時点では、8321人のエチオピアをトップに、インド、パキスタンと続く。日本は272人で54位だが、先月27日に南スーダンの部隊撤収を終えたことで、自衛隊の派遣は司令部要員4人だけとなった。近年、問題視されているのが、途上国の部隊の“質”だ。派遣先で犯罪等問題行動が多い他、専門教育を受けていない為、施設部隊の能力も先進国より劣っているとされる。先進国の中でも、陸自施設部隊は道路補修や用地造成等優れた能力を持っていると定評がある。陸自は、先月29日からケニアの首都・ナイロビで、タンザニア軍の施設要員に重機操作を教える訓練を始めた。同様の取り組みは、2015~2016年にもケニア軍等を対象に行われた。安倍首相が2014年9月の国連会合で、アフリカでのPKOの為に「重機等の装備品供写と各国要員への操作教育をパッケージで行っていく」と表明したことを実現したものだ。自衛隊の部隊派遣が途切れた今、“積極的平和主義”を掲げる安倍政権は、どのようにPKOに関わっていくのか。国連の別所浩郎大使は、こう語る。「新たな部隊派遣もあり得るが、PKOの質的向上を図ることでも日本は貢献できる」。

               ◇

政治部 石田浩之・岡部雄二郎/社会部 大野潤三/ニューヨーク支局 橋本潤也が担当しました。


⦿読売新聞 2017年6月19日付掲載⦿
スポンサーサイト

テーマ : 政治のニュース
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接
QR码
QR