米中つなぐ精鋭育成校、初の卒業生――米中欧のエリート集う、日本はかやの外

アメリカの投資会社『ブラックストーングループ』のスティーブン・シュワルツマンCEOが、私財を投じて中国の清華大学に設立した『シュワルツマン学院』。今年7月に初めての卒業生約110人を送り出す。どんな学校なのか訪ねてみた。 (中国総局 原田逸策)

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周囲を歩けば軽く1時間はかかる広大な清華キャンパス。中央やや北寄りにシュワルツマン学院があった。灰色の煉瓦造りの低層の建物は、緑に囲まれ、違和感無くキャンパスに溶け込んでいた。入り口付近の壁に“蘇世民書院”と書いてある。蘇世民は、シュワルツマン氏の中国語名だ。シュワルツマン氏が学院創設を公表したのは2013年。清華大学に1億ドル(※約110億円)を寄付して奨学金プログラムを作り、校舎も新設した。「中国で共に学び、中国を理解し、何かあれば電話1本で話ができる将来のリーダーを、50年間で1万人育てる」という構想だ。同氏が参考にしたのが、イギリスの大富豪で首相も務めたセシル・ローズによる『ローズ奨学金』。アメリカ等、世界の優秀な学生をオックスフォード大学で学ばせるもので、アメリカのビル・クリントン元大統領もその1人だ。米英間の深い絆は、アメリカの政官界にオックスフォード大学で学んだ人が少なくないことが関係する。ローズがアメリカを将来の大国とみたように、シュワルツマン氏は「中国が更に巨大化する」と睨み、中国とアメリカのパイプ作りを進める。学生は、45%がアメリカ、20%が中国、残りがヨーロッパ等その他の国々。応募できるのは、30歳以下で学士以上の学歴を持つ人。初年度の学生は約110人だが、今後は200人まで増やす。

興味深いのは、陸軍等アメリカの若い軍人も数人が学んでいること。単なる奨学金プログラムではなく、アメリカの安全保障分野でも“知中派”を育てる狙いが浮かぶ。校舎に入ると先ず、ロビーに並んだ国旗が目に飛び込む。真ん中に米中の国旗があり、全部で30ヵ国以上の国旗が飾られる。生徒の出身国という。国旗の脇にはシュワルツマン氏の肖像画もあった。絨毯が敷かれ、高級ホテルのような雰囲気だ。豪華ではないが落ち着いている。家具や調度品も、品の良いものが置かれる。全て、シュワルツマン氏の夫人が選んだという。地下1階に下りると中庭があり、生徒が運動していた。地面を掘り下げていて、授業を受ける教室が並んでいる。先生が真ん中に立って講義し、両側から挟み込むように階段状に生徒の机が並ぶ。黒板を背に授業をする中国や日本の大学とはだいぶ異なる。『ハーバードビジネススクール』を参考にしたという。授業は全て英語で行われる。4学期制で忙しい時には、朝9時から17時までずっと授業があるという。卒業論文があり、1年で学位を取得できる。国際経済・国際関係・公共政策の3つのコースから選ぶ。アメリカの金融機関やコンサルティング会社から既に内定を得ている学生も多く、国際経済の人気が高いという。中国語の授業もある。清華大学やエール大学の教授が教えることが多いが、アメリカのローレンス・サマーズ元財務長官、ジェイコブ・ルー元財務長官ら大物ゲストの講義も頻繁にあるという。ダリオ講堂という部屋があった。世界最大のヘッジファンド『ブリッジウォーターアソシエーツ』の創業者であるレイ・ダリオ氏が寄付したという。ブリッジウォーターは、同学院で採用イベントも開いたという。外にも、半導体の『紫光集団』、不動産の『華夏幸福基業』等が寄付した教室もあった。米中企業が優秀な人材を取り合う構図が浮かぶ。シュワルツマン学院の特徴の1つは、全寮制であること。生徒は全員が校舎内に住み、1年間寝食を共にする。2階から5階は全て寄宿舎で、ホテルの大きめのシングルルームほどの部屋が並ぶ。生徒らは、寄宿舎内のリビングに夜遅くまで集まって語り合う。

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校舎内だけで生活できるように、食堂やジムも完備しており、地下2階にはバーまである。北京の大気汚染対策として、校舎内全体を清浄にする空調を導入している。昨年12月には空調が故障し、一部の学生がパニックに陥った。すると、学院から空気清浄機が全員に配られた。あまりの待遇の良さに、中国メディアに批判的な記事が載ったこともある。気になる学費は無料だ。食事も1日3食まではタダ。自宅から北京までの往復航空券も支給される。同学院への入学を希望する中国人は極めて多く、学校開放日には1日6000人が訪れた。中国人の生徒には中国共産党のエリートもおり、卒業後にある省の副省長に就くと噂される人もいる。これだけ魅力的な学校だが、日本人の生徒は僅か2人。その内の1人である三田久美子さん(24)は、「朝から晩まで110人の学生が一緒にいる。こんなに濃厚に他人と付き合ったことがないので、新鮮だった。各国に友だちができたのは大きな財産になる」と話す。2人とも、『ソフトバンクグループ』の孫正義社長が同学院に寄付したプログラムを使って入学した。各国企業が国籍等の条件を設けて学生を募集している。気になる話を聞いた。2期目の“孫プログラム”に応募した日本人がいなかったというのだ。シュワルツマン学院の2期生には、日本人がいない恐れすらある。中国からアメリカに留学する人は2015年度に約33万人と、アメリカへの留学生では7年連続で国別トップ。中国に留学するアメリカ人は約2万4000人と、日本に留学するアメリカ人の9倍いる。シュワルツマン学院の取り組みは、その質を引き上げる。米中は、表向きは摩擦を抱えながらも、水面下での絆を深めている。内向きな日本は置き去りにされつつある。


⦿日本経済新聞電子版 2017年6月16日付掲載⦿
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