【霞が関2017夏】(04) 財務省、“ホテル大蔵”の廃業はいつか

1943年に完成、今は耐震工事が進む財務省の本庁舎。歴史ある建物の入り口階段の裏、薄暗い通路の先に仮眠室がある。中を開けると、仕切りで区切られ、ベッドが8台並ぶ。1人あたりのスペースは2畳ほどだ。決して快適とは言えないが、予算編成の時期になると予約で満床になることもある。大蔵省を有名ホテルにかけて付いた俗称が“ホテル大蔵”だ。深夜に及ぶ超過勤務で、不夜城と呼ばれる霞が関。その中でも残業時間が長いと言われる財務省が、働き方改革に取り組み始めた。残業を抑制して定時退庁を推進する為、超過勤務の改善策を今月5日から試行。19時までの退庁を促している。「今までは残業時間を減らすことに取り組んでいた。これからは発想を転換して、定時退庁を前提にする」。働き方改革を担当する秘書課の職員は、こう訴える。先ず取り組むのが、時間管理のルール作りだ。財務省の職員の勤務時間は、殆どが9時30分~18時15分だ。19時までに退庁できない場合には、残業の必要性や見込み時間を上司に報告するようにした。仕事の効率性を高めて、だらだらと残業する残業ありきの雰囲気からの脱却を目指す。管理職にも意識変革を促す。終業時間のベルが鳴る18時15分。ある総務課長は、担当する部局の執務室を回って「皆、早く帰れ早く帰れ」と声をかけた。働き方改革は、管理職にとっても評価の基準になる。人事評価に定時退庁の状況を盛り込むよう義務付けた。

更に、各局の働き方改革の取り組みを募り、職員向けのニュースレターや働き方のセミナーを開いて、優良事例も共有する。人事院によると、各省庁の超過勤務は、2015年で1人あたり年363時間。個別の省庁の残業時間は明らかにしていないが、担当者は「財務省の超過勤務は霞が関でも上位」と明かす。徐々に変わろうとしている財務省だが、働き方改革に冷めた見方の職員も多い。ある幹部は、「働き方改革なんて無理。そんなに簡単にできる訳がない」と冷ややかだ。ネックになるのが、国会答弁の作成だ。答弁書の作成には6~8時間かかるといい、「もっと早く国会議員が質問を事前通告してほしい」という声も上がる。その他にも、国際局等海外と時差がある部局は、どうしても深夜に労働する場面が多くなる。超過勤務を減らすには、国全体での取り組みも必要だ。民間企業では働き方改革が進み、学生の間では残業時間の多い“ブラック企業”が忌避される傾向が強まる。人事院の国家公務員の新人を対象にしたアンケート調査では、人材確保に繋がる施策を聞いたところ、“超過勤務や深夜勤務の縮減”が58%と最多だった。民間が労働環境の改善へ取り組みを先に進める中、相対的に公務員の魅力も薄れつつある。今年度の国家公務員総合職の採用試験は、申込者が2万591人と前年度比6%も減った。霞が関でも、財務省の働き方改革への関心度は高い。その行方は、優秀な人材の確保にも直結する。“ホテル大蔵”が廃業する日は来るのだろうか――。 (逸見純也)


⦿日本経済新聞電子版 2017年6月27日付掲載⦿
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