【徹底解剖!東京都庁】(06) 都庁採用試験を突破するパワーエリートたちの肖像と“入庁時成績”に纏わる謎

今や大学生の間で、国家公務員(一般職)を遥かに凌ぐ就職人気を集める“都庁職員”。彼らを待ち受ける難関試験の内容と、求められる“人物像”とは如何なるものか? (取材・文/本誌編集部)

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東京都では現在、約16万7000人の職員が働いている。ここには警視庁(※約4万6400人)・学校教員(※約6万3900人)・消防庁(※約1万8300人)・地方公営企業(※下水道局・水道局・交通局合わせ約1万2900人)も含まれるが、このスケールは2位の大阪府の職員数(※約8万2900人)と比べても2倍以上の数字で、都庁を1つの企業と見た場合、『富士通』(※約15万6000人)・『日産自動車』(※15万2000人)以上のマンモス企業に匹敵する。東京都のGDPは、2014年のデータで約8920億ドル。これは、ニューヨーク(※2位)やロサンゼルス(※3位)を上回る世界1位の数字であり、国別のGDPと比較した場合でも、東京単独で16位の数字だ。東京都の予算は、2016年度で日本政府予算の14%に匹敵する13兆6560億円。東京は、数字の上でも世界の主要国全体の経済規模に匹敵する巨大都市なのである。そんな東京で働く職員たちは、どのように採用され、どのように出世していくのか? 先ず、“入り口”である採用試験から見ていくことにしよう。前述したように、東京都の職員には教員・警視庁の警察官・消防庁職員等が含まれており、其々別の採用試験がある他、下水道局・水道局・交通局(※地下鉄や都電等)等の現業部門でも局毎の採用がなされている。知事部局(※約2万5100人)においても社会人採用・キャリア採用・任期付き採用等、多様な職員採用がなされているが、ここでは最も採用枠の大きい一般行政職――試験区分で言う“Ⅰ類B・行政”(※主に大卒者が受ける採用試験)について説明していくことにする。なお、“Ⅰ類A”は大学院卒者・社会人向けの試験である。

採用試験は例年6~7月に行われ、1次試験合格者は2次試験(面接)に進み、8月に最終合格者が確定する。1次試験では、教養試験(※40題・2時間10分)・論文(※1000~1500字・1時間30分)・専門試験(※10題中3題選択・2時間)がある。この時、教養試験で一定の点数を取らないと、論文や専門試験の採点をしてもらえない(=不合格)という決まりになっている。そして1次試験を突破すると、2次試験の面接に進む。課長クラスの現役職員による面接だが、この評価と1次試験の評価を合わせた点数で最終的な合否が決められる。また2次試験においても、面接の評価があまりに酷く、一定の点数に達しなかった場合には、どんなに1次試験の点数が良かったとしても不合格になる。つまり、一般教養の点があまりに悪ければ、いくら論文や面接が良くてもダメ、逆にペーパーテストが最高でも、面接が全然ダメという場合は採用されない。面接と筆記試験の比重は半々とも言われており、偏りの少なさ、バランスの良いゼネラリストが求められていることは間違いない。また、多様な人材を採用する目的から、2013年より“Ⅰ類B・行政”試験に新方式の採用枠が誕生した。これは、従来式の1次試験“教養”・“論文”・“専門試験”の内、“論文”・“専門試験”が無い代わりに、“都政課題に関するプレゼンテーションシート作成”という科目が設けられている。これは都政の課題を見つけ、解決策を考えるという発想力を問う試験で、この1次試験に合格すると2次試験で“面接+プレゼンテーション”、更に3次面接で“グループワーク+面接”というプロセスを経て、1次~3次の合計点で合否が判定される。“Ⅰ類B・行政”受験希望者は、一般方式と新方式のどちらかを選択しなければならないが、2016年の場合では一般方式で550人が採用(※倍率4.9倍)され、新方式では137人(※倍率6.7倍)と、新方式のほうがやや難関になっている。双方に共通する“教養試験”は、選択式の問題とはいえ、文章理解・英文理解・数的処理・判断推理・資料解釈・空間概念と多岐に亘り、英語・数学・化学といった理系の問題も出る。「配点について公表はされていませんが、『筆記試験で7割以上は得点しないと、面接でリカバリーしての合格は難しい』と言われています。筆記については国家公務員試験総合職(キャリア)の併願者も多い為、難易度としてはかなりのものです」(都政担当記者)。都庁希望者は、少なくとも公表されている過去問のトレーニングに励み、自分の弱い分野については所謂公務員試験対策の予備校に通う等して、論文や面接対策を含めた準備をする。兎に角、筆記試験をパスしなければ面接にも進めないということで、ここでは大学受験と同じような努力が必要とされる訳である。

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“Ⅰ類B・行政”の一般方式試験では、1次試験で先ず、採用予定数の2倍程度まで絞り込まれ、合格者は2次試験の面接に進む。面接時間は約30分ほどで、特に変わった方式ではなく、志望動機や学生時代に打ち込んできたこと、或いは過去に直面した課題に対しどういった考えで対処に当たったのかを聞かれる。「ここで通り一遍の覚えたような話ではなく、自分の言葉で中身のある話ができるかどうかが問われます。面接官のレベルからすれば、都庁の仕事について理解している学生は皆無ですし、公務員は民間企業ではないので、基本的なコミュニケーション能力に加え、協調性や忍耐力はやはり重視される。学歴や1次試験の点数は一切、面接評価に考慮されることはありません」(同)。やはり、全方位にバランスの取れた人材が有利ということになる。ここで気になるのは、「都庁という職場が、就職する側にどれだけの魅力を以て受け止められているか?」という点だ。受験者の多くは他の公務員試験や民間企業を併願しており、優秀な人材ほど、多くの内定を得た時、優先順位の高い就職先を選択する。確実に言えることは、国家公務員試験の総合職試験に合格し、中央省庁のキャリア官僚に内定した学生が、敢えて“地方公務員”という選択肢を選ぶというケースは殆ど無いということだ。やはり公務員試験の最難関、そのステータスは別格なのである。しかし、国家公務員一般職と都庁ではどうか? 或いは特別区(東京23区)職員と都庁では、どちらが人気なのか? 何れも、「出世が程々なら生涯賃金もそう変わらない」と言われている。

ここで、1つのデータがある。早稲田大学が公表している年度別卒業生の進路(※左下画像)なのだが、これを見ると、近年、早稲田の学生にとって都庁は民間の最人気大手金融機関と肩を並べる“超人気就職先”であることがわかる。国家公務員一般職、或いは23区職員より明らかに人気は高く(※国家公務員総合職は東京大学の牙城で難易度が高い為、合格者が少ない)、「国家公務員で一般職なら、実力次第で出世も可能、東京で働ける都庁のほうがいい」と考える学生が非常に多いことを示唆している。国家公務員はスケールの大きい仕事ができ、省庁によっては国際的な仕事もある。そうした魅力はあるものの、やはり「国家公務員ならキャリア組で」というタイプが多いのは事実だ。一般職で入省した場合、「『どんなに頑張っても同期のキャリアを追い抜いて出世することは先ず不可能である』という“リミッター”を装着されたまま働くのは嫌だ」というのは、ある意味、自然な考えかもしれない。「正確なデータはないものの、東大生の間でも近年、都庁は人気の就職先で、『不人気の中央省庁キャリアだったら、都庁で上まで出世を目指したほうがいい』という学生も増えている」(同)。時代によって公務員人気には波があるが、今の都庁は相当、魅力の高い職場なのかもしれない。国家公務員、特にキャリア組の場合には、「入省時の試験成績の順位(席次)が最初の配属に大きく影響する」と言われる。“霞が関の頂点”と言われる旧大蔵省(※現在の財務省)では概ね、「成績1位入省者が文書課、2位が官房秘書課、3位が主計局総務課といった“スタート時の序列”まで決まっていた」とされ、もうその時点で周囲からは“次官レース”の観点で観察されてしまうという、超エリートならではの世界がそこにはあった。では、都庁の場合はどうか? 結論を言えば、採用時の成績は一切配属と関係ないものの、その後暫くすると、“官房3局”と呼ばれる部署に集められる人材が後に出世するという傾向は、過去の実例が示しているところである。官房3局とは、政策企画局・総務局・財務局のこと。最初に配属されても大きな仕事はできないので、それほどの意味は無いが、主任試験を受けるころに配属されるとなると、「期待できる」との業績評価を既に得ている職員が多い為、それは“将来も有望”のランプが点灯していることになるのである。

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40代の現役課長が語る。「採用試験の成績とその後の出世の相関関係については、やはり気になる話題でもあるので、実在する局長や副知事クラスの人について具体的な話を聞いたことがあります。近年、退職し天下った副知事は、入庁時の成績はトップで、以降は管理職選考合格までずっと1桁の成績だったと聞きました。『試験結果と入ってからの出世は関係ない』と私も思いますが、やはり、同期何百人から1人選ばれる訳ですから、『試験の成績は間違いなく上位で、試験の成績が良い人は、概ね仕事もできる』という基本法則は厳然としてあります。自分が知る限り、採現時に順位が1桁級といった成績上位者が、下水道局・水道・交通局等の現業系に行くケースは殆ど見たことがない。やっぱり、成績優秀者が集まり易い部署とそうでない部署はあると思いますよ」。学歴不問の採用を宣言し、履歴書に大学名を書かせず人材採用を行った大企業が、採用後に蓋を空けてみたら東大生ばかりだったという実しやかな話もあるが、やはり“試験成績が良い”人材が“仕事でも力を発揮することが多い”のは真実なのだろう。2020年の東京オリンピック開催が決定し、都庁の就職人気は更に高まっている。「オリンピック・パラリンピック準備局への異動希望者は多いですが、かなりの難関で、仕事で使える高度な語学力を身に付けていたり、これまでの業績で大きなものを残した人でないと配属されない。オリンピックの為に語学ができる臨時のボランティアを募集するので、言葉ができることよりも、もっと大きな視点でこのプロジェクトを纏め上げることのできる力量が求められている」(前出の都政担当記者)。2017年の職員採用は都議選の最中に行われる。東京は最も暑い夏になりそうだ。


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