【有機EL&半導体バブル】(02) 基礎からわかる有機EL

20170703 17
①有機ELって何?
“Electro Luminescence”の略で、特定の有機物質に電気を流すと自ら発光する。有機物である蛍が光を放つのに似た現象である。海外ではOLED(オーレッド)と呼ばれる。有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode)の略だ。現在普及している液晶は、蛍光灯やLED等のバックライトで光る。これに対して有機ELディスプレイは、電子回路基板から電圧をかけると有機材料が自ら光るので、バックライトが不要で薄型化が可能だ。

②有機ELの長所と短所は?
液晶と違ってバックライトが不要なので、薄型化・軽量化が可能で、消費電力も少ない。また、有機材料が自然に近い光を出せるので高精細だ。一方で、黒を表現する際には有機材料が発光していない状態なので、漆黒の表現に長けている。構造は、発光する有機EL層をガラス基板で挟んだものだ。ガラス基板をフィルムに替えれば、紙のように丸めたり、折り曲げたりできる。但し、電子回路等各種材料が、基板同様に折り曲げても正常に動作するように工夫が必要だ。研究開発・試作レベルでは既に実現しているが、量産化には至っていない。欠点は、発光する有機材料の原価が高い上、量産が難しい為、高価格にならざるを得ないこと。嘗ては、有機EL層が空気中の水分や酸素を吸着すると劣化してしまう為、寿命が短いという欠点があった。現在は有機EL層をガードする技術が確立されており、寿命問題はほぼ解決した。

③有機ELには2種類あるの?
有機EL層は、真空蒸着という特殊な方法を使って形成する。真空装置内で固形の原料を加熱して蒸発させ、気化した原料を基板上に堆積させる。遮蔽マスク(※材料を塗布したい箇所だけに穴を開けた金属薄板)を当てて、μm単位で三原色の原料を塗布する。これが、『サムスンディスプレイ』がスマートフォン用の小型ディスプレイで使っている技術だ。所定の塗布場所にズレが無いようにするのは至難の業だ。また、遮蔽マスクは薄いので、自重で変形の恐れもある。パネルを大型化すればマスクも大型化が必要だ。しかし、マスクを大型化するほど変形リスクが伴い、完成したディスプレイの画像にも欠陥が生じる。3色の塗り分けでは大型化は困難だ。そこで『LGディスプレイ』は、白色有機EL層をベタ塗りで真空蒸着で形成して、白色有機材料が発する光をカラーフィルターを通して発色させる方式にした。蒸着の際に3色の位置合わせもマスクも必要なく、大型化が可能だ。但し、カラーフィルターを用いることで色域が限定され、三原色独立発光方式より自然の色からは遠ざかる。カラーフィルター層の分だけ厚くなるのも欠点だ。

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④次世代ディスプレイとは?
有機ELの次としては、マイクロLEDと量子ドットがある。照明器具等に使われる発光デバイス・LEDを超小型化して、画面表面に赤緑青の三原色の微細なLED素子を数μmピッチで高密度に敷き詰めるものだ。『ソニー』が開発している他、『Apple』も開発中と囁かれており、量産技術の開発が待たれる。長期を見据えた研究開発が進んでいるのが量子ドットだ。量子ドットとは、電圧をかけると光を発する直径数~数nmの微粒子(無機物)だ。自ら発光する点では有機ELと同じだが、より鮮やかな美しさが得られる。「三原色の有機EL層を量子ドット層に置き換えれば、究極のディスプレイが実現できる」と言われる。量子ドット現象は、カドミウム材ならば発光効率がいいが、環境への影響が懸念される。「他の材料では発光効率が悪い」という課題がある。

⑤有機ELはいつから使われたの?
1997年に、『パイオニア』が世界で初めて有機ELのカーオーディオ用ディスプレイを製品化した。これは緑色の単色だった。しかし、数年後にはカラー化も実現し、日本の殆どの電機メーカーが一斉に参入した。一部の携帯電話や『ウォークマン』等の表示に採用されたが、画面が小さい為、液晶に対する画質の高さがわからず、殆ど話題にならなかった。

⑥有機ELはこれからも進化するの?
蒸着方式だと、高価な有機材料が飛び散って無駄になってしまっており、有機ELのコスト高の要因となっている。この弱点を克服するべく、大気中で液体有機材料をプリントする印刷方式の研究が進んでいる。しかし、液体有機材料では品質や寿命に難点があり、蒸着と競えるまでに至らず、苦戦している。 (『服部コンサルティングインターナショナル』代表 服部毅)


キャプチャ  2017年6月13日号掲載
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