【Test drive impression】(27) 『ホンダ シビック ハッチバックプロトタイプ』――今夏、7年ぶりに国内復帰するシビックをサーキット試乗!

『シビック』は1972年に初代がデビューし、昨年2月末時点での世界累計販売数は2400万台を誇る! まさに『ホンダ』の代名詞的存在なのだが、2010年12月に国内の生産は終了(※先代9代目を2015年秋に『シビック タイプR』としてヨーロッパから限定輸入販売)。嘗ては国民的なクルマとして、『トヨタ自動車』の『カローラ』や『日産自動車』の『サニー』等と並ぶ人気カーだったが、2005年に発売された8代目シビックの国内販売が大不振。というのも、シビックは初代からコンパクトなハッチバックを中心に展開してきた。が、8代目は北米市場を強く意識して、3ナンバーに巨大化。更に、ハッチバック車を車種から消滅させ、4ドアセダンのみとしたのだ…。しかし、海外でのシビックの販売は頗る好調! 今夏、7年ぶりに国内へ投入される10代目シビックは、2015年から先行発売しているアメリカで年間36万7000台を販売する大ヒット車に成長したのだ。昨年1月には、1年間で最も優れたクルマに贈られる『北米カーオブザイヤー』にも選ばれている。実は先代までと違い、開発段階から『ホンダR&Dアメリカ』が主導し、現地に見合ったクルマに磨き上げたって部分もあるのだが。

そんな新型シビックのプロトタイプを、千葉県にある『袖ヶ浦フォレストレースウェイ』というショートサーキット場で走らせてみたのだが…。その前に、小沢は言いたいことがある。もう宣言しちゃいますが、この10代目シビック、残念ながら爆発的には売れません、間違いなく。無論、最初は月5000台とかディーラーの頑張りで売れるかもしれない。でも、俺の坊主頭をかけてもいいけど、来年の今頃には月1000~2000台を彷徨っているって! というのも、今の日本にこの手のフツーのハッチバックを受け入れる下地が無いんだよね。基本的に、ガソリン仕様のFFモデルは、昭和の4畳半フォークの如く日本じゃ終わっている。今の日本での売れ筋は、最大で大人8人が乗れるミニバンと、燃費が良いハイブリッドだ。新型シビックの走りの出来が良くても、ガソリン仕様のフツーのFFコンパクトハッチじゃ、正直、お客さんの選択肢には入らない時代だ。そこをホンダのエンジニアに直撃して、小沢はビックリした。抑々、「新型シビックが月に1万台売れるとは思っていない」というのだ。どういうことかというと、「『ホンダらしさが無くなった』とか『買うクルマが無い』と話すホンダのファンに向けて新型シビックは造られた」と。要するに、ビジネスベースじゃなくて心意気っていうか、ある種のファンモチベーション・社内求心力の為の1台っつう訳。

それと、日本導入を決めた背景には、新型シビックの出来が良いという面もある。『BMW』や『フォルクスワーゲン(VW)』に本気で迫るべく、ヨーロッパ基準でプラットフォームから仕立て直し、セダンやハッチバックに加え、320馬力の2リッターターボ搭載のタイプRまで同時開発! その結果、シャシー性能は抜群に上がり、タイプRはドイツの過酷サーキット『ニュルブルクリンク』で、VWの『ゴルフGTIクラブスポーツ』が持つ7分49秒21のFF最速タイムを破り、7分43秒台というタイムを叩き出した! このタイプRと同時にセダンやハッチも造ったから、半端ないキレ味を獲得しちゃっているっつう訳。実際、小沢も乗ってみたけど、FF5ドアハッチにビックリした。もう、ステアリングを切った途端に「嘘でしょ?」ってぐらいに曲がり、それでいて足は超しなやか! 更に、たった1.5リッターで182馬力も出すダウンサイジングターボが力強い。ギアボックスのCVTは発進こそダイレクト感が足りないが、それ以外はレスポンス上々! 因みに、ハッチバックは6MT車も選べる。そして重要なのがスタイル。今回から新世代のホンダデザインにチャレンジ! 好みは分かれるだろうが、その凸凹&マッチョなフェンダーや、エッジが効いたリアデザインは個性的。正直、「カッコいいか?」って疑問はあるけれども、目を惹くことだけは間違いないだろう。ただ、「このシビックは売れない」と小沢はもう一度断言する! 未だ正式な価格は発表されていないが、予想車両本体価格は200万円台後半から300万円前後の筈。そうなると、『プリウス』は勿論、デカくて実燃費15㎞台も達成しちゃうハイブリッドミニバンも買えちゃうのだ。“良い商品だから売れる”なんて完璧に幻想。日本市場は軽自動車とエコカーとミニバンが主流だ。“広さ”と“低燃費”の魔力を知ってしまった現在、“走りのFFコンパクト”が今の日本人に届くとは小沢には思えん。


小沢コージ(おざわ・こーじ) 自動車評論家・『日本カーオブザイヤー』選考委員。1966年、神奈川県生まれ。青山学院大学卒業後、『本田技研工業』に入社。1990年に『二玄社』に転職し、自動車雑誌『NAVI』の編集を担当。1993年からフリーに。『週刊自動車批評』(TBSラジオ)にレギュラー出演中。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)・『マクラーレンホンダが世界を制する!』(宝島社新書)等。


キャプチャ  2017年7月10日号掲載




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