“中吊りドロボー”週刊文春につける薬無し――スクープ欲しさの“ハイエナ根性”、墓場へ向かう雑誌ジャーナリズム

20170704 04
『週刊文春』が、ライバル誌『週刊新潮』の電車中吊り広告を事前に入手して、企画内容を盗み見ていたという度し難い不正を、新潮が2年半にも及ぶ丹念な取材で暴いた。スクープが掲載された週刊新潮発売日の5月18日午前、『文藝春秋』本館2階に構える週刊文春編集部に集まったスタッフを前にして、同誌の新谷学編集長はこう講釈した。「『不正・不法に情報を収集したことは無いし、記事を書き換えたり、盗用した事実は無い』というのが一応オフィシャルなコメント」。“一応オフィシャル”の一言に隠蔽が滲む。『文春オンライン』上に掲載された『“週刊文春”編集長から読者の皆様へ』という新谷氏の釈明文でも同じ説明に終始し、文藝春秋社は『新潮社』や他のメディアからの取材に紋切り型の対応を繰り返した。“ファクトの提示”を旨としてきた新谷体制。その陣地に敵の砲弾が撃ち込まれるや、“ファクト無視”を決め込む。こんな自家撞着を起こしていては、スクープを連発してきた“文春砲”の異名が空々しく響く。新谷氏は、公に事実関係を認めない理由について、「取次は“取引先”であると同時に、記者からみれば取材源。こちらから名前を出すことはしない」という主旨の説明をしたという。取次とは、新潮の中吊りを文春側に渡していた出版取次大手『トーハン』のことを指す。この説明が苦しいのは、中吊りの入手が取材活動の一環で行われたものではないからだ。毎週火曜日にトーハンに赴き、中吊りをコピーしていたのは編集部の記者ではなく、文藝春秋の営業部員だった。しかも、当のトーハンが不正行為を認めて、社内調査を始めている。“取材源の秘匿”は、如何にも盗人猛々しい屁理屈だ。

「『後ろめたいことをやった』と自覚しているから、文春は翌週号で反論も釈明も掲載しなかった」――。某週刊誌ベテラン記者は、こう冷ややかに語る。これまでの文春であれば、自身への批判は誌面を通じて堂々と反論をしていた筈。だが、今回は早々に「反論記事は作らないことが決定していた」(文春記者)。新谷氏は編集部員に対する説明の中で、「新潮と泥仕合はやらない。スクープで見返そう」と述べたが、事は自社と自身の“不正嫌疑”の問題であり、果たすべきは説明責任だ。“罪の自覚”は狼狽ぶりにも表れている。週刊新潮の告発号の締め切り日、同誌関係者のところには、記事の内容や扱いの大きさを問い合わせる外部からの電話が相次いだ。これは、「慌てた文藝春秋社側が探りを入れてきた」(新潮関係者)ものとみられている。今回の不正について、新潮の2号に跨る大特集でも明らかにされなかった謎が残されている。「このカンニング行為がいつから始まったのか?」という点だ。実は、ここに文春のアキレス腱がある。新谷氏は編集部員に対し、「10年以上前から始まっていた」と明かしたが、複数の文春関係者に取材したところによると、15年以上という証言もある。本来ならばトーハンと同様に社内調査を行い、過去からの事実関係を説明しなければならない。そして、必要ならば責任者の処分に踏み切るのが筋だ。しかし文藝春秋社には、社長の松井清人氏を筆頭に週刊文春の元編集長がごろごろいる。つまりは、経営幹部も新谷氏と同じ穴のムジナ。中吊り入手による不正競争は、文藝春秋社の体質そのものな訳で、真面な社内調査や真摯な再発防止策など望むべくもない。文春関係者によると、「新潮の記者は、松井社長や木俣正剛氏(現常務取締役)等、何人かの元文春編集長に直撃取材を行った」という。しかし、「ノーコメントで逃げた」(前出の文春関係者)とみられ、新潮誌面には登場していない。新谷氏は、中吊り入手について「インテリジェンス活動」「情報戦」と居直る。まるで殺人犯が「あれは戦争だった」と抗弁するようなもの。本当にこれが正しい行いならば、経緯の詳細を外部に公表すればいい。それができないのは、この問題の根が深いからだ。トーハン社内では目下、中吊り流出問題について調査が行われているが、いつから始まったのかという点については「曖昧にするとみられている」(出版業界関係者)。同社の主要株主でもある文藝春秋社への配慮からだ。文春はこれまで、他者の不正を厳しく糾してきた。2013年10月、発売前の週刊文春の記事を撮影し、インターネット上にアップロードした雑誌配送業者のアルバイト従業員が、著作権法違反容疑で警視庁に逮捕された。同法は、権利者による申し立てがなければ刑事事件になることはない。文藝春秋が社として刑事告発をしたのだ。

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また、2014年9月に文春は、『朝日新聞出版』の不正競争防止法違反疑惑をスクープしている。朝日新聞出版が販売していた分冊百科の担当者が、ライバル社の『デアゴスティーニジャパン』から極秘マーケティング資料を持ち出し、販売戦略の作成に流用していた事件だ。週刊誌の報道内容を業務上、知る立場にある人間が、それを発売前に漏らせば罰を受ける。今回はトーハンがその禁を犯し、それを求めたのは文春だ。ライバル社の情報を不正に入手して儲けようとした朝日新聞出版と文春に、どれほどの違いがあるのか? “文春砲”と呼ばれるスクープを量産してきた同誌は近年、自身の報道の価値を守ることに尽力してきた。昨年から、テレビ局が文春誌面を放送で使う場合に使用料を徴収するようになった。また、『ヤフージャパン』に対して文春の記事の利用料を値上げするように要求し、「現在は全媒体の中でもトップクラスの料金が支払われるようになった」(経済誌記者)。スクープ記事をものにする苦労を考えれば、どれも正当な要求だ。その文春が、週刊新潮編集部の血の滲むような取材努力を無にする行為に手を染めていた訳で、業界内外の失望は計り知れない。文藝春秋では、毎年7月が人事異動の時期。2012年に編集長に就任した新谷氏は、「通常4年」(前出の文春関係者)と言われる在任期間を既にオーバーしている。「今年の人事で交代する」という観測もあったが、今回の問題発覚を受けて、社内では「(これで交代すれば)引責辞任のようにみえるから続投させる」(同)という見方が広がっている。現在、その新谷氏が編集部にハッパをかけ、疑惑を吹き飛ばすようなスクープ探しが行われている。手負いの文春が何を出してくるのか、出版業界で注目されているが、それがカンニング問題を覆い隠す狙いだとすれば、内政で行き詰まったアメリカのドナルド・トランプ大統領のシリア攻撃の如しではないか。嘗て、三浦和義氏の“疑惑の銃弾”を世に問うた週刊文春。先ず以て、“疑惑の中吊り”に説明責任を果たさなければならない。


キャプチャ  2017年6月号掲載
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