【男たちの貧困】(06) GPSの移動軌跡で信長の顔を描く…自転車で全国放浪する芸術家の危険過ぎる無一文生活

20170704 10
故郷の北海道で大学を卒業してから、住所と住居を持たない生活を選んだ天歌布武信長さん(30)。23歳の時、黄色い車『未来へ号』で車上生活をしながら全国を回る芸術家の遠藤一郎さんに刺激を受けて、同じ生き方を選んだ。その遠藤さんから「お前、織田信長に顔そっくりだな」と言われたことで、信長を名乗った。『天下統一プロジェクト』を掲げ、ギターを背負って日本全国を自転車で回る。「各都道府県のテーマソングを作ると同時に、自転車に付けたGPS機能で走行した軌跡を信長の顔になるように残す」というのが旅のコンセプトだ。では、生活費はどう捻出しているのか? 「その土地で長く滞在している時は、アルバイトをします。引越し・イベント会場の設営・ポスティング・野菜の配送・ギャラリーの受け付け等、何でもやります。あとは路上ライブ。街のテーマソングも映像も手掛けます。5分で似顔絵を描いたり、最近は姓名判断も。全部独学です」。東京滞在期は、某専門学校の屋上で空きになっているプレハブに住まわせてもらっている。遠藤さんの縁で紹介されたその場所は、使用料無料。その代わり、“管理人”としてその場所の管理は勿論、掃除もする。「千葉県柏市にあるギャラリーにも、管理人として住まわせてもらいました。そこにはキッチンがあったのでラッキーでしたが、お金が無い。小麦粉を水で溶いてお好み焼き風にして、2週間食べ続けました。でも、段々元気が無くなってきて(笑)、最後は下痢になりました。普段は調理道具が無いので、食パンに半額になったお総菜等を挟んで食べます」。

怖いのは天災と人災。埼玉県内の公園でテントを張っていた時は、男性ならではの特殊な体験をした。「テントの前で自転車が止まる音がして、『こんばんは~』って痩せ細った40歳ぐらいのおじさんが声をかけてきたんです。最初は世間話をしていたんですが、『旅の疲れがあるでしょうから、マッサージをしましょう』と体を触ってきて。僕はその時、ニッカボッカを穿いていたんですが、『いいのを穿いていますね』って段々手が股間のほうに…。驚いてその手を振り解くと、男性は帰っていきました。後で調べると、そこはゲイのハッテン場だった。吹雪の日にはテントに雪が入ってきて、寝袋の上に積もりました。『若しも熟睡していたら…』と思うと、背筋が凍った。“熊出没注意”の看板が多く掲げられた森では、野生の獣臭が漂う中、熊が引っかいたであろう巨大な爪痕を幾つも発見しました。即退散しましたが、生きた心地がしなかったです」。お金の稼ぎ方を学び、「人と触れ合えることが宝」と言う信長さん。「けど、こういう生活は40歳までと決めています。47都道府県を回り終えたらプロジェクトは終了なんですが、今は未だ8県しか行けていない(笑)。その後ですか? 普通に結婚して、音楽や芸術を教えていきたいですね」。安定とは真逆のライフスタイルに、共感する人は多いという。引きこもりだった小学6年生のシンペイ君は、信長さんと出会った後、父と自転車の旅に出た。根暗なOLのサラちゃんは、沖縄に移り住んで歌で生計を立てている。『よしもとクリエイティブエージェンシー』所属のピン芸人で、山梨大使を務めているぴっかり高木とは、ライブをするまでの仲になった。山梨県のローカルテレビにも出演した。2016年11月中旬には、香川県綾歌郡で『天歌布武信長のギター教室』(仮)を開校予定だという。「夏は、薬局でハッカ湯を買ってきて水で薄めて全身にかける。ヒンヤリするし、害虫予防もできるんです。冬は、持参していたコンロで拾った石を温めて、それを抱いて寝る。湯たんぽ代わりになるんです。暑さ・寒さの凌ぎ方は覚えましたね」。住所不定の生活には、生きる知恵が宿っている。 (取材・文/フリーライター 伊藤雅奈子)


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