【金塊暗流】(上) 密輸「おいしい商売」

密輸や窃盗、そして購入資金の強奪――。金塊を巡る事件が多発している。背景には、密輸した金を国内で売却した際に生まれる“利鞘”の存在がある。何故、日本が狙われ、福岡とその周辺で事件が相次ぐのか? 実態を探った。

20170705 04
今月上旬、香港随一の商業地区“尖沙咀”。金の売買が活発な街には、貴金属店や宝飾店が犇き、多くの観光客の姿があった。「香港の金は良質。税金もかからないし、持ち出しに申告も必要ない」。店員たちが売り込みをかけてくる。現金払いなら身分証も不要という。「日本人も最近多い。4㎏の金塊を買った人もいた」。相次ぐ日本への金塊密輸。捜査当局は、密輸グループが香港で金塊を買い付け、韓国を経由して持ち込む“トライアングル”が主要ルートの1つとみている。本紙記者は、銀行で37.5gの金塊2つを計約36万円で購入し、香港国際空港に向かった。金塊を入れた鞄は保安検査場でX線検査を受けたが、開いて調べられることはなかった。経由地の仁川国際空港(韓国)ではトランジット(乗り継ぎ)通路へ。韓国への密輸が発覚すれば、関税法で5年以下の懲役や高額の罰金が科され、金塊も没収されるが、トランジットでの空港滞在時は適用外。ここでも検査はあったが、不審がられることもなく、免税店や搭乗口が並ぶ出発ロビーに出た。このルートを使う密輸グループでは、役割が分担されている。韓国の警察関係者によると、香港から金塊を持ち込む買い付け役は、トランジットで出発ロビーに入り、運搬役に引き渡す。「韓国人は日本入国時にビザが必要なく、日本側の検査をすり抜け易い」との見立てもある。韓国メディアの報道では、引き渡しの場所は宗教設備の祈祷室やトイレ等。この関係者は、「金塊が韓国内に入らないと手を出せない」と明かす。記者は福岡空港で「免税範囲(※海外市価で20万円)を超える品物を持っている」と申告し、税関職員に香港で買った金塊を見せた。8%の消費税を納め、証明書を受け取った。

20170705 05
検査場を見渡すと、他に納税手続きをする人は見当たらない。「申告しなかったら、そのまま持ち込めるのでは?」。そんな疑問を職員にぶつけると、「申告があったものを調べるのが基本」との答えだった。金塊を福岡市内の複数の業者に持ち込んでみた。買い取り価格に差はあったが、何れも「現金で買う」と金額を示した。価格には消費税が上乗せされているが、密輸した金塊は消費税を納めていない為、その差額が利益となる。1億円分なら800万円の計算だ。どの業者でも、納税証明の提示は求められなかった。財務省関税局によると、金塊の密輸は、利鞘の元になる消費税が8%に引き上げられた2014年以降、急増している。同年7月から1年間に全国の税関が摘発した件数は177件で、前年同期比22倍。2015年7月からの1年間は294件と更に増え、脱税額は約6億1000万円となり、摘発件数と共に過去最高となった。最近は犯罪グループだけでなく、一般の市民が“軽い気持ち”で密輸に関わるケースが目立つ。愛知県警が今月、金塊計30㎏を韓国から中部国際空港に密輸したとして逮捕した主婦5人は、「小遣いが貰え、アルバイト感覚だった」と供述。福岡空港では3月、大阪市職員ら2人が、板状の金塊計6㎏を両足裏に貼り付ける等して韓国から密輸しようとしたとして、福岡県警に逮捕された。県警捜査員は、「韓国の密輸グループは、インターネット上の掲示板等で運搬役を集めている。報酬は5万円前後が相場。覚醒剤等と違い、違法との認識が薄いのだろう」と指摘する。「めったにばれず、見つかっても処罰は軽い。ローリスク&ハイリターンのおいしい商売だ」。金塊を密輸しようとして逮捕されたことのある関西地方の男性は、取材にこう話した。知人の紹介で運搬役となり、1回の報酬は数万円。逮捕されるまでにも数回、金塊を密輸したという。「最初は緊張したが、あまりにもあっさりと税関を通過できたので拍子抜けした。楽に稼げる仕事だった」。男性は執行猶予付きの有罪判決を受けた。「捕まったのは偶々だったと思う。お金に困れば、また手を出すかもしれない」。悪びれることなく、そう言った。


※本文由李的博多居民提供。谢谢。
⦿読売新聞西部本社版 2017年6月14日付掲載⦿
スポンサーサイト

テーマ : 社会ニュース
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接
QR码
QR