【南鳥島に注目せよ!】(14) 経済性の向上が待たれるレアアース泥

20170705 10
繰り返し検討されてきた、レアアース泥を海底から揚泥する効率のいい手法や、泥からレアアースを回収する分離・精錬プロセス。これらの課題がクリアされたとしても、商業化にはもう1つ越えねばならないハードルが存在する。それは経済性――つまり、採算が取れるかどうかだ。いくら社会的意義のある事業であっても、採算性が低くては継続できない。調達リスクの高い状態から脱却し、重レアアースの安定供給を目指す上でも、避けては通れない関門と言える。当然ながら試算は行われているが、レアアース泥の採取や揚泥に投入される装置が、5000~6000mという水深で実際に機能するかどうかは未確定。それもあって、経済性については詳細な試算が行えないというのが現状だ。また、レアアースの価格が大きく変動するのも試算を難しくしている。あくまで概略となるが、レアアース泥を1日あたり3500トン揚泥し、それを20年続けた場合の総投資額は約2600億円。初期投資だけでも約1900億円という莫大な投資額となる。更に、操業にかかる年間の費用が、償却費込みで630億円。しかも、泥の残渣を処分する費用は、ここに組み込まれていない。ペイするのが如何に大変であるかは、金額からも想像がつく。

続いて、レアアース売却によって齎される収益面について解説しよう。泥に含まれるレアアースの濃度が2652ppmであると仮定した上で、レアアースの価格変動によって収益がどのように変化するかを試算したものだ。

①2015年の平均価格で売却→収益は99億円
②2006~2015年の平均価格で売却→収益は237億円
③価格が高かった2011~2013年の平均価格で売却→収益は544億円
④価格が最も高かった2011年の平均価格で売却→収益は796億円

驚くべきは、レアアース価格の変動幅の大きさ。①と④では、収益に8倍もの大差が出ている。因みに、収支がプラスとなるのは④の場合だけである。以上の結果から、経済産業省資源エネルギー庁と『石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)』は、レアアース泥の資源としての総合ポテンシャルについて、「この段階で結論を出すのは適切ではない」と判断を保留している。但し、この試算はあくまで、泥から得たレアアースを“資源としてそのまま販売した場合”のもの。自国で生産したレアアースを元にハイテク製品を製造し、輸出した場合の経済効果は考慮されていない。それにレアアース泥には、世界のハイテク産業で需要が急増中のスカンジウム(Sc)を含有する“強み”がある。揚泥システムや、レアアースの分離・精錬プロセスの更なる改良にも、是非期待したい。


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