【霞が関2017夏】(05) 「ついに国民から飽きられた」…都議選に嘆く官僚たち

東京都議選で自民党が大敗し、官邸主導の下で政策立案に汗をかいてきた霞が関の官僚たちにも動揺が広がった。「このまま政策を進められるのか?」「自民党内で選挙を意識した動きが強まるのではないか?」。政治の風に敏感な官僚たちの姿を追った。

■内閣府
経済財政諮問会議等を担当する内閣府のある官僚は、こう分析した。「アベノミクスが遂に国民から飽きられた」。菅義偉官房長官は昨日の記者会見で、「引き続き、経済最優先の方針のもとに全力で取り組んでいく」と強調した。ただ、この官僚は「国民に聞こえの良い政治を目指すようになり、消費税率の引き上げが益々難しくなる」と嘆く。同じ部局の別の官僚も、「景気は回復している。若し政権浮揚の為に(追加の)経済対策をするなら、人気取りだと見透かされるだけだ」と頭を抱える。「霞が関への官邸の影響力が落ちると、我々の発言力も落ち、仕事がし難くなる」(科学技術担当のある審議官)と、官邸主導の停滞を危惧する声も漏れた。内閣改造のタイミング次第では、霞が関で働く官僚たちの働き方にも影響が及ぶ。別の科学技術担当審議官は、「『今年こそは夏休みを3日取れる』と期待したが、大臣が替わると挨拶回りや所管事項の説明が必要になり、休みが吹っ飛びそうだ」と苦笑する。

■経済産業省
ある管理職は「政策推進に必要なのは安定政権。政権が揺らぐと政策を進め難い」と話し、自民惨敗に渋い顔。省庁は大規模な人事異動の季節にあるだけに、「役所の人事には影響ないよね?」と記者に聞いてくる管理職もいた。

■厚生労働省
課長クラスの1人は、「自民党がこれだけ負けると、国民に負担を求める社会保障改革等は進め難くなってしまうかもしれない。財源が無く、中々厳しい」と懸念する。内閣改造に関して、ある中堅幹部は「政権は支持率上昇の為、内閣の大幅改造に踏み切る筈だ」とした上で、「大臣が代わるにしても人気取りの人選に走らず、行政に理解のある人になってほしい」と話す。別の中堅幹部は、「医療・福祉は、都民ファーストの会も注目した分野。今後、国政でもその政策を重視せざるを得なくなるのではないか?」と指摘する。別の課長は、「東京都に対抗して国が政策で先行しようとしても、もうできる政策は全て打った状態。中々厳しい」との声が出た。

■金融庁
ある中堅幹部は、「安倍政権の基盤が揺らぐのが怖い」と話す。同庁の森信親長官は官邸の信頼が厚く、2015年の就任以降、官邸の後押しを受けて金融行政改革を進めている。「政権の支持率が更に下がると、改革の勢いが削がれかねない」と心配する。

■農林水産省
ある幹部は、「自民党内で改革に後ろ向きな声が高まるかもしれない」と警戒する。農水省は、凡そ半世紀続けてきたコメの減反(生産調整)を2018年に廃止し、関連する補助金の縮小を打ち出している。バラマキを脱して農業の競争力を高める狙いがあるが、都議選での大敗は自民党議員に次の選挙への警戒感を強めさせる。「(選挙を意識した自民党農林族議員らに)『補助金を続けろ』と言われるのが最も困る」(農水省幹部)という。

■総務省
総務省では、「2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、都政が盤石になること自体は悪いことではない」(幹部)と歓迎する声が出た。2020年を目標に、Wi-Fiの整備や第5世代の通信システムの構築を急いでいる総務省にとって、東京都の取り組みは柱の1つだ。音声翻訳システムやデジタルサイネージ等、都が独自の取り組みで開発を急いでいる分野も多い。情報通信は、東京都の小池百合子知事の肝煎り政策の1つであるだけに、『都民ファーストの会』の躍進は「前向きに受け止めたい」との声があった。

■財務省
ある課長級は、「『自民が大敗したら株安・円高に触れる』とみる人もいたが、マーケットは落ち着いているので一安心だ」と冷静に受け止めた。内閣改造に関しては、「若し7月末に改造があったら夏休みが取り難い」と心配する。霞が関の官僚たちは、「次の風向きを感じ取ろう」と感覚を研ぎ澄ませている。


⦿日本経済新聞電子版 2017年7月4日付掲載⦿
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