アジア通貨危機から20年、真の勝者は中国――1997年が教訓、2008~2009年は惨事を回避

20170707 01
扨て、それでどちらが勝ったのだろうか? マレーシアのマハティール・ビン・モハマド元首相か、それともアメリカの著名ファンドマネジャーのであるジョージ・ソロス氏か? 20年前のアジア金融危機の際に両氏が繰り広げた敵意剥き出しの論争は、あの時代の怒りを象徴していた。また、「何兆ドルもの世界の投機的資本に対して、新興国はどれほど開かれているべきなのか?」という永遠の疑問も劇的に描き出した。最初の一撃を放ったのはマハティール氏で、ソロス氏のことを「大金を持った…バカ」と呼び、同氏が投機から「不要な上、非建設的で不道徳」な利益を得る為に、「マレーシアの通貨・リンギを標的にした」と非難した。更に、ソロス氏の投機に邪悪な動機を嗅ぎ取り、「イスラム教徒が進歩を遂げるのを見るのが面白くない」連中が企むユダヤ人の策略について語った。ユダヤ人のソロス氏はこれに対し、マハティール氏は「マレーシア自体に対する脅威」であり、「若し、その考えが独立したメディアの検証に曝されたら、自分自身の欠点のスケープゴートを見つけて難を逃れることはできない人物だ」と反論した。罵り合いは別として、「誰が勝ったのか?」という問題は細かく分析すべきだ。短期的には、世界で最も成功したファンドマネジャーの1人に数えられるソロス氏が、アジア通貨の下落に賭けて莫大な利益を得たのは、疑いの余地はない。

同様に、アジア地域が打ちのめされたのも明らかだ。マレーシア、タイ、インドネシア、韓国の通貨は急落した。企業は対外債務で相次ぎデフォルト(債務不履行)した。何百万人もの人が仕事を失い、数千人は自殺を選び、政権は倒れた。最大の被害を受けたインドネシアでは、国内総生産(GDP)が1年間で13.1%減少し、通貨・ルピアはある時点で、ドルに対して83%も価値を失った。インドネシアの強権的指導者であるハジ・ムハンマド・スハルト大統領が1998年5月に辞任すると、莫大な投機資金によって、開かれた市場の教義が、抵抗できない討伐軍に姿を変えたようにみえた。危機以降、心理的な傷痕が各国に強化する行動を促した。アジアは危機を経て、より賢明且つ強靭になった。また、主に中国の影響力が増している為に、「『投資家の資本の流れを管理せよ』というマハティール氏の忠告が、ソロス氏の開かれた市場の信条に対して優勢になっている」という感触もある。「発展途上国が“勝った”のは、各国が1980年代・1990年代の危機から学んだ教訓が圧倒的に、振れの激しい資本フローが齎し得る被害から身を守る為の自己保険の必要性を重んじた為だ」。『シティグループ』で新興国市場のトップを務めるデビッド・ルービン氏は、こう語る。こうした自立心に駆られ、東南アジア諸国は投機的な攻撃を撃退する為に、外貨準備の軍資金を築いた。また、各国は以前より分相応な暮らしをするようになり、危機がドル建て債務に対する自国通貨の価値を急激に押し下げた時に、自国を脆弱な立場に置くことになった海外借り入れへの依存を減らした。これらの暴風壁は、2008~2009年の金融危機の際に真価を発揮した。アメリカの格付け機関『ムーディーズインベスターズサービス』のマイケル・テイラー氏は、「地域は本当に惨事を回避した…大部分は、各国が設置した防衛策のおかげだ」と言う。しかし、アジアの金融の台風から一番辛抱強く学んでいる国は、直接の犠牲者ではない。中国は恐怖を覚えながら、地域の通貨が暴落するのを見ていたが、対ドルの人民元相場をしっかり維持し、金融市場での危機の飛び火を食い止めるのに貢献したことで、アメリカ政府からの称賛を勝ち取った。

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中国政府は危機の前、2000年頃までに人民元の完全兌換制に向けて動き、事実上、中国を国際的な資本フローに対して開放することを検討していた。だが、アジア危機は欧米資本の破壊力に対する嫌悪感を植え付けた。それから20年経った今、中国政府は未だ自国の資本勘定と人民元の価値に対する厳格な統制を維持しており、イギリスの運用会社『インベステックアセットマネジメント』のマイケル・パワー氏が“7つのベールの踊り”と呼ぶ動きで、ごく漸進的にしか自由化を進めていない。その狙いの1つは、外国資本が中国の国内金融市場で僅かな力しか振るえないようにすることだ。諸外国にとって、こうした政策は重要な意味を持つ。これらの政策は、株式市場で世界第2位、債券市場で世界第3位の規模を誇る中国が、大部分においてグローバルな資本フローから隔離されていることを意味するからだ。重要な指数に一部の中国株を加えることにしたアメリカの指数算出会社『MSCI』の画期的な決定の後でさえ、追加された株式がMSCI新興国市場指数に占める比重は微々たるものだ。このようにして、中国は自国の決めた条件で国際資本を受け入れており、現代のソロス氏たちの力を無力化している。これは資本主義の1つのビジョンであり、資本が束縛され、その活発なアルゴリズムを侵した人を罰することができない世界だ。マハティール氏の勝利はだいぶ遅れてやって来たかもしれないが、アジアはこの議論における同氏サイドの主張を熟慮し始めている。 (James Kynge)


⦿フィナンシャルタイムズ 2017年7月4日付掲載⦿


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