【ドクターXは知っている】(08) 血圧を薬で下げ過ぎるのは危険! 新しい降圧剤『ARB』も過信は禁物

20170707 03
厚生労働省が3年毎に実施している『患者調査』によると、高血圧の患者数は1010万800人(※2014年)で、生活習慣病の代表格です。自覚症状は無くても、高血圧は心筋梗塞・脳卒中・腎不全といった生命に関わる病気の発症原因となる為、血圧が高くなったら治療が必要です。治療は減塩指導と併せて投薬をするのが一般的ですが、「医師の正しいコントロールが重要」と説くのは、総合内科・循環器専門医の池谷敏郎先生です。「病院で測った血圧を基に処方する医師も多いのですが、本来は家庭早朝血圧を重視しなくてはいけません。血圧は早朝にピークとなることが多く、病院で測るだけでは過小評価に繋がる可能性があるからです。家庭早朝血圧は、起床から1時間以内、排尿を済ませて食事前に2回測った平均値を取ります。これを基に処方することが、高血圧に起因する様々な病気の予防となるのです」。降圧剤を使う目的は、危険域から血圧を下げることですが、「下げ過ぎないようにすることもコントロールのポイント」と池谷先生は指摘します。「特に、高齢者は動脈硬化が進んでいることも多いですから、全身の血流を維持する為には、ある程度は高い血圧が必要ということもあるのです。それなのに、薬で無理に下げてしまうと、思わぬ事態を招くこともある。脳に血が巡らなくなったら死の危険があります。医師は薬の種類・量・服用する時間等を、患者1人ひとりに合わせてコントロールする必要があるのです」。ところで、高血圧の薬といえば、2013年に発覚した『ノバルティスファーマ』のディオバン事件がありました。アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)に分類される『ディオバン』(※一般名は『バルサルタン』)という薬が、降圧効果以外にも、他の薬に比べて脳卒中・狭心症・心不全等を大きく減らせる効果があるとの優位性を示した論文のデータが、製薬会社主導で捏造されていたのです。

総合内科専門医の大竹真一郎先生は、「勿論、製薬会社がインチキな論文を作ったことは大問題なのですが、そのデータを鵜呑みにして使う医者が多かったことも問題です」と、安易に新薬をありがたがる医師の姿勢を指摘します。大竹先生の説明によれば、降圧剤は、数年前までは先ず、古くからある利尿薬が第一選択で、次にカルシウム拮抗薬、そしてACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)という選択肢で処方されていました。この内、ACE阻害薬は、日本人では空咳が出易くなるという副作用が多く出ます。そこを改良して咳を少なくしたのが、ディオバンを始めとするARBです。「現在使われている高血圧治療薬の中で一番新しい薬がARBです。新薬は薬価が高い。昔から使われている利尿薬は、安いものなら1錠6~10円ほど、3割負担の患者さんなら自己負担分は1錠あたり2~3円ほどです。一方でARBは、一番安いディオバンでも約200円(※160㎎の薬価)。製薬会社としては、安い薬よりも高い薬を沢山売りたいのは当然ですよね。その為にテータの捏造までしたのです」。ARBの市場は急成長しましたが、抑々“高血圧”と診断されるケースの多くは、直ちに薬に頼らずとも、医師による適切な生活指導と患者の心がけで改善するものなのだといいます。更に、“新しい薬”ならではの不安材料もあります。「ARBは新薬ですから、10年・20年と飲み続けた場合にどうなのかというデータが未だありません。それ以前に、僅か数年のデータでも、脳卒中や心筋梗塞を予防できるという充分なエビデンスは無いんです。一方で、今まで長く使われてきた薬は、使っている患者さんが多い分だけ、発生する副作用やその確率もわかっています。新薬というと頼れるイメージを抱くかもしれませんが、やっぱり、多くの患者さんに使われた実績のある古い薬のほうが、医学的根拠も安全性も高い訳です」(大竹先生)。医療統計学を専門とする岡田正彦先生もまた、同様の見解です。「高血圧の薬は歴史も古く、広く使われている為、大規模な調査を基にした信頼できるデータも多い。しかし、古くから使われているサイアザイド系利尿剤というタイプの降圧剤だけが、『僅かに寿命を延ばす効果がある』と認められているのみ。つまり、ARB等最新の降圧剤は薬価が高いだけで、古くからある薬と比べて寿命を延ばす効果がある訳ではないのです」。新薬に過大な期待は禁物。旧来の薬のほうが信頼できるというケースは、降圧剤に限らず、少なくないのでしょう。 (取材・文/フリーライター 浅羽晃・編集プロダクション『アートサプライ』 宮田文郎)


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