【儲かる農業2017】(16) “脱全農”のJAが上位独占…独自販路の有無が死活問題に

本誌は、担い手農家が格付けする『JA満足度ランキング』を作成した。JAの二極化が鮮明になる中、上部団体に依存せず、自立経営を地でゆくJAが軒並み上位に食い込んだ。

20170710 05
東京都の永田町や大手町では、農協改革を“停滞”させようとする『JAグループ』の守旧派や農林族議員の動きが後を絶たない。だが、全国に散らばる地域農協にとっては、中央での政治的駆け引きを見守っている余裕などないかもしれない。とりわけ今後、業績悪化が避けられない金融事業に依存しているJAは尚更だ。今こそ、JAの“本分”である農家の為の組合に立ち返る時に来ている。本誌では、1500人の担い手農家が格付けする『JA満足度ランキング』を作成した。担い手農家によるランキング作成は、昨年の農業特集(※本誌2016年2月6日号の『儲かる農業』特集)に続き、2度目の試みとなる。今回のランキングでは、前回も採用した農家からの“支持率”だけではなく、JAが農家の農業所得の向上に役立つ改革をしているかどうかを問うた“改革実感度”も評価項目に加えた。というのも、今は、政府が定めた5年間の農協改革集中推進期間(※JAグループに与えられた自主改革の期間)の折り返し地点を過ぎる時期に来ているからだ。JA改革が進んだならば、組合員である農家が改革の恩恵を受けて然るべき段階なのだ。安倍政権が描いた農協改革のシナリオが発火点となり、JAグループに競争意識が持ち込まれた。「同じグループだから、農産物の販売でも農業資材の購入でも全農を利用するのが当たり前」という慣例から解き放たれたのだ。まさに、“脱JA全農”依存の時代が到来している。そしていみじくも、ランキング上位のJAに共通するキーワードが、“全農ルートに依存しない販売力”である。

首位の『JA越前たけふ』(福井県)は、“農協改革の旗手”として知られる存在だ。JA越前たけふは、コメの販売で経済連(※他県では全農に当たる組織)を一切利用しない。『アレフ』が運営するハンバーグ店『びっくりドンキー』等大手外食チェーンや小売業者と、安定的な長期契約を結んでいる。福井県で経済連が集荷するコシヒカリの価格は、60㎏当たり約1万1300円(※2015年産)だ。一方で、JA越前たけふに出荷する農家の販売額は、この価格より同1200~1700円高い。更に、減農薬等環境に配慮したコメともなれば、同1万円近くも高く売れるという。農家の士気が高まるのも当然のことだろう。改革実感度も90ポイントと断トツであり、回答した農家の大半が改革の成果を実感しているようだ。尤も、マスコミで持て囃されることも多いだけに、JAグループ関係者から「脱JAグループ戦略はリスクが高く、何れ失敗する」「組合長が代われば元に戻ってしまう」とやっかみ半分で批判されることが多いのも事実。そこで本誌は、JA越前たけふの冨田隆組合長に改革の実態について語ってもらった(※詳細は次回)。やはり、販売力の強さで支持を集めたのが、2位に輝いた『JA魚沼みなみ』(新潟県)である。『南魚沼産コシヒカリ』という押しも押されもせぬブランドを、確かな販売力で下支えしている。JA魚沼みなみは、2016年産コシヒカリ60㎏当たり1万8000円を、農家に概算金(前払い金)として支払っている。同県の平均的なコシヒカリ同1万3600円と比べても、その競争力は一目瞭然だ。回答者によれば、「魚沼産コシヒカリを作る県内の他の産地と比べても、同800~1000円高く売ってくれる」という。JA魚沼みなみは、農家から集めたコメの9割を独自の販路で売る。仮に、全農を通して売れば、県内他産地のコシヒカリと差別化した販売がし難くなってしまうからだ。現時点で、JA魚沼みなみはコメの2割を消費者やスーパーに直接販売しているが、その直販扱い量を2倍にする為、精米工場を建設している。3位は『JAたんなん』(福井県)。「毎日、営農指導員が近所を軽トラで走っている。いつでも呼べる安心感がある」等、農業に直向きに取り組む姿勢が評価された。但し、JAたんなんを支持しつつも、「全農・経済連の利用が多く、リスクを取って挑戦する姿勢が無い」等、物足りなさを感じている組合員による消極的な支持も少なくなかった。そして、農家に生産資材を安く提供することで4位に食い込んだのが『JAぎふ』(岐阜県)である。「農薬がホームセンターより割高なのはおかしい」という農家の声を受けて、JAぎふは価格をこの3年間で1割も下げたのだという。グループ内の凭れ合いを断ち、グループ外の調達先を採用したところ、全農からの調達割合は約75%から55%に低下。焦った全農がシェアを取り戻そうと値下げに応じたというから、競争原理が働いた好例と言えるだろう。翻って、ランキング下位のJAが置かれた環境は厳しい。『JA稲敷』(94位・茨城県)・『JA竜ヶ崎』(93位・茨城県)・『JAにいがた南蒲』(89位・新潟県)等がそうだ。これらのJAは、支持率のみならず、改革実感度も低迷している。農家を支配する農協ではなく、農家に選ばれる農協へ。金融事業ではなく、農産物で儲ける農協へ――。JAが原点回帰の時を迎えている。


キャプチャ  2017年2月18日号掲載
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