【JR・栄光と苦悩の30年】(13) 開発主眼は“高速化”より“標準化”…新幹線技術の飽くなき発展

新幹線や超電導リニアに象徴されるように、世界の鉄道業界を見渡しても、JRは技術開発の先頭を走っている。地震やテロ対策も含め、最新技術で可能になった成果と課題に迫った。

20170710 10
国鉄民営化後、特に飛躍的に進化した技術と言えば、やはり新幹線技術だ。営業中の最高時速は、民営化後30年で1.3倍に達した。だが、『JR東海』によれば、新幹線は今後、「スピードを追求する訳ではない」という。確かに、最高時速だけ見れば、フランスの高速鉄道『TGV』の320㎞等、新幹線よりも速い高速鉄道は他にもある。では、新幹線の何が凄いのか? 初代の0系から新幹線の開発に取り組んできたJR東海新幹線鉄道事業本部車両部の上野雅之部長に聞くと、「安全性と運行の頻度では他を圧倒している。世界の高速鉄道の開発でトップを走っている自負はある」と豪語する。ポイントは小型・軽量化の技術だ。速く走るのも、安全に停車するのも、車両が軽いことが極めて重要だからだ。新幹線の1両当たりの重量は、海外の高速鉄道の3分の2に抑えられている。だからこそ、高頻度の大量輸送ができる。東海道新幹線の運行本数は30年間で1.6倍の366本となり、1日の利用者数も同じく1.6倍に増えた。新幹線の技術開発の集大成とも言えるのが、2020年に投入されるN700Sだ。この新型車両のキーワードは、実は“標準化”である。従来の新幹線はモーターや冷却装置等が大きかった為、各車両に搭載する機器が異なっていて、重さもばらばらだった。N700Sは機器を小型化する等して、車両毎の搭載機器を均一化した。これまでは、必要な機器を搭載する為に16両編成でしか走れない制約があったが、車両を標準化したN700Sは、“16両編成の軛”から解き放たれた。これにより、アメリカやインド等他国に輸出する際に、現地のニーズに合わせて12両や8両編成で運行できるようになる。

大量輸送を何よりも重要視するJR東海は、「16両編成しか新幹線として認めない」(『JR西日本』関係者)と揶揄されるくらいなので、今回の標準化技術の導入は如何に画期的であるかがよくわかる。また、標準化により、走行データの解析制度もぐっと上がる。車両やその搭載機器が均一化される為、データを収集するセンサーの測定条件が揃うからだ。日本の高速鉄道の真打ちとして登場するのが超電導リニアだ。リニアは超電導磁石と地上コイルの間の磁力により、車両を10㎝浮上させて走行する。時速500㎞でも安定して走れるのは、地上と接触せずに走るからこそだ。技術的には既に営業運転できるレベルにある。JR東海は、2027年に品川-名古屋間でリニア中央新幹線を開業する為に、長野県等で工事を進めている。在来線の進化も高速鉄道に負けてはいない。『JR東日本』の山手線は、この30年間で燃費を2倍に向上させた。新型山手線車両のE235系は、IoT(モノのインターネット)にも対応する。JR東日本は、新型山手線車両に搭載した多数のセンサーで、車両毎の混み具合や機器の稼働状況を把握。輸送の効率化や車両の修繕コスト削減を図っている。2014年にデビューした蓄電池電車『ACCUM』にも注目だ。架線がある電化区間では通常通りモーターを回して走り、同時にバッテリーの充電も行う。架線が無い非電化区間では充電した電気を使って走る。蓄電池電車は、これまで非電化区間で使われていたディーゼル車に比べて、窒素酸化物(NOx)等粒子状物質の排出量を6割削減できる。騒音も小さく、環境と人に優しい電車だ。JR東日本は、電化区間と非電化区間を直通運転する秋田県の男鹿線と栃木県の烏山線で、全車両を蓄電池電車に置き換える。アキュムは、人口減少が進む地方の路線を存続させる切り札になるかもしれない。民営化後、JR各社は利益追求を優先しなければならなくなり、路線収支をシビアに見るようになった。実は、非電化区間には赤字路線が多い。路線の存廃を検討する際、アキュムがあれば、線路を“電化する”為の大規模投資を伴わずに運行を続けられる“光明”が見えてくるかもしれない。その為には、割高なアキュムの製造コストを下げることが必要だが、アキュムの進化という技術革新が、民営化の“弊害”をカバーできるかもしれないのだ。


キャプチャ  2017年3月25日号掲載
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