【1強惨敗】(下) 官邸主導の政策、岐路

20170711 06
東京都議選の翌3日朝、 安倍首相はアメリカのドナルド・トランプ大統領との電話会談で、「おめでとう」と切り出した。5月下旬のアメリカ下院補選で、与党の共和党が勝利を収めた祝意だった。前日の自民党の惨敗を知ってか知らずか、トランプ大統領は「ありがとう」と機嫌良く応じ、北朝鮮情勢を議題とした首脳会談はスムーズに進んだ。2012年の政権復帰以降、首相は“地球儀俯瞰外交”を掲げ、延べ120近くの国や地域を訪問した。豊富な外交経験はトランプ大統領から頼りにされ、日本の国際的な地位向上にも繋がっている。外交・安全保障を担当する柴山昌彦首相補佐官は、「都議選で負けても、培った外交力が弱まることがあってはいけない」と強調する。首相も支持率回復を外交に懸けている。首相は『主要20ヵ国・地域(G20)』首脳会議等の為、昨日、ヨーロッパ歴訪に出発。記者団には北朝鮮の弾道ミサイル発射に関し、「世界のリーダーたちに国際社会が緊密に連携していく必要性を訴えたい」と述べ、自らの外交手腕に自信を覗かせた。だが、国内の政治基盤が揺らげば、長期政権を前提とした“安倍外交”にも影を落とす。

特に、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との信頼関係をテコに進めようとしている北方領土問題は、首相の続投が危うくなれば「長期戦略の根幹が崩れかねない」(外務省幹部)。日米経済対話や、『ヨーロッパ連合(EU)』との経済連携協定(EPA)交渉では、「首相の求心力低下で国内調整が困難になる」との見方もある。4日午後、首相官邸を訪れた自民党の西川公也氏(元農林水産大臣)らは、EPA交渉で酪農家の保護等を申し入れた。党幹部は、「官邸主導の潮目が変わり、今後は族議員の意見も軽視できないだろう」と指摘する。経済政策も同様だ。財政規律より経済成長に軸足を置く首相は、消費税率の引き上げを2度延期し、先月には財政健全化目標の“2020年度の基礎的財政収支の黒字化”を最優先する計画を事実上見直した。自民党内には賛否両論があったが、何れも首相官邸主導で押し切った。党内では、5月に財政規律を重視する野田毅氏(前税制調査会長)らを中心に勉強会が発足し、首相と距離を置く議員らが来年9月の党総裁選への布石を打ったとみられている。菅義偉官房長官は昨日の記者会見で、「5月の有効求人倍率は43年ぶりの1.49倍になり、雇用は4年間で185万人増えている」とアベノミクスの成果を誇ったが、内閣支持率を下支えする経済が腰折れすれば、首相の総裁3選への道は険しくなる。岸田外務大臣は4日の講演で、「今の経済政策における格差といった負の側面に適切に対応することが重要だ」と述べ、首相との違いを滲ませて、“ポスト安倍”の意欲を見せた。“安倍1強”下で強力に推し進められてきた政権運営が、岐路に立っている。 (政治部 小坂一悟)


⦿読売新聞 2017年7月6日付掲載⦿
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