株主への欺き? 『出光』公募増資が招く新たな波乱

20170711 09
「これで創業家は絶対的な存在ではなくなる」――。今月3日、石油元売り大手『出光興産』の関係者は興奮気味に語った。“これ”とは、出光が発表した公募増資計画を指す。現在の発行済み株式数の約3割に当たる4800万株を新たに発行し、最大1385億円を調達する。「財務戦略上、必要だ」(出光広報CSR室)というが、出光創業家の持ち株比率を減らす狙いが込められていることは明らかだ。3分の1以上の株式を握る創業家が、昨年の株主総会で『昭和シェル石油』との合併に反対を表明。月岡隆社長らが今年4月に計画していた合併は暗礁に乗り上げた。だが、増資すれば創業家の持ち株比率が低下し、拒否権を行使できなくなる。尤も、増資は“禁じ手”でもあった。会社側は「話し合いで解決する」として、増資をはぐらかしてきた。突然の事態に、創業家側は「増資には法的措置で対抗する」(代理人の鶴間洋平弁護士)として、今月4日に新株式発行差し止めの仮処分を東京地裁に申し立てた。それでも会社側が強行突破を図るのは、“勝算”があるからだ。

会社側は、必要とする資金使途を次々と挙げる。昭和シェル株を取得した際の借入金の返済に回し、残りの資金も海外市場や新規事業に投じるという。法廷の判断は、その増資が既存株主に対し著しく不公正で、不利益になるかが焦点になる。企業統治に詳しい『東京霞ヶ関法律事務所』の遠藤元一弁護士は、「(増資の)理屈は通っている。勝敗は五分五分だが、どちらかといえば創業家が不利かもしれない」と指摘する。それでも、株主総会直後というタイミングに多くの関係者が疑念を抱く。先月29日の株主総会では、創業家が経営陣の失敗を指摘して、取締役選任に反対した。だが、月岡社長は61%と、前回(※52%)に続き低い賛成率ではあるが再任された。これを“経営への信任”として増資に踏み切った形だ。しかし、株主総会では増資については明らかにしていなかった。僅か4日後、合併計画を大きく進める増資を発表したことに対して、「騙し打ち」「不誠実な進め方」と株主でもある出光系販売店から批判が上がっている。「若し総会前に増資が発表されていたら、月岡社長は選任されただろうか?」。つまり、月岡社長のギリギリの再任は、株主を上手く出し抜いた結果で、しかもそれを“経営への信任”として増資や、その先の合併に結び付けていこうとしている。都合良く本音と建前を使い分ける戦術は、今後も続く。「増資が実現しても、直ぐに(合併への)特別決議には進まない。引き続き(創業家の)理解を求めていく」と会社関係者は話すが、日程や方法は不明だ。会社側は法廷でもこれまで通りの主張を続け、真っ向から対立するとみられる。多くのステークホルダーが会社側に望んできたことは、創業家と協議を進めて、双方が歩み寄った解決の道を探ることだった。ところが、既存株主に少なからぬ打撃を与える会社都合の増資だとすれば、「これを上手くやっても投資家を欺くことになる」(石油業界に詳しい学識者)との誹りは免れない。 (取材・文/本誌 飯山辰之介・松浦龍夫)


キャプチャ  2017年7月10日号掲載
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