【小池劇場第2幕】(中) 敵は身内の緩み

20170712 05
「支援者との飲食は全部割り勘にして下さい」――。今年3月、東京都の小池百合子知事が率いる地域政党『都民ファーストの会(都民フ)』が、立候補予定者向けに開いた都議選の研修会。都議経験者が講師となり、ポスターの貼り方・寄付金の処理・食事代金の支払い方等を細かく指導した。都民フは、当選した49人の内、39人が新人。その内の6割は地方議員の経験も無く、初めての選挙だった。「絶対に選挙違反等の問題を起こさないように」。幹部は繰り返し、法令順守を候補者に求めた。念頭にあるのは、既成政党への不満の受け皿となって支持を集めながら、不祥事が相次いだこれまでの地域政党だ。政務調査費を高級車購入に充てた女性議員、酒に酔ってタクシーに乗り運転席を蹴った男性議員…。過去の例のようなトラブルが相次げば、有権者離れを招きかねない。「これから大事だ。有権者を裏切らないようにしなければ」。都民フ幹部は気を引き締める。「これまで都政が注目されたのは、汚い女性蔑視の野次が飛んだ時くらい」。小池知事は選挙戦で、“民間出身の新人”と“超古い議会”が対決する構図を作り出した。

大手電機メーカーで3Dテレビを開発していた女性研究者、受動喫煙問題に取り組んできた男性弁護士等、様々な経歴の候補者を擁立。一方で、自民党等の古参議員に対しては、「質問作りを都庁職員にさせている」「議員提出で成立した条例は25年間で1本だけ」等と厳しく批判した。今度は、都民フの新人議員たちが実力を問われることになる。「我々の批判ばかりしてきた都民フに、対立する意見を調整したり、合意形成したりできるのか?」。ある自民都議は疑問視する。都民フの台頭に、都庁職員も警戒感を強める。ある幹部は、小池知事が告示直前に打ち出した“築地市場の豊洲移転・築地跡地の再開発”という基本方針について、「具体論が無い。移転賛成派にも反対派にも夢を見せているだけ」と困惑する。別の幹部は、「圧倒的な数の力で、実現が難しい施策を押し付けられるんじゃないか?」と不安を抱く。『早稲田大学マニフェスト研究所』が公表した2016年版の議会改革度調査で、東京都は47都道府県の36位と低迷した。常任委員会の動画のインターネット公開や、住民との直接対話、議員提案条例の提出等、他府県の議会で行われている取り組みが全て“×”だった。同研究所の青木佑一事務局次長は、「他県は不祥事等をきっかけに、制度を見直してきた。都議会もセクハラ野次問題等、変化のチャンスはあったのに、改革を怠ってきた」と指摘。「民間出身の新人ならではの目で、過去の慣習に囚われず変革して」と期待する。


⦿日本経済新聞 2017年7月5日付掲載⦿
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