【小池劇場第2幕】(下) 都政変わっても…

20170712 06
「私たちの相談相手は区職員。東京都議選の結果で何か変わるんでしょうか?」――昨日午後、板橋区役所を訪れた主婦(40)は溜め息を吐いた。病院勤務で、長男(3)を保育所に預けている。片道30分かかるので、自宅近くの保育所に移りたいが、区役所の窓口に何度聞いても「今は空きが無い」の繰り返しだ。パートで働く同区の女性(33)は、今秋の出産に備えて保育所の情報を集めている。「都議会が変わっても区の予算が増える訳ではないし…」と諦め顔だ。今月2日投開票の都議選で、東京都の小池百合子知事が率いる地域政党『都民ファーストの会(都民フ)』や公明党等、小池支持勢力が圧勝。知事は、都庁と都議会という“車の両輪”を実質的に掌握した。だが、暮らしに直結する施策は都だけでは進まない。例えば、公立保育所を増設したり運営したりする費用は、保護者が支払う保育料を除けば区市町村が負担する。土地の賃借や入所希望者の調整といった実務も、担うのは区市町村の職員だ。

私立保育所で働く保育士の給与補助等、都独自の施策もあるが、「大半は区市町村が窓口となって、事業者から申請を受け付け、都が判断する仕組み」(都保育支援課)。最前線の職員らが本気にならなければ動かない。待機児童対策だけではない。小池知事の目玉政策である無電柱化は、区道や市道については地元の協力が必要だ。都が費用の一部を補助するとはいえ、住民との調整等は区市町村が担う。日本経済新聞が5月に都内の区市町村長を対象に実施したアンケートで、回答者の7割が「小池都政を評価する」と答えた。特に待機児童対策や都政透明化への評価が高かった。ただ、「ふるい都議会に、NO!」と既成政党を批判した都民フに対し、強く反発した首長や議員もいる。ある自民区議は選挙戦で、「地域を知らず、地元議員と信頼関係の無い人に都政は動かせない」と批判した。小池知事は先月中旬、都議選の立候補予定者の決起集会で、今後は都内の区市町村議選にも都民フの公認候補者を擁立する意向を明らかにした。自身の政治塾である『希望の塾』の塾生らに公募を呼び掛けるという。小池知事から都民フ代表を引き継いだ野田数氏も、2日の投開票後の記者会見で、「私どもと同じ方向の人は積極的に支えるが、そうでないところには首長を擁立したい」と敵対勢力を強く牽制した。茨城大学の馬渡剛教授(地方政治論)は、「これまで、自治体の首長や議員は自民党系が多数を占めるケースが多く、調整は容易だった」と指摘する。しかし、自民と敵対する都民フが第1党となったことで、構図は一変した。馬渡教授は、地域政党『大阪維新の会』が掲げた大阪都構想が、堺市長の反対等で修正を余儀なくされた例を挙げる。「区市町村と連携できなければ、都政が停滞する可能性もある」と警告する。


⦿日本経済新聞 2017年7月6日付掲載⦿
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