【霞が関2017夏】(06) 国家戦略特区の仕事師、チーム去る

霞が関の夏の風物詩とも言える省庁幹部の大異動。2018年度予算編成等に向けた新体制が整う訳だが、その中で、アベノミクスの“第3の矢”である成長戦略を仕込んできたある仕事師の職場が変わる。国家戦略特区を担う内閣府地方創生推進室の藤原豊次長だ。古巣の経済産業省に戻る。藤原氏の名前は、学校法人『加計学園』の獣医学部新設計画を巡る一連の報道で全国に知れ渡った。文部科学省側に“総理のご意向”と発言したとされる人物だ。加計学園の問題は国会で野党の追及を受け、政権に逆風となった。お茶の間で知られるようになったのは最近のことだが、霞が関では、この問題が起きる前から抜群の知名度があった。首相肝煎りで進む国家戦略特区の普及に向け、時には孤軍奮闘してきたのが藤原氏だったからだ。同氏が今のポストに就任してから4年超。内閣官房幹部は、「藤原氏は、霞が関の官僚としては長く同じ部署を担当してきた。今回の異動と加計学園の話は関係ない」と強調する。当初は異動先として、経産省が所管する研究所の研究員も候補に挙がっていたという。藤原氏の特区チームでの実績を評価する関係者の声に押され、“更迭感”の無い古巣の幹部職員のポストに就くようだ。

藤原氏は、小泉政権下でも内閣府で規制改革を担当した手腕を買われ、2013年春に経産省から内閣官房に出向。地域限定で大胆な規制緩和をする国家戦略特区を作り上げた。自民党の塩崎恭久政調会長代理(※当時・現在は厚生労働大臣)らと膝詰めで調整し、内閣主導で規制緩和のメニューや区域を選べる体制を整えた。安倍晋三首相自ら“岩盤規制を打破するドリル”と位置付けた戦略特区では、都市計画の認可のワンストップ化や容積率の緩和等、都市再生の促進を進めた。2020年の東京オリンピックの誘致と相俟って、首都圏等の再開発が促進された。企業の農業参入や、一般住宅に有料で観光客を泊める民泊も解禁。家事代行や農業での外国人材の活用にも風穴を開けた。規制改革の担当は、規制官庁から憎まれ易い。永田町や霞が関での毀誉褒貶は激しい。特区に比べて踏み込み不足が目立った規制改革推進会議内からは、藤原氏の異動をほくそ笑む声も漏れる。だが、ほくそ笑んだところで規制改革が前に進む訳ではない。国家戦略特区諮問会議の民間議員は、「藤原氏の異動で、特区による改革の後退は避けられない」とまで言い切る。藤原氏に続く新たな改革派が規制改革を仕切れないようなら、アベノミクス第3の矢も愈々尻すぼみとなってしまいかねない。 (川手伊織)


⦿日本経済新聞電子版 2017年7月5日付掲載⦿
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