【危うき皇位継承】(01) 天皇1人だけの皇室

天皇陛下の退位に付随して、皇族数の減少と皇位継承の安定化が先延ばしのできない重要な課題として浮上している。危機的状況の背景を探る。

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「このままでは、悠仁さまは将来、たった1人で象徴天皇制を支えていかなければならない」――。天皇陛下即位20年の2009年。祝祭ムードの中、元内閣官房副長官の古川貞二郎氏は深刻な表情で語った。昭和・平成の代替わりの際、首席内閣参事官を務め、小泉内閣時の2005年に有識者会議の一員として皇位継承問題を討議した。皇室を深く理解する官僚として、国民の危機意識の希薄さを危惧していた。それから8年。この間、対策は何も取られず、高円宮家の典子さまの結婚、秋篠宮家の眞子さまの婚約内定により、皇室の先細りは現実のものとして進行している。将来、女性皇族が結婚により、全て皇室を去ったとしたら…。悠仁さまが即位した時点で、皇室は天皇1人のみということもあり得る。その時、皇室・天皇制はどうなるだろうか? 国事行為の臨時代行者となる皇族がいない為、天皇は海外訪問ができなくなる。災害被災地の訪問も少なくなり、各皇族が担ってきた数々の公務の大半は解消される。宮中晩餐会・園遊会・歌会始等、恒例の行事は天皇1人の寂しい光景となるだろう。

長く天皇制を研究してきた放送大学の原武史教授は、天皇の性格の変質を予想する。「1人だけの天皇の身を守る為、警備が異常に厳しくなるだろう。四六時中監視され、非人間的環境に置かれる。現在の天皇・皇后のように、全国を旅することも難しくなる。人の目に触れる機会が減り、祈るだけの神秘的で不活発な天皇になるかもしれない。国民の親しみの感情は薄れるだろう」。ある宮内庁関係者は、「平成の皇室が作り上げてきた国民と共にある皇室像が変わってしまう」と心配する。また、「天皇1人の皇室では、皇后が行うご養蚕等伝統の行事や祭祀が途切れることになる。手ぶりや装束の着方等が伝えられなくなる。宮内庁の組織も皇族をお世話する部署が無くなり、大幅に縮小される。皇族がゼロになるので、赤坂御用地に住人がいなくなる。広い敷地を税金で維持する是非が論じられるかもしれない」と話す。天皇陛下の退位問題に関連して、退位後の称号やお住まいのこと等が話題になった。元側近の1人は、「皇室が直面している危機と比べれば枝葉の話だ。悠仁さま1人になってしまった場合のことを誰も真剣に議論していないし、考えていない」と言う。女性宮家の創設や旧皇族の復帰が唱えられているが、この元側近は「男系か女系かと論争が続いてきたが、今やどちらも手遅れだと思う。女性宮家も、眞子さまの結婚前に実現すべきだった。ここ何年か手を拱いてきた結果だ。手を打つなら今が最後のチャンスだ」と、早急に議論を始めることを望んでいる。


⦿日本経済新聞 2017年6月27日付掲載⦿
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テーマ : 天皇陛下・皇室
ジャンル : 政治・経済

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